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2026年09月28日
No.10005422

AIは「検索」から「選択」へ|消費者の商品選びに起きている変化

AIは「検索」から「選択」へ|消費者の商品選びに起きている変化

商品を検索し、複数のページを開き、価格や機能を比べて選ぶ。これまで消費者自身が行ってきた一連の商品選びに、生成AIが入り始めている。内閣府・消費者委員会の調査では、生成AI利用者の13.7%が「商品・コンテンツの選択」に利用すると回答した。AIが検索条件を整理し、比較軸や候補まで提示するサービスも登場しており、「検索で見つけてもらう」だけではない新たな情報接点が生まれつつある。


商品ページを見る前に「比較」が始まる

消費者の商品選びは、検索結果から商品ページを開いて比較するという流れだけではなくなりつつある。従来の商品検索では、「エアコン 10畳 省エネ」「炊飯器 5万円以下」など、自分で検索条件を決め、表示されたページを見ながら価格や機能を比較するのが一般的だった。欲しい商品が明確でなければ、「何を基準に選べばいいのか」から調べる必要もある。

生成AIやAIエージェントは、この検索条件を考える段階から関与できる。AIとの対話を通じて希望を整理し、比較するポイントを決め、その条件に合う候補を絞り込む。商品ページを見る前から「比較」が始まる点が、従来の検索との大きな違いだ。



13.7%が「商品・コンテンツの選択」に利用

内閣府の消費者委員会は、AI技術の利用拡大に伴う消費者問題について専門調査会で検討を続けている。消費者委員会事務局が2026年2月に実施した調査によると、生成AIを日常生活で使用する目的は「情報の検索・リサーチ」が76.4%で最も多かった。「文章の作成・編集」が33.9%、「悩み相談」が23.3%、「学習・自己研鑽」が22.7%と続き、「商品・コンテンツの選択」は13.7%だった。いずれも複数回答で、商品・コンテンツの選択には、おすすめの商品や動画などのレコメンド利用も含まれる

調査は2月16日から18日まで、全国の10歳以上の生成AI利用者1442人を対象にインターネットで実施された。10代から70代以上まで男女・年代別に各103人を割り付けているため、13.7%を日本の消費者全体の割合として捉えることはできない。ただ、生成AIが情報収集だけでなく、具体的な商品やコンテンツの選択にも利用され始めていることは確認できる。


商品検索は「キーワード」から「対話」へ

7月17日に開かれた同専門調査会では、LINEヤフーが消費者向けAIエージェント「Agent i」の取り組みを説明した。買い物領域では、AIが専門店の店員のように利用者へ質問しながらニーズを聞き取り、商品を絞り込む「店員相談機能」を提供している。例えばエアコンを探す場合、部屋の広さや予算などをAIが質問し、その回答をもとに商品を検索していく。

さらに「選び方軸機能」では、炊飯器なら炊飯方式、炊き分け機能、メーカーなど、商品を比較するための軸をAIが提示する。利用者があらかじめ詳しい商品知識や明確な検索条件を持っていなくても、AIとの対話を通じて「何を基準に探すのか」を整理できる仕組みだ。検索の次は“選択” AIは消費者の意思決定にどこまで入るのか


「人に読んでもらう情報」だけではなくなる

こうした商品選びが広がれば、企業がデジタル上に公開する情報の役割も変わる可能性がある。これまでは検索エンジンで商品やサービスを見つけてもらい、Webページを訪れた人に特徴を伝えることが大きな役割だった。しかしAIが条件整理や候補の絞り込みを担えば、消費者が個別の商品ページを訪れる前に、価格や仕様、サイズ、利用条件、営業時間などが比較材料として整理される場面が増えていく。

Web上の商品情報は、「人に読んでもらうもの」であると同時に、AIが比較や回答を組み立てる際に参照する情報にもなり得る。企業側から見れば、自社ページに来てもらってから魅力を伝えるだけでなく、その前段階でAIがどの情報を取得し、どのように比較するのかという新しい接点が生まれることになる。

情報を充実させることが、そのままAIから推薦されやすくなることを意味するわけではない。AIがどの情報を参照し、どのように候補を提示するかはサービスによって異なるため、情報整備と推薦結果の関係については今後の検証が必要だ。


まだ中心は「検索」、その先で変化が始まる

現時点で、商品選びそのものがAIに置き換わったわけではない。消費者委員会の調査でも、「情報の検索・リサーチ」が76.4%なのに対し、「商品・コンテンツの選択」は13.7%にとどまる。AIによる推薦や比較が実際の購買行動をどこまで変えるのかについては、今後の利用動向を見る必要がある。

一方、消費者委員会はAIが「消費者の意思決定の材料を提供する段階」から「意思決定を代替する段階」に近づいているのではないかという問題意識も示している。AIをめぐる論点は、回答内容の正確性だけでなく、消費者が「何を比較するか」「何を候補にするか」という意思決定の過程にまで広がっている。

検索され、ページを見てもらい、その中から選んでもらう。長く続いてきたこの流れに、「何を比較するか」「何を候補にするか」をAIと一緒に決める工程が加わり始めている。検索という入口そのものがなくなるのではなく、その先にある「比較」と「選択」にAIが入り始めていると見る方が、現在の状況には近い。企業にとっても、情報収集の変化だけでなく、消費者からの「選ばれ方」がどう変わるのかを確認しておきたい動きだ。


文=アミューズメントジャパン編集部

【出典】
内閣府 消費者委員会「第10回 人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会」(2026年9月18日開催、9月24日資料掲載)
内閣府 消費者委員会「消費者を取り巻くAI技術の現状について」(2026年2月13日)
内閣府 消費者委員会「生成AI利用者の利用実態に関するアンケート結果(速報)」(2026年3月31日)
内閣府 消費者委員会「第6回 人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会」LINEヤフー株式会社ヒアリング資料・議事録(2026年7月17日)


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