
2026年09月03日
No.10005381
No.10005381
3年で2.7倍、1960億円市場へ|カプセルトイ急成長の現在地
国内のカプセルトイ市場が急速に拡大している。一般社団法人日本カプセルトイ協会が公表した2025年度の市場規模は約1960億円。2022年度の約720億円から3年間で約2.7倍になった。売り場は全国に広がり、商品の種類や価格帯、購入する層にも変化が起きている。数字を追うと、かつての「子ども向け玩具」とは異なる市場の姿が見えてくる。
日本カプセルトイ協会が公表してきた市場規模を見ると、成長速度は際立つ。2022年度の約720億円から、2023年度は約1150億円、2024年度は約1410億円へ拡大。2025年度は前年から39.0%増の約1960億円となった。2025年度調査はカプセルトイメーカー41社へのヒアリングをもとに、メーカー希望小売価格や販売状況などを考慮して算出したもの。イベント物販や企業オリジナル商品などは対象外で、同協会はこれらを含めれば市場規模は2000億円を超えるとみている。
市場拡大の要因として、同協会が挙げてきたのが販売拠点の増加だ。2022年度の調査では、大型商業施設の空き区画などへの大型専門店の出店が相次ぎ、「購入機会が増えたこと」を市場拡大の大きな要因としている。2023年度には大型商業施設だけでなく、ファッションビルや百貨店、駅構内、路面店などにも設置場所が広がり、1年間で200店舗以上の専門店がオープンした。2024年度には全国700店舗以上、2026年1月末時点では900店舗以上まで増えている。
売り場の拡大とともに、供給される商品も増えた。日本カプセルトイ協会によると、2022年度には毎月400種類を超える新商品が発売され、2023年度には約500種類、2024年度には約700種類まで増加した。2024年度にはメーカーの新規参入も続き、新商品のリリース数は1年間で約1.4倍になった。専門店の増加と並行して、消費者が目にする商品の入れ替わりも速くなっている。
価格帯にも変化がある。同協会は2022年度、商品価格の中心が300~400円に上昇し、高価格商品の増加が客単価の上昇につながったと分析している。2024年度には円安や輸送費上昇などを背景に400~500円の商品が中心となり、200円商品はほぼ姿を消したとしている。商品の価格帯が上昇する中でも市場規模は拡大を続け、2025年度には過去最高の1960億円に達した。
購買層も変化している。日本カプセルトイ協会は2022年度調査で、従来の子ども向け中心の商品構成から大人向けへと広がり、メインターゲットが30~40代へ移ったと説明した。2024年度には20~30代女性をメインターゲットとして挙げ、「推し活」の定着を背景に、キャラクター関連だけでなく、食品、日用品、化粧品、アパレルブランドなどとのコラボ商品が増えたとしている。市場拡大の過程で、商品だけでなく購入する層も広がってきた。
一方、市場の拡大に伴って競争環境も変化している。同協会は2024年度時点で、首都圏の主要都市周辺では専門店が飽和状態となり、店舗間競争が激しくなっていると指摘した。そのうえで、運営会社独自の店舗づくりやオリジナル商品の開発など、差別化の重要性を挙げている。市場規模が拡大していることと、参入企業が一様に成果を上げられることは別の問題だ。
わずか3年間で市場規模が約720億円から1960億円へ拡大する中、専門店の増加、新商品の投入、価格帯の上昇、購買層の広がりが同時に進んだ。日本カプセルトイ協会の調査からは、カプセルトイ市場が売り場、商品、顧客のそれぞれを広げながら成長してきたことが読み取れる。
新規事業を検討する経営者にとって、1960億円という市場規模だけが見るべき数字ではない。どのように販売接点を増やし、商品の更新を続け、従来とは異なる顧客層を取り込んできたのか。急成長するカプセルトイ市場の変化は、成長市場を見極めるうえで一つの検討材料になりそうだ。
文=アミューズメントジャパン編集部







