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2024年07月05日
No.10004405

パチンコ店特化型広告代理店のCEOが語る 「実戦! パチンコ店のWebマーケティング」㉛
「会員カード」の入会促進をタッチポイント基点で考える
文=梶川弘徳 シー・エフ・ワイ代表取締役

「会員カード」の入会促進をタッチポイント基点で考える
かじかわ・ひろのり 株式会社シー・エフ・ワイ 代表取締役CEO パチンコホール企業で営業部長として、営業戦略や組織マネジメントの責任者で活躍し、2009年33歳でCFYを設立。提案力が強みのパチンコ店特化型広告代理店として評価を集め、会社を成長させてきた。パチンコセミナー多数登壇。業界誌でも執筆活動中。着物のギネス世界記録ホルダーであり「きものではたらく社長」としてブログも配信中。

5月20日、ホール関係4団体は「パチンコ・パチスロ店営業における商品の提供方法に関するガイドライン(以下、同ガイドライン)」を制定しました。同ガイドライン制定の目的は、遊技客ニーズの多様化に伴い、出玉を交換する際の賞品に幅広い選択肢を提供すること。これにより、従来の「パチンコ・パチスロ共通賞品」のみならず、パチンコ、パチスロそれぞれの版権に対応するなどした「パチンコ専用賞品」および「パチスロ専用賞品」が提供できるようになります。

同ガイドライン制定は、パチンコホールにとって大きな利点がある反面、営業戦略にどう組み込んでいくか難しい判断に迫られることにもなるでしょう。いかに同ガイドラインを戦略的に活用していくか議論がなされているなか、「会員カード」について耳にする機会が増えました。ということで、今月号では、改めて、会員カードの重要性や入会促進について整理し、会員カードの戦略的活用についてさまざまな観点から考えてみたいと思います。

どのホールも日頃から入会促進には力を入れているはずです。にも関わらず、会員数はなかなか伸びにくい傾向にあります。では、なぜ会員数は伸びにくいのか?会員増加の解決策の糸口を見つけるために、CFYは独自調査としてプレイヤーを対象としたアンケート調査を実施しました。

結果として、プレイヤーが会員カードを作らない理由は、以下の回答となりました。1位:メリットがない(47%) 2位:めんどくさい(27%) 3位:身バレする(11%) 4位:タイミングがない(5%) 5位:作り方が分からない(3%) 6位:その他(7%) この結果を整理すると、会員カードを作りたくない理由の約7割が「メリットがない」と「めんどくさい」が占めていることが分かります。

次に、アンケートを基にした「解決策」について考えてみたいと思います。まずは、プレイヤーの回答にある「メリットがない」という点を整理します。10割分岐営業ではない場合、会員カードに貯玉することは確実にプレイヤーのメリットになります。現金投資から遊技開始するよりも、貯玉から遊技開始した方が優位性は格段に上がります。

そのため、貯玉はプレイヤーにとって大きなメリットであることをいかに伝えるかが優先課題となります。貯玉以外にも、優先入場、延長遊技、確変・AT翌日持ち越し(地域によってNG)など、会員カードの付加サービスを一度整理してみても良いでしょう。

次に、アンケート回答2位の「めんどくさい」を整理します。「めんどくさい」は心理的障壁ですので、サポートで解決できる可能性がある要素です。心理的障壁を解決するには、やはり「人(スタッフ)」によるサポートが最も効果的ですが、さらに「顧客接点(タッチポイント)」を意識して入会促進を実施すると入会数が増える傾向にあります。実際に、入会した人の話しを聞いてみると、朝の入場前や遊技台での促進によって、あるいはJCや景品カウンターで余り玉の説明を受けたことによって、入会したという人が多いです。また、時間帯では「午前中」の入会が圧倒的に多い傾向にもあります。まだ遊技結果が出ていない「午前中」に専属スタッフ又はコンパニオンを配置し、「めんどくさい」という心理的障壁に対して「顧客接点(タッチポイント)」を考えながら、人の手によってサポートするのが効果的であると言えるでしょう。

そして、「めんどくさい」という心理的障壁へのもう1つの対策として「Web申込み」の仕組み化を推奨します。入会用紙に記入するというのはプレイヤーにとって負担が大きいので、スマホやPCで必要事項を登録できる仕組みを構築し、できるだけ負担を軽減することも効果的です。ホールコンピューターがダイコク電機社の製品であれば「マルチタブレット TB‐01」というサービスを利用することで実現できますし、ホールコンピューターが他社製品であっても「Googleフォーム」を利用することで仕組み化は可能です。また、Web申込みの仕組み化を行う場合は、同時に「Web誘導」の仕組みを構築することを推奨します。公式LINEやSNSによって会員カードのメリットを配信し、専用のLP(ランディングページ)にアクセスしてもらい、ページ内にある申込みフォームからWeb申込みをして頂く。新装開店やリニューアルオープンなどの日は、営業案内とセットでWeb誘導の情報配信することを推奨します。


最後に、「安心して貯玉が預けられる店舗つくり」について触れておきたいと思います。まずは、ご自身のホールが「貯玉補償基金」に加盟しているかをご確認頂き、加盟しているのであれば「加盟店ポスター」と「加盟店ステッカー」の掲出をおすすめします。店舗の加盟状況や、ポスター・ステッカーはWebサイトで確認できます。(一般社団法人貯玉補償基金 https://www.chodama.or.jp/)

また、貯玉管理に関する「会員規約」が整備されていることも、貯玉を預けるプレイヤーにとっては安心要素になりますので、改めて整備・見直しを推奨します。貯玉の管理期限など、管理ルールを決めておくことは、ホールにとってもトラブル回避という観点から重要となります。会員入会促進の一環として、安心して貯玉が預けられる店舗つくりをしてみてはいかがでしょうか。

※『月刊アミューズメントジャパン』2024年7月号に掲載した記事を転載しました。
文=アミューズメントジャパン編集部


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