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2023年03月23日
No.10003360

もっと働きやすく、もっと選ばれるためのSDGs ③
SDGsで失敗しないために
SDGs&Career 赤羽良太

SDGsで失敗しないために
あかばね・りょうた 1981年11月19日生まれ。拓殖大学在学時、ジャパンニューアルファにアルバイトとして入社。卒業後社員に登用され、総務部長兼採用担当を務める傍ら、2022年2月から個人事業SDGs&Careerとしてパチンコ業界へのSDGs推進の活動を始める。大切にしている言葉は「1人の100歩より100人の1歩」

前回はSDGsに本気で取り組む企業が享受している5つのメリットをお伝えいたしました。今回はSDGsに取り組む上で失敗しないための考え方や危険性についてお伝えいたします。

SDGsステップアップ

SDGsに取り組みたいが何から始めればいいかイメージが湧かないと言う方も多いです。取り組みの流れについてはIGES(公益社団法人地球環境戦略研究機関)が提唱するSDG Compassが有名ですが、今回はSDGsステップアップについてご紹介いたします。

実はSDGsの取り組みは、「SDGs1.0~4.0」まで段階が存在します(図)。

SDGsに取り組むにあたって、何か新しいことを始めなければならないと考える方は少なくないようです。しかし取り組む上でのポイントとして小さなことから少しずつという視点も大切です。


SDGs1.0[理解]
まずはSDGsを理解し自分事に捉えられるようになることで世界とつながることに取り組みます。ここで有効なワークショップとしてSDGsマッピングがあります。
エコバッグで買い物することを心掛けていれば目標13や14、地域の清掃活動を行なっているのであれば目標11、その活動を個人ではなく他の企業や自治体と協力して行なっていれば目標17という感じです。
SDGsは新しい取り組みだけではなく、今の取り組みがSDGsにつながっている場合が多く存在します。

SDGs2.0[改善]
SDGsにおける3つの重要な言葉を意識して今の活動を見直してみましょう。3つの重要な言葉とは「地球規模」「バックキャスト」「誰ひとり取り残さない」。この点は次号で詳しくお伝えしていきます。

SDGs3.0[創造]
ここでは新たな取り組みへの挑戦を検討していきます。SDGsビジネスは言い換えると社会課題解決ビジネスです。ここで重要なポイントはアウトサイドインの視点で取り組みを考えていくことです。
これまでのビジネスは主に企業側が起点となるインサイドアウトの視点が重視されましたが、社会課題を解決するのは困難です。
一方、アウトサイドインのアプローチは社会課題を起点として取り組みを検討します。
例えば高齢者の孤独化や地域コミュニティの希薄化という社会課題を、パチンコ業界の強みを活かして解決できる方法などはないでしょうか。業界にはSDGsの種がたくさん存在していると感じています。

SDGs4.0[仕組化]
このフェーズでは、取り組みを同時多発的に展開できる状態を目指していきます。
まずは積み上げた経験やノウハウをオープンにすることを積極的に行ないます。自分たちで培ったものを手放すには頭を抱えることもあるかもしれません、しかしこれからのビジネスで大切な考え方は「顧客は地球や次世代の人たち」です。
時代は競争から共創へ価値観が遷移し、「自分たちだけで良い」という考えは長持ちしない時代になっています。つまり利己的な考えだけでは社会からすぐに見透かされることになり、支持を得ることは難しくなることが想定されます。共に地域社会のより良い未来を創っていこうと本気で考える企業や業界を応援しようという動きが高まっています。

SDGsに潜む危険性

「SDGsウォッシュ」という言葉があります。これは主に若者たちがSDGsをやっているふりをしている企業を批判するために選択される言葉です。

今の若者たちは想像以上に環境や社会問題と向き合う時間が多く、敏感に考えています。それでは何がSDGsウォッシュにあたるかというと、SDGs1.0で停滞している状態を示します。

思い返していただくと、SDGsマッピングを行なうことで、今の活動がSDGsの取り組みにつながっていることを体感いただきました。しかし、これで持続可能な社会が実現できるのでしょうか? 答えはNoです。

今の状態では世界は持続可能でないと危惧されたことによりSDGsが提唱されました。せっかくの取り組みが逆効果にならないように必要なことは、少なくともSDGs2・0に取り組みを進めていく必要があることを知っていただけたらと思います。

次回はSDGs2.0[改善]で大切とされる3つの重要な言葉「地球規模」「バックキャスト」「誰ひとり取り残さない」についてお伝えさせていただきます。


※『月刊アミューズメントジャパン』2023年3月号に掲載した記事を転載しました。


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