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2024年01月31日
No.10004099

パチンコ店特化型広告代理店のCEOが語る 「実戦! パチンコ店のWebマーケティング」㉖
実施データから見えてきた 「LINE広告」の効果性
文=梶川弘徳 シー・エフ・ワイ代表取締役

実施データから見えてきた 「LINE広告」の効果性
かじかわ・ひろのり 株式会社シー・エフ・ワイ 代表取締役CEO パチンコホール企業で営業部長として、営業戦略や組織マネジメントの責任者で活躍し、2009年33歳でCFYを設立。提案力が強みのパチンコ店特化型広告代理店として評価を集め、会社を成長させてきた。パチンコセミナー多数登壇。業界誌でも執筆活動中。着物のギネス世界記録ホルダーであり「きものではたらく社長」としてブログも配信中。

当連載コラムの11月号で、「LINE広告をどう使うべきか?」というタイトルで、パチンコ店におけるLINE広告の活用方法をご紹介しました。CFYではLINE広告の取扱い件数が増加したことで、実施データに基づくLINE広告の効果性が明確になってきたので、今月号では「実施データから見えてきたLINE広告の効果性」について解説いたします。

まずは、「参考データ」をご覧ください。こちらは、ある関東地方ホールAがLINE広告を実施した時の集計データです。今年11月「スマスロまどか☆マギカ導入時」のプロモーションに予算10万円でLINE広告を活用。広告グループは「友だち+ブロックユーザー」と「類似ユーザー」の2つに分けてターゲティング。クリエイティブ(デザイン)は11月前半と11月後半に分けて配信、といったキャンペーン内容です。LINE広告の実施データを分析する場合、様々なデータを分析することが可能です。1つがCTR(クリック率)で、広告が表示された回数に対してクリックされた割合を指します。もう1つがCPC(クリック単価)で、1回のクリックにかかった費用です。ホールAで実施した際の「参考データ」を見てみると、CTR(クリック率)は1.20%、CPC(クリック単価)は12.52円という結果だったことが分かります。

この数値がどのくらいの効果を意味しているのかを理解するために「Google広告」との比較をしてみます。WordStream社の「世界の業界別Googleベンチマークレポート」によりますと、Google広告のCTR(クリック率)は、リスティング広告で3.17%、ディスプレイ広告で0.46%です。CPC(クリック単価)は、リスティング広告で2.69ドル(約382円)、ディスプレイ広告で0.63ドル(約89円)となっています。このGoogle広告の相場とホールAで実施したLINE広告を比較すると、CTR(クリック率)はリスティング広告とディスプレイ広告の中間くらいの数値になりましたが、CPC(クリック単価)はリスティング広告とディスプレイ広告のどちらと比較しても大幅に下回る数値となりました。

つまりこれは、「クリック率は大きな違いは期待できないが、クリック単価に関してはGoogle広告よりも遥かに割安で実施することができる」ことを意味しています。CFYの蓄積データを見てみると、キャンペーン内容や機種コンテンツなどによって違いはあるものの、CPC(クリック単価)に関してはほとんどのケースがGoogle広告よりも割安になる傾向にあります。

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LINE広告はなぜクリック単価が割安になるのか。LINE広告は「精度の高いターゲティングが可能」という特徴があります。自店舗のLINE公式アカウントの「友だち」をターゲティングできるのは当然として、それ以外にも「ブロックしている友だち」や「電話番号」を抽出してターゲティングすることが可能です。また、類似オーディエンス(友だちと類似したユーザー)に向けて広告配信することもできます。この違いによってGoogle広告よりも「精度の高いターゲティング」が可能となり、CPC(クリック単価)が大幅な割安になる傾向があります。

もうひとつ、ホールAで実施したLINE広告には「LINE広告ならではの傾向」が表れていました。「年齢別のクリック数」を分析してみたところ、最も多かったのは「20歳~24歳」、次に「65歳以上」、「25歳~64歳」までほぼ均等という結果になりました。これは、LINEアプリの利用者が全年齢ともほぼ同じ割合であることが要因のひとつと考えられます。LINEは若年層からシニア層まで利用されており、その割合はほぼ均等です。その利用者属性に伴い、ホールAで実施したLINE広告のクリック数も年齢区分はほぼ均等になっていました。CFYの蓄積データにおいても、キャンペーン内容や機種コンテンツなどによって違いはあるものの、クリック数の年齢区分はほぼ均等になる傾向にあります。

最後に、LINE広告のクリエイティブ(デザイン)の傾向分析について触れておきます。まず、LINE広告に限らず、Web広告全般的にクリエイティブ(デザイン)はクリックに大きく影響すると認識することが重要です。同じキャンペーンであってもクリエイティブのクオリティによってクリック数に倍以上の違いが出ることも珍しくありません。では、LINE広告においてはどんなクリエイティブにすればクリック数が高まる傾向にあるのか。LINE広告で最も意識したいことは「店舗からの情報ではなく、トピックスとしてのデザインにする」ということです。例えば、「Lマクロスフロンティア導入時」にLINE広告を実施する場合、「○○店に○○台導入!」よりも「Lマクロスフロンティアがスマスロで新登場!」の方がクリック数は高まります。逆に、店舗名などを掲載せず、トピックスとして配信した方がパチスロユーザーやコンテンツファンの興味を惹く傾向にあります。

圧倒的な配信ボリュームを持つLINE広告は、ターゲティング機能や予算効率が優れていることが数値として明確になってきました。新台導入などの際にトピックス風に作成したクリエイティブでLINE広告を試してみてはいかがでしょうか。

※『月刊アミューズメントジャパン』2024年2月号に掲載した記事を転載しました。
文=アミューズメントジャパン編集部


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