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2025年11月10日
No.10005044

シーズリサーチ
データのプロが語る習得法 判断基準となる指標をもつ
【特集】データを読む力を養う

データのプロが語る習得法 判断基準となる指標をもつ

データに基づいて意思決定するには、当該データの信頼性や調査方法に注意すべきだ。粒度が粗いデータを下敷きにすると、導かれる施策も大雑把になる。データを読む力や扱うセンスを高めるには何が必要なのか。アミューズメント業界に特化したマーケティングを手掛け、「パチンコ・パチスロプレイヤー調査」を発刊するシーズリサーチに話を聞いた。

――貴社では毎年、「パチンコ・パチスロプレイヤー調査」を実施しています。遊技業界の今を写し出すこの調査は、どのような背景で始まり、どのようなことを明らかにしようとしていますか。

シーズリサーチ この調査はEBI(エンタテインメントビジネス総合研究所)が1995年にスタートし、2020年から私どもが引き継いだものです。調査を始めた当時、遊技業界は巨大な産業であるにもかかわらず、基礎的な調査が存在していませんでした。業界全体の動向を把握するデータは、絶対になくてはならないものです。

「パチンコ・パチスロプレイヤー調査」は遊技者の行動や傾向、実態を明らかにする基礎調査です。その目的は、ホール経営や店舗施策に役立つ判断材料として使っていただくこと。ホール様以外にも、業界に関係する皆さまの共有知識としてご活用くだされば幸いです。第三者である私どもが適切な規模感で実施した調査では、実態に近い結果が得られます。シーズリサーチはそれを業界外にも発信することで、遊技業界に向けられる偏見や誤解がなくなることを願っています。

――貴調査はどのような方法で実施していますか。

シーズリサーチ 最新の「パチンコ・パチスロプレイヤー調査2025」は25年3月下旬に実施しました。全47都道府県の居住者を対象にしたWebアンケートです。08年までは自宅で記入された調査票を郵送で回収していましたが、09年からWeb調査に切り替えています。

アンケートはスクリーニング調査と本調査の2段階に分けています。スクリーニング調査には、最近の1年間でどのくらいパチンコをしたか、どのくらいパチスロをしたかという設問を組み込んでおり、プレイ経験がある人が本調査の設問に進みます。

こうして集まった回答サンプル数をそのまま集計すると、回答者の属性分布が母集団とズレるため、ウェイトバックという方法で回答の偏りを補正する必要があります。最新の国政調査を基にして、性・年代の構成比に準拠したウェイト値を乗じるものです。

例えば4万3766サンプル集まったスクリーニング調査では、60歳から79歳までの男性が3278サンプル、同女性が9306サンプルでした。このまま集計すると同年代女性の意向が色濃く反映されます。ですから同年代男性を2・1倍したり、同年代女性を0・8倍したりと、実際の人口構成に近づけるような重みづけをするのです。

――調査内容はどのようなものですか。


シーズリサーチ 全14問のスクリーニング調査では、性別、年代、居住する都道府県、婚姻状況、職業、関連娯楽の参加状況、世帯収入、喫煙状況のほか、パチンコ・パチスロに対する印象などを聞いています。

一方、パチンコ・パチスロプレイヤーが回答する全40問の本調査では、遊技頻度の増減理由、遊技レート、遊技費用、遊技時間、遊技目的、よく行くホールを選ぶ理由、機種情報の入手先、好みの遊技機タイプ、メーカー認知度、メーカー好感度などを聞いています。

調査結果をまとめた本書では、各データを経年で比較したり、多用な属性でクロス集計したりと、多角的な分析結果を記しています。グラフを多用しているので、気になる項目に目を通すだけでも見ごたえがあると思います。

業界特化の意義


――遊技参加人口が語られるとき、多くの人はレジャー白書を引用します。「パチンコ・パチスロプレイヤー調査」の値と異なるのはなぜですか。

シーズリサーチ この違いは多くの方から質問を頂戴します。レジャー白書と当社の調査結果が異なる大きな理由の一つは、調査規模が違うからです。レジャー白書の全体サンプルは約3500人程度。仮にパチンコ参加率を8%とすると、パチンコユーザーの回答は280サンプルと試算されます。

Webアンケート調査を行う際にはいろいろな要素を考慮しますが、例えば「信頼水準」「許容誤差」というものに注意を払う必要があります。ご興味のある方はぜひ調べていただきたいのですが、パチンコ業界全体を把握するような、母集団が数万人を超える大きい市場調査では、本調査のサンプル数が最低1000人は必要だと当社は考えています。「パチンコ・パチスロプレイヤー調査」の本調査サンプル数は1500人。その他、ご依頼いただく業界把握調査でもすべて1000人以上のサンプル数で実施しています。

レジャー白書は娯楽全般を調査しているため、パチンコ市場は数多くある種目の一つにすぎません。対象者の絞り込みや設問の表現も、業界特化である当社の調査に比べると抽象的な部分があります。パチンコ市場の概要や傾向を大まかに掴むには280サンプルでも有意義ですが、業界内から正確性の高いデータを発信する場合には不十分だと考えます。

――本誌の主な読者はホール事業者です。本社勤務者と店舗勤務者、貴調査はどちらにより役立ちますか。

シーズリサーチ どちらにもご活用いただけると思っています。経営陣や本社勤務の方であれば、出店やプロモーション施策、今後の営業方針を決定する際に参考にしていただいています。また店舗勤務の方であれば、自店ユーザーの動向が全国傾向と比べてこうも違うことに気づけたというお声をいただいています。本書は全国的な傾向を記していますので、最適な選択肢・ヒントを感じ取っていただきたいと考えています。

近道は指標をもつこと

――近年ではデータドリブンなアプローチが重要です。データを読み取る力やデータを基にアクションを起こす力は、どのようなことで育まれますか。

シーズリサーチ 感覚や経験に頼るのではなく、データに基づく根拠をもって意思決定するには、判断基準となる指標をもつことが重要です。なぜならデータの意味や優先度が明確になり、現状を的確に把握することが可能になるからです。基準をもつには、情報収集して多くの情報に当たり、判断材料を豊富にもつことが必要になります。世にあふれる情報や数値を眺めるだけでは、効果的な活用にはつながりません。基準となる指標を見極め、それを軸に分析を進めること。そうすることでデータドリブンを推し進める力が育まれると思います。これまでデータを扱う業務をされてこなかった職位の方でも、「パチンコ・パチスロプレイヤー調査」は業務に直結する馴染み深いデータです。ぜひ最適な入門書としてご活用ください。

――ホールに向けてメッセージはありますか。

シーズリサーチ 「パチンコ・パチスロプレイヤー調査」には業界全体の動向を把握する役割だけでなく、店舗経営に最適な選択肢を導く指標としての活用法もあります。ぜひ本書と自店データを組み合わせて、多角的な分析に取り組んでください。店舗経営では台データなどのマクロ視点だけでなく、遊技客データなどのミクロ視点で数値を見るなど、一つの指標で判断するのではなく「数字の裏にある本質を確認すること」「数字を見て、実際の行動や改善策につなげること」が重要です。今後の店舗経営において、データ的側面から根拠をもって意思決定するデータ戦略が重要な役割を担うと言えるでしょう。

文=アミューズメントジャパン編集部
※月刊アミューズメントジャパン2025年11月号に掲載した記事を転載しました。


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