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2022年06月14日
No.10002861

仮想空間に飛び込め!③
共感を呼ぶブランドづくり
アイマリンプロジェクトの人気沸騰

共感を呼ぶブランドづくり
バーチャルマーケット5に出展したときのブース風景。「Stand UP! Blaze UP!」などのMVを披露した

三洋グループの「アイマリンプロジェクト」は、VRイベントへの出展に意欲的だ。2020年8月に開催された音楽系展示即売会「MusicVket」を皮切りに、バーチャルマーケットにも複数回出展。福井章浩プロデューサーにその狙いを聞いた。

「アイマリンプロジェクト」は201 5年に始動した。海物語のマリンちゃんを想起させるアイマリンは、同年のニコニコ超会議で3Dライブデビュー。18年までにボリューム5まで数えるミュージックビデオを発表した。発起人である福井章浩プロデューサーは、当時を次のように振り返る。

「15周年を迎えた『海物語』が、次の15年後もシェア1位であり続けるためには、若年層や新規層へのアプローチが必要でした。ユーザーとのタッチポイントを創る。その役割を背負ったのがアイマリンという存在です」

遊技業界では東日本大震災以降、遊技機のテレビCMを自粛していた。解禁された21年4月までを「空白の10年間」と表現する関係者もいる。90年代生まれの若年層は多感な10代のとき、遊技機の存在に触れる機会が少なかったのだ。

「僕はもともとネット業界出身なので、YouTubeなどのネット動画展開には早くから意識を向けていました。例えば大当たり時の映像を動画共有サイトで先に公開して、人気が出たものを遊技機に逆輸入する。コストをかけたハイクオリティの映像を、大当たりした人しか見られないのは、もったいないですよ」


YouTubeやニコニコ動画で公開したアイマリンのミュージックビデオは、想定以上の効果を生んだ。ユーザーは視聴するだけでなく、自身で歌ったり踊ったりする二次創作動画を投稿。一部のホール法人も加わり、アイマリンを盛り上げた。関連動画の累計総再生回数は1億回以上。『CRAスーパー海物語IN沖縄4 Withアイマリン』は長期稼働に貢献した。

アイマリンプロジェクトが転機を迎えたのは2020年。アイマリンはリアルとバーチャルの垣根を越える”2・8次元アイドル“として、活動の幅を広げた。「アイマリンプロジェクト新章」の始まりだ。

「新章のコンセプトはリアルとバーチャルの融合です。新章以前のアイマリンでは、サブカル好きな人への手応えを確かに感じました。そしてさらに広範の人に浸透させるには、リアル側から逃げちゃいけないと思ったんです」

サブカル要素は好きな人には深く刺さるが、そうでない人には見向きもしてもらえないことがある。現実世界の要素を取り入れることで、よりマジョリティである層にアプローチしようという考えだ。

VR展開は先駆者の矜持

そんなアイマリンは、HIKKYが運営するVRイベント「バーチャルマーケット」や姉妹イベントの「MusicVket」に計4回出展。ライブで歌唱を披露したほか、3Dモデルや関連するリアルグッズを販売した。

「VRイベントへの展開は、三洋が業界の先陣を切るという意気込みがありました。話題づくりや先進的なイメージにつなげるためのブランディングです。来場者の熱気や物販の売上という点では、2日間で4~5万人がブースを訪れてくれるニコニコ超会議には及びませんが、出展効果は感じています」

アイマリンが歌う「千本桜」のストリーミング楽曲は、ダウンロード数が平時の前月比で2倍近くに増加したという。


「パチンコノンユーザーからも、アイマリンを評価する声は聞こえてきます。遊技機メーカーの三洋が関わっていることは勘づいているはずですが、コンテンツに対しては否定的な先入観や偏見は特にない。コンテンツが架け橋となり、世間一般に三洋という会社や海物語というパチンコ、ひいてはパチンコ業界までポジティブに捉えていただければ良いですね」

高品質な映像美でアーティスト路線を貫くアイマリン。福井プロデューサーは、これまで遊技機を通して感じていたユーザーの反応が、コンテンツ(SNS)を通して直接受け取れるようになったこともメリットに感じている。

「今後もたくさんの人が驚き、感動を覚えるコンテンツをつくり続けたい。誰も見たことがないようなMVを三洋がつくる。VRに関しては、僕は周辺機器が浸透することでもっと身近になる将来を信じているので、例えばMVの中に入れるような展開もおもしろいかもしれませんね」

※『月刊アミューズメントジャパン』2022年6月号に掲載した記事を転載しました。


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