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2026年10月02日
No.10005431

24時間働くAI「dots」登場|ホール業務はどこまで任せられるか

24時間働くAI「dots」登場|ホール業務はどこまで任せられるか

OpenAIは9月29日、新たなAIエージェント「dots」を発表した。GPT-6 Astraを搭載し、専用のクラウドコンピューターを使ってユーザーの目標に向けて24時間作業できる。4,000以上のアプリと接続でき、複数の仕事を並行して進めることも可能だ。OpenAIが示したのは、必要なときにAIへ質問して回答を得るだけではなく、一つの仕事や役割をAIに持たせ、継続して作業を進めてもらう使い方だ。

ホール経営の視点で考えると、対象になり得るのは、情報収集、資料整理、社内連絡の確認、SNS運用など、日常的に繰り返している業務だ。すべてをAIへ置き換えるという話ではない。人が定期的に情報を確認し、内容を整理し、次の作業につなげている仕事の一部を、AIが継続して担当できる可能性が広がってきた。


「指示された仕事」から「継続して持つ仕事」へ

dotsは、それぞれが専用のクラウドコンピューターとブラウザー、アクセス権限を持って作業する。OpenAIはその環境を「新入社員に用意するものとほぼ同じ」と説明しており、必要に応じてコードを書いてテストすることもできる。新たな仕事を任された後も、別のプロジェクトを進めながら複数の業務を並行して処理でき、ユーザーが一つひとつ手順を指示する必要はない。

ChatGPT、Slack、Teamsなどから同じdotに連絡でき、それまでの文脈も引き継がれる。ユーザーが修正やフィードバックを加えると、その内容を踏まえて仕事を進める点も特徴だ。従来からChatGPTには調査や資料作成などを任せる機能があるが、dotsでは「この作業をやって」と一回ごとに依頼する使い方から、「この領域を担当する」という継続的な役割を持たせる考え方がより明確になった。OpenAIも9月29日のDevDayで、dotsを「継続的な役割を担えるエージェント」と位置付けている。



バグ調査から請求書作成、SNSの下書きまで

OpenAIが公開した活用例を見ると、単純な定型作業だけを想定したものではない。社内ではSlackにバグが報告されるとdotsが調査を開始し、新しいデザインが届けば動作するアプリへ仕上げるといった使い方を試している。社外の初期テスターでは、本人が媒体への請求を忘れていることをdotが見つけ、請求書を作成し、本人の承認後に送信した例も紹介された。

コンテンツ制作では、新しいインタビューの文字起こしが届くと、切り抜きに適した箇所を抽出し、番組概要をまとめ、SNS投稿の下書きを用意する活用例をOpenAIが示している。ユーザーが修正すると関連する制作物にも反映し、その後の仕事にもフィードバックを生かす。製品仕様が変更された際にローンチ資料を更新したり、新しいデータが入れば分析をやり直して図表や説明を修正したりする例もあり、情報が変化するたびに人が最初から作業を指示し直す必要を減らすことが想定されている。


ホール業務なら何を任せられるか

OpenAIはパチンコホールでの利用例を示していないため、ここからは公開された機能をもとにホール業務との接点を考える。対象として考えやすいのは、担当者が一定の頻度で「確認する→整理する→共有する」という工程を繰り返している仕事だ。業界団体やメーカーなどから発信される情報を確認して社内向けに整理する、複数の資料から会議に必要な情報を集める、定例報告の下書きを作るといった作業は、その一例になる。

SNS運用にも接点がある。店舗の予定や制作ルール、過去の投稿など必要な情報を参照できる環境を整えれば、投稿に必要な情報を整理し、下書きを用意して担当者の確認へ回すという流れが考えられる。OpenAIがコンテンツ制作の例として示した「素材が届く→内容を整理する→SNS投稿案を作る→人が確認する」という工程は、ホールの販促・広報業務にも置き換えやすい。本部と店舗でSlackやTeamsなどを利用している企業であれば、複数のやり取りから未対応事項や確認事項を拾い出すといった使い方も想定できる。


業務との相性を考える際には、「AIなら何ができるか」から探すより、現在の業務を分解した方が見えやすい。毎朝確認している情報、毎週作っている資料、複数店舗から集めている報告、同じ形式で繰り返している集計や下書きなどを洗い出せば、人が判断する前段階にどれだけ定型的な作業が存在しているかが分かる。dotsのような常時稼働型AIは、その前工程を継続して受け持つ使い方と相性がある。


企業利用では「どこまで任せるか」が重要になる

24時間動くといっても、dotsが接続されたサービスを無制限に操作するわけではない。ユーザーと直接やり取りしていない間に行う「プロアクティブリサーチ」では、接続したアプリを読み取り専用で参照し、メッセージの送信やアプリ内コンテンツの変更、ブラウザーやコンピューターの操作はできない。接続するアプリはユーザー側が選択し、特定の操作を許可する、承認を必須にする、ブロックするといったルールも設定できる。

アカウントや情報に影響する可能性がある操作にはレビュー機能があり、設定したルールや安全要件に応じて、そのまま実行するのか、ユーザーの承認を求めるのか、人自身が操作するのかを判断する。パスワード変更など一部の操作は本人が行う必要があり、OpenAIも重要な影響を伴う仕事については人による確認を求めている。企業側には、AIに接続させる情報、実行を許可する操作、人が確認する工程をあらかじめ決める運用設計が必要になる。



AIを「使う」から、AIに「役割を持たせる」へ

dotsは9月29日から、対象地域のChatGPT ProとBusiness Premiumユーザー向けに順次提供が始まった。Enterpriseでは管理者が有効にすることでベータ版を利用できる。OpenAIは企業向けに、調達、請求書処理、メールマーケティング、カスタマーサポート、契約業務などを担当する専門dotの試験も進めており、将来は複数のdotsがチームとして連携する構想も示している。

ホール企業がすぐにdotsを導入すべきだという話ではない。今回の発表から見えてくるのは、生成AIの活用を考える単位が変わり始めたことだ。文章を作る、調べる、要約するといった一つひとつの作業だけではなく、「情報収集を担当する」「資料作成の前工程を担当する」「SNS運用を補助する」といった役割そのものをAIへ渡せる環境が整いつつある。

生成AIを使うために「どんなプロンプトを書くか」を考えてきた段階から、どの仕事をAIに持たせ、どこまで任せ、どこで人が判断するのかを設計する段階へ。24時間働くAIエージェントの登場は、ホール企業にとっても、自社の仕事をどのように分解し、人とAIの役割をどう組み直すのかを考える材料になりそうだ。


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