2024年11月07日
No.10004603
No.10004603
若年男性と女性向けパチンコ施策が奏功|『レジャー白書2024』
日本生産性本部の余暇創研は10月31日、『レジャー白書2024』を発刊した。
A4判・144ページからなる本書には、国民が2023年に楽しんだ5部門108種目のレジャー活動について、意識調査の結果が記されている。インターネットによる実態調査は24年1月から2月にかけて行われ、有効回答数は3303。15歳から79歳までの男女を対象とした。レジャー白書は1977年の創刊以来、今号で48冊目を数える。
それによれば「パチンコ」の参加人口は660万人で、前年より110万人減少。「パチンコ」の参加率は6.8%(前年比1.3ポイント減)だった。
同書には性・年代別の参加率が詳しく示されている。パチンコ参加率の減少が著しいのは、男性30代(前年比7.5ポイント減)。男性40代(同4.2ポイント減)、男性70代(同3.7ポイント減)が後に続く。男性は全体で同3.2ポイント減少した。
既存客と目される男性30代以降の参加率が大きく低下した一方で、男性10代の参加率は顕著に高まった。男性20代の参加率低下も、ほかの世代の男性と比べれば穏やか。若年層向けの施策は、一定の成果があったことが分かる。
女性向けの施策も刺さったようだ。女性の参加率は全体で同0.4ポイント上昇。女性50代(同4.5ポイント)の伸長がけん引した。既存客の流出を最小限に抑えつつ、新規客を獲得した。
これらのことは、遊技業界および各社の取り組みに一定の功績が認められたことを表している。とはいえ、ボリュームを占める既存客が大きく流出したことには変わらない。『レジャー白書2024』は、今後の施策を練り直す良い機会と言えそうだ。
実感とデータの相違点
2023年はスマスロが市民権を得て、ホール各社の業績が上向いた年だった。特に同年4月から稼働した『スマスロ北斗の拳』は、休眠層の呼び戻しに成功した機種として認知されている。しかし「パチンコ」の参加人口は激減した。
この相違はなぜか。本誌は、種目リストにある「パチンコ」という表記が感覚のズレを生んでいると考える。レジャー白書の調査では108種目のリストを提示して、昨年1年間に1回でも経験したものをチェックさせている。この種目リストに「パチスロ」の表記はない。
本誌とP-WORLDの共同ファンアンケートによれば、パチンコをまったく遊技しないパチスロファンは例年、回答者全体の10%前後存在する。パチスロしかプレイしない彼らやスマスロ目当てで遊技に復帰した層が、「パチンコ」にチェックを入れるか。本人次第だろう。
レジャー白書も「回答者の解釈に委ねる」というスタンスに立つ。種目リストを「パチンコ・パチスロ」に変更することについては、経年性の点から慎重に検討したいそうだ。ただしこれはパチンコ・パチスロファンの全体像を、やや小さく見積もることにならないかという指摘に過ぎない。
もう1点、参加人口の算出に用いる総務省の「人口推計」についても補足する。日本の人口は減少しているのに、最新号では前年より200万人多い人口が使われた。これはなぜか。
総務省のデータベースをたどると、外国人移住者の存在に気づく。最新号では移住者を含む「総人口(9740万人)」、前年は移住者を含まない「日本人人口(9538万人)」を基に算出されていた。レジャー白書はこの点について、「諸事情のため」と説明する。前年がイレギュラーで、基本は「総人口」だ。
これは前年のパチンコ参加人口(770万人)が、もっと多かった(790万人規模)ことを示唆する。言及したいことは前年の好調ぶりではなく、最新のパチンコ参加人口(660万人)が、前年比110万人減では済まないこと。減少率は15%を超える。
2023年12月末時点のホール軒数は7083軒だった。前年比582軒(7.6%)減少。ファンの減少率は、店舗減少率の倍であることを改めて認識しなければならない。
文=アミューズメントジャパン編集部