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2023年09月20日
No.10003811

もっと働きやすく、もっと選ばれるためのSDGs⑧
社会課題を起点とする取り組みがチャンス
SDGs&Career 赤羽良太

社会課題を起点とする取り組みがチャンス
あかばね・りょうた 1981年11月19日生まれ。拓殖大学在学時、ジャパンニューアルファにアルバイトとして入社。卒業後社員に登用され、総務部長兼採用担当を務める傍ら、2022年2月から個人事業SDGs&Careerとしてパチンコ業界へのSDGs推進の活動を始める。大切にしている言葉は「1人の100歩より100人の1歩」

前回は電通社より発表された統計を用いて、高まる直近のSDGs認知度やブランディングに与える影響をお伝えさせていただきました。

今回はSDGsビジネスの取り組みを検討する際に重要なポイントをご紹介します。

アウトサイドインで考える

前回お伝えさせていただいた「社会課題を解決しながら稼ぐ」を軸とする、SDGsビジネスを検討する上ではアウトサイドインの視点が推奨されます。(図1)

従来のビジネスは企業が起点となり、顧客や市場が求める商品やサービスを提供するマーケットインの考えが重視されていました。これからの時代は社会課題を起点とするアウトサイドインにビジネスチャンスが存在すると言われています。

図1

ここで代表的な社会課題をいくつか挙げさせていただきます。

● 電力の高騰
● 少子高齢化
● 高齢者の超高齢化
● 地方から都会への若者の流出
● 伝統産業の衰退
● 農業従事者離れ
● 雇用先の減少


このような社会課題の解決方法にビジネスチャンスが顕在するわけですが、すべてが日本全国一律で生じるものではなく地域により違いがあります。みなさまの地域ではどのような課題が生じることが予測され、どの程度の影響をもたらすのかを知ることで検討しやすくなります。

ここでご紹介したい動画があります。森記念財団都市戦略研究所にて公表されている東京未来シナリオという動画です。

それぞれ4~5分の動画で、2035年の東京について「青空」「曇天」「豪雨」というシナリオが紹介されています。YouTubeで「東京未来シナリオ2035」と検索してみてください。

私たちの未来が私たち自身の行動によってどのように変化する可能性があるのか。まずはイメージすることで自分ゴトとして考えられる部分が増えていきます。

ぜひ隙間時間などをご活用いただいて一度ご覧ください。

未来情報を知るほど
自分ゴト化される


社会課題といってもこの先何が起こるのかは誰にも分かりません。しかし、既に統計上で確実とされている未来情報も存在します。

さまざまな未来情報を知ることで、これから私たちの地域に何が起こり得るのかをイメージすることができるようになります。

未来情報の収集は、5月号でご紹介しました博報堂社の『未来年表』が参考になりますが、野村総合研究所の『NRI未来年表』も情報が多く盛り込まれています。(図2)

図2

NRI未来年表では2023年から2100年で、今後予定されている出来事を「政治・社会」「経済・産業」「国際」の軸で整理しており、さらにNRI予測として独自の見解が盛り込まれています。Web検索「NRI未来年表」で閲覧できるのでご参照ください。

その他、書籍では河合雅司著『未来の年表』『未来の年表2』が大変参考になります。『食卓から野菜が消える』『東京で遅刻者が続出』など人口減少によって起こり得る社会課題が面白くも興味深く紹介されています。(図3)

図3

人口問題の未来についてご紹介します。2030年に日本の人口は1億1662万人となり、2023年比で約668万人減少。5人に1人が75歳以上の超高齢社会になると言われています。

東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県では、2000年に482万人だった高齢者が925万人に倍増することで大量の福祉難民が発生するとも言われています。都道府県からさらに市町村と構造変化の影響度合いには違いがあります。

地域で起こり得る社会課題を起点として、その解決方法をビジネスチャンスに捉えて取り組むことで、企業や業界を応援してくれるファンを生み出すことに繋がっていきます。

そして、1人の100歩よりも100人の1歩。

日本各地のパチンコ店が個々に挑戦する小さな取り組みが、もしかしたら世界規模の社会課題を解決する糸口になるかもしれません。

1店舗の取り組みは小さなものかもしれませんが、100店舗集まれば大きな力に変わり、それは社会から必要とされる評価になっていくのではないでしょうか。

これからもパチンコ業界が地域とともに歩み、地域に根付いた娯楽産業として存続していく上で、少しでも良いのでSDGsに関心を寄せていただくこと、小さくても良いので取り組みを始めることは、決して無駄なことではないのではないでしょうか。

私たちパチンコ業界だからこそできることがあると思っています。みなさんが少しでも本コラムでSDGsに興味を持っていただけたら嬉しく思います。

※『月刊アミューズメントジャパン』2023年8月号に掲載した記事を転載しました。
文=アミューズメントジャパン編集部


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