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ポイトレDayは大にぎわい|ピットアース
ピットアース(東京都江東区)のポイトレ事業が、いよいよ本格的に始動する。サービス会員が遊技機IPのトレーディングカードを入手できる『ポイトレ』は、同会員をホールに呼び寄せる集客サービス。都内で行っている検証実験では、上々の成果が認められた。
ピットアースが2月1日に内容を大幅に刷新した『ポイトレ』では、サービス会員がWebサイトにログインしたり、コンテンツを利用したりすることに対して「経験値」を付与している。経験値が規定量に達すると、ステータスである「称号」がランクアップ。会員は称号が上がるたびに、トレカパック(3枚入り)と交換可能なコインを入手できる。
交換コインを使うときには、トレカパックの受け取り方法を選択する。選択肢の一つは『ポイトレ』導入店での引き渡し。もう一つは自宅配送だ。配送を選んだ場合には、サービス内通貨の「ジェム」(有償)を消費する。ここに第一の送客施策が組み込まれている。
検証実験に協力した『新宿アラジン』(東京都新宿区)では2月1日から25日までに、252人のサービス会員がトレカパックを受け取るために同店を訪れた。『ポイトレ』担当者は、「配送を含む総交換数は1000以上。このうちの252人ですから、初動としては上出来と捉えています」と話す。
マイホールが『ポイトレ』を導入していないと、無料のポイ活でトレカの入手権利を得たサービス会員は、真っ先に無料で即座に受け取れる導入店がどこにあるか探す。サイト内では導入店舗一覧が表示されている。
“創客”施策「ポイトレDay」
『ポイトレ』は利用登録時に、ユニバーサルエンターテインメントが提供する実機連動サービス「ユニメモ」とアカウント連携を図っている。会員は「ユニメモ」を利用することでも経験値を獲得。両サービスを利用する会員ほど、経験値を貯めやすくなる。
ピットアースはさらなるアクティブ向上施策として、経験値量が倍増する「ポイトレDay」を用意している。ポイトレDay当日は、経験値を大量に獲得するサービス会員が続出。パック交換手続きの集中が予想される。これが第二の送客施策だ。
「トレカパックは中身が見えないように、銀色の袋に封入しています。ホール店舗様で交換対応されるときには、納品した箱の中から無作為にパックを取り出してお渡しするだけ。いちいち申請番号を確認するような手間はありません」(ポイトレ担当者)
とはいえ店内の混雑具合は、店舗によってまちまち。そこで『ポイトレ』では、導入ホールが自店に都合の良い日にポイトレDayを設定できるようにしている。設定日数(回数)は、契約内容に準じる。
2023年2月に発出された広告宣伝ガイドラインを機に、多くのホールが来店イベントや取材イベントを集客施策に据えている。稼働貢献を果たすものがある一方で、知名度や業界理解に乏しい演者の問題行動は後を絶たない。
「来店系の集客効果は当日限定になりがちですが、『ポイトレ』は契約期間中、導入ホールを常にサイトで表示。効果が持続する点が強みと言えます。一部の演者が起こした人的な炎上リスクも一切なし。来店動機であるトレカ自体も、著作権者から許諾を得た公式なモノです。今後のIPにもご期待ください」
ピットアースは、ポイトレDay当日の様子を記事に残す「ポイトレDayレポート」を基本サービスに加えている。“創客”につながる施策として、活用が見込まれる。
希少価値をもつトレカ
日本玩具協会によれば、トレカの国内市場規模はおよそ2350億円(22年度)に上る。コロナ禍以降、急速に伸長した。カードゲームとして興じる以外に、コレクション品として楽しまれている。
今年3月には東京・秋葉原に、自慢のトレカを展示できるレンタルショーケース店が開業した。売買交渉も可能。ポケットモンスターやONEPIECEなどの大型版権に限らず、どんなジャンルでも“その1枚”を喉から手が出るほど欲しがる人はいる。
『ポイトレ』は、称号のランクアップで誰でも入手できるトレカパックのほかに、世界に1枚しかない限定トレカも用意している。入手方法は、毎月開催される全国規模の経験値ランキング大会。上位入賞でシリアル入りの記念トレカが手に入る。
希少性が高いトレカは、フリマアプリで高額出品されやすい。『ポイトレ』の前身サービスで提供された「戦国乙女」の限定トレカも然り。5月から配信を予定している「緑ドン」も、同じ経緯を辿るかもしれない。
月額契約の導入費用を除けば、ホールにはメリットしかない『ポイトレ』。既存の集客施策と組み合わせることも可能だ。“あと一押し”の集客に悩むくらいならば、早々に問い合わせるほうが道は開けるだろう。
協力店が語る『ポイトレ』の魅力
『新宿アラジン』飯石瑶一店長
――検証実験に協力した理由は。
飯石 新しいものなので話題性があると思って。集客施策の選択肢は多いに越したことはありませんし、トレンドの移り変わりは早いですから。
――稼働データに良い影響は現れましたか。
飯石 ローンチ前の1 月と比較すると、2 月はパチンコもパチスロもアウトが伸びました。1月は当店の創業月なのに、それを上回ったインパクトは大きいですね。月の半数以上、ピットアースさんのプロモーションの効果もあると思いますが、それでもポイトレDayのデータは目を見張るほどでした。
――どんなところで効果を感じましたか。
飯石 例えばポイトレDayを実施した平日とそうでない平日を比べると、プラスに作用する結果を確認できました。
――来店客の反応はどうでしたか。
飯石 「登録したけど、どうすればいいの」という声をよく聞きました。今回は実験協力でしたから、トレカパックの交換は当店のカウンター・当店のスタッフではなく、すべてピットアースさんに委ねて対応をお願いしました。営業フロア外に場所だけ貸して、ポイトレブースを展開してもらいました。常連のお客様も立ち寄っていたみたいですね。印象的だったことは、組合の集まりで他社からどんなサービスなのか、聞かれました。
――ポイトレの課題は感じましたか。
飯石 ユニバさんは熱狂的なファンを抱えるトップメーカーではありますが、「マイスロ」や「スロプラNEXT」などとも連携できれば、会員数は飛躍的に増えると思います。
――自店の課題は見えましたか。
飯石 ポイトレDayと既存の集客施策の組み合わせ方や、ポイトレDayをいつに設定するかなど、考えることが多いことに気づきました。効果を最大限に引き出すには、来店と合わせるのか、取材と合わせるのか。ポイトレDayは〇日がいいのか、第〇週の〇曜日がいいのか。試行錯誤しています。
――どのような将来像を描けそうですか。
飯石 個人的には自店だけでなく近隣店舗を巻き込んで、新宿エリアが盛り上がること、全体客数が増えることを期待しています。新宿に来れば何かある。そういうエリアに対する印象・期待感を醸成したいですね。
文=アミューズメントジャパン編集部