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2024年04月04日
No.10004200

レポート:注目の無人運営店舗ビジネス
ゴルフ、サウナ、フィットネスを独立型店舗で開設

レポート:注目の無人運営店舗ビジネス
ロードサイドに4つの独立型店舗を集積させている。このうち3棟がインドアゴルフ施設で1棟が完全個室型のサウナ施設だ。

「無人店舗」というとコロナ禍に一気に増えた食品自販機を思い浮かべるかもしれないが、レジャー領域でも広がっている。これを実現させているのが予約管理システム、入退出管理システムだ。島根県松江市で地元の建築事業者・テクニカルカンパニーが、ユニークな無人運営店舗で業種ビジネスに参入している。


各種ビジネスの展示会を観察していると、数年前から店舗ビジネスの「無人運営化」が急速に広がる兆しが見えていた。これを実現させているのはスマホとオンライン店舗管理システムで、一例を挙げれば、ビジネスホテル、フィットネスクラブ、インドアゴルフ練習場などの業態で、コロナ禍に「24時間営業・無人運営」を謳うフランチャイズチェーン店舗が急速に増えた。事業者にとってみれば、人手不足感が強まる中で運営が低コスト化できるという大きなメリットがあり、それによって利用料金を安く提供できる。

24時間営業の会員制インドアゴルフ施設『Lounge Range(ラウンジレンジ)』


Lounge Range(ラウンジレンジ)は東京を中心に全国に約70店舗を展開する24時間営業の会員制インドアゴルフ場で、そのほとんどがビルイン型。しかし山陰地方1号店の『Lounge Range MATSUE』(島根県松江市)は、同ブランドにとって初めてのロードサイド独立型店舗で、敷地内に3つの練習所が建てられている。2つはゴルフシミュレーター「SDR Golf Simulator」を導入した練習施設。1つは国内外226コースを疑似ラウンドできる施設で、各コースのラインや傾斜を再現する機構が搭載されている。練習用というよりグループで疑似ラウンドを楽しむために利用されている。これをフランチャイジーとして運営しているのがテクニカルカンパニーだ。

『Lounge Range MATSUE』の一棟はグループ利用を想定したもの。室内は広々としている。


これに加えて同敷地には、会員制の完全個室型サウナ施設『SAUNA TEC』(開発・運営ともテクニカルカンパニー)がある。サウナは本格的なフィンランド式で、バスタブ、シャワー、トイレのほか、大画面テレビを備えた休憩室を備えている。パウダールームには美容サロンでも使われている高性能ヘアドライヤーを備え、寛ぎ感とちょっとした贅沢を味わえる。

完全個室型サウナ施設『SAUNA TEC』はのんびり寛げるリラゼーションルームを備えている。テレビやエアコンの操作はアレクサを使う。


これら独立した4つの施設のいずれも受付がなく、無人で運営されている(厳密に言えば1日に1回の定期清掃が入る)。スマホで予約し、来店時にはスマホを使って開錠する。「無人運営では、不適切な利用や不正な利用がなされるのではないか」と危惧する人もいるだろうが、テクニカルカンパニーは利用者を法人会員とその紹介者に限定することでこの問題を回避した。

「法人会員制にすることで、乱雑な使い方があれば当人の会社を通じて注意を与えることができるし、誰がいつ利用したかを会社が把握していることが抑止力になります。実際、トラブルはほぼありません。不特定多数の人に対して会員募集していないため、広告宣伝費が非常に低コストというメリットもある」(同社)

ネックになったのは、法人会員の利用者を管理するのに適した既成の予約システムがなかったことだが、同社はこれを自社開発した。

そして同社は2024年1月31日に、このインドアゴルフ練習施設と完全個室型サウナ施設の近くに、新たな完全個室の女性専用フィットネス&サウナ施設『Fit-c』をオープンした。コンテナを改造して造られた約15平米の施設内には、3つのフィットネスマシン、サウナ室、トイレ、シャワー室を備える。

コンテナを改造して造られた完全個室の女性専用フィットネス&サウナ施設『Fit-c』

サウナはフィンランド製の「HARVIA」。ベンチ幅は1.8メートルとゆったり。

『SAUNA TEC』と同様に高性能ドライヤー「リファ」と「ダイソン」が置かれている。予想通り、内覧会に参加した女性たちはこれに強く関心を示したという。他の施設等同様に自社開発の予約システムを使い、スマホに送られた暗証コードで入室するので、無人で運営できる。

プロ仕様の高性能ドライヤーも女性利用者に好評だ。

先の『Lounge range MATSUE』と『SAUNA TEC』との大きな違いは、コンテナを改造した『Fit-c』は建築物ではなく車両である点。「被けん引車その他のもの」に該当し、法定耐用年数4年間で減価償却をとることができる。当然ながら、基礎工事が不要なため初期費用が非常に低い、建築に係る申請が不要で移動が可能なため、電気と水道を引き込める場所ならどこにでも設置可能というメリットもある。実際、『Fit-c』の1号施設が解説されたのは、契約駐車場に隣接する小さな遊休地だ。広い駐車場を有するロードサイド型のパチンコホールやコンビニエンスストアのサイドビジネスに適していそうだ。

建築物ではなく車両であるため、工費が非常に安く、どこにでも移動が可能だ。



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