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2023年08月18日
No.10003708

代理店が曖昧にしがちなパチンコ業界の平均広告単価
文=齋藤裕樹・プラスアルファ By Saito Yuki

代理店が曖昧にしがちなパチンコ業界の平均広告単価
さいとう・ゆうき/転職支援を行う「パチンコ転職ナビ」の責任者として、職業紹介士(第193号)とファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得。同時にWeb広告を学び、Google認定アナリティクス個人認定資格(GAIQ)やAdWords認定資格も取得。現在はホールが取り組むべきWeb戦略を提唱している。

[コラム]多様性の時代に求められるSNSとWEB広告の運用 vol.4

本コラムVol.2では少し強烈な内容をお伝えいたしましたが、今回も広告代理店が曖昧にしがちな部分に切り込んでいきたいと思います。当社もWeb広告代理店なので、これを書くことは諸刃の剣になりかねないのですが、クライアントであるパチンコホール企業様がWeb広告の知識を持つことで代理店側も勉強しスキルが上がり、結果的に双方がWIN-WINになると信じております。

今回は、当社に多くご質問を頂く、「YouTube広告やその他ディスプレイ広告のパチンコ業界平均単価を知りたい」という内容にお答えいたします。
遊技機データは、ホールコンピュータ各メーカーがデータをまとめているので、全国平均データを把握することができ、商圏マーケットはどうなのか、自店はどうなのかといった分析ができます。パチンコホールのWEB広告の平均データをお伝えすることで、そのように活用いただければ幸いです。

弊社でサポートさせていただいているホールの2022年1月から12月の運用データ(n=703)を使いながら、①YouTubeインストリーム、②YouTubeバンパー、③Googleディスプレイ、④Yahoo!ディスプレイ、⑤Google検索広告、⑥Yahoo!検索広告の全部で6種類のパチンコ店のWEB広告平均単価をお伝えします。

▶YouTube

多くのパチンコ店が運用している、YouTubeインストリーム広告ですが、当社データでは、平均視聴単価4.8円、表示単価1.3円でした(表1)。


インストリーム広告とは、動画が5秒経過すると画面右下に広告スキップボタンが表示される広告です。視聴単価とは動画広告が30秒以上見られたか、30秒未満の場合は最後まで動画を視聴した、もしくはリンク先をクリックした場合に発生した費用です。視聴単価は最大で15円でしたが、平均値は約5円でした。表示単価とは、その動画広告を表示させるのに発生した費用です。

当社への依頼が一番多いYouTubeバンパー広告ですが、こちらの平均視聴単価、表示単価は0.8円でした(表2)。


なぜ2つの単価が同じ金額かというと、バンパー動画は6秒間という短い時間ですが、スキップできない動画で最後まで表示されるため、1表示≒1視聴と考えることができるのです。

インストリームとバンパー広告ですが、新台入替など伝えたいことが明確な場合、弊社はバンパー広告を勧めています。理由は3つです。①視聴単価を抑えることができる、②ユーザー側のストレスを軽減できる、③スキップできないので確実に内容を伝えることができる、です。

ただしデメリットもあります。バンパー広告はとにかく時間がタイトです。そのため、必ず「いつ・どこが・なにを」の3点を伝えるようにするべきです。重要なのは、動画のクオリティよりも音声です。映像の綺麗な新台入替動画であっても、先ほどの3つのキーワードが入っていなければ伝わりづらくなるからです。また、当社では必ず音声は声優に依頼し、テキストも記載した動画を作成します。
YouTubeを観ている多くのユーザーは、ながら視聴が多いためです。ただでさえ動画広告が入ることで、ユーザーはスキップボタンを探そうとしてしまうので、音声で「いつ・どこが・なにを」を伝えることが非常に重要なのです。

▶GoogleとYahoo!のディスプレイ

次に、ディスプレイ広告についてです。これはブログやサイトに表示される画像広告です。馴染みのない方は、バナー画像広告だと思ってください。当社ではGoogleとYahoo!の2つを運用しており、平均は表3の通りです。


表示・クリック単価についてはYahoo!が圧倒的に安価ですが、クリック率ではGoogleが優位でした。その理由の前に、表3の「表示単価」と「視認範囲表示単価」の違いについてご説明します。とあるサイトにパチンコ店のディスプレイ広告が表示されました。スマホで見ると、下に3スクロールした部分に表示されていましたが、ユーザーは1スクロールで画面を閉じたとします。この場合、表示はカウントされますが、視認範囲表示はカウントされません。つまり、視認範囲表示は、確実にユーザーのデバイス画面にパチンコ店の画像が表示された際にカウントされるのです。そのため当社では視認範囲表示を必ず確認しています。

話は戻って、先ほどのGoogleとYahoo!の単価の違いについてですが、Yahoo!が圧倒的に安価なのはYahoo!独自のコンテンツに広告配信できるからです。例えばYahoo!ニュースやYahoo!天気、Yahoo!乗り換え、Yahoo!ファイナンスなどです。Yahoo!のこのようなコンテンツの月間利用ユーザーは8400万人おり、月間840億PV見られています。一方のGoogleは、費用はかかりますが自動学習機能による見込み客へのリーチ力が高いため、クリック率がYahoo!より高くなるのです。
GoogleとYahoo!は併用することが望ましいのですが、費用が限られている場合や、とにかく認知をしてもらいたい場合はYahoo!ディスプレイ(YDA)広告をお勧めします。

▶GoogleとYahoo!の検索広告

最後に、検索広告についてです。
検索エンジン(Yahoo!やGoogle検索)で検索した際、テキストで上位に広告を表示する広告です。昔はリスティング広告とも呼ばれていました。クリック率を見ると、Google検索広告がYahoo!検索広告の2倍近くあります。これは、Googleの自動学習機能で類似の近しい見込みユーザーへ広告表示させるためです。


しかし、Googleはギャンブルポリシーが厳しいことにより、パチンコ店側で指定したキーワードでユーザーに必ず表示できるわけではないことと、指定地域が狭いとほとんど表示されないという問題があります。反対にYahoo!の場合は、検索エンジン利用率はGoogleより大きく劣りますが、ギャンブルに関する制限が無いため、指定したキーワードで配信可能です。

このように聞くと、検索広告は少し使い勝手が悪そうに思いますが、見込みユーザーがパチンコに関連するキーワードを検索した際に上位にテキスト広告が表示される仕組みなので、顕在層へアプローチできる広告手法としては効果的です。さらに、ユーザーが実際に検索したキーワードを知ることができるのもメリットです。当社では、日予算1000~2000円で、店舗ブランディングの検索広告を配信し、データを集めて分析に活用しています。

今回、YouTubeインストリーム、バンパー、Google・Yahoo!ディスプレイ、Google・Yahoo!検索広告と全部で6種類のパチンコ店WEB広告平均単価をお伝えしました。今後のWEB広告配信や、代理店様との打ち合わせの資料にご利用いただければ幸いです。




★本コラムは月刊アミューズメントジャパン2023年04月号に掲載したものです。最新のコラムは月刊アミューズメントジャパンをご覧ください。


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