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2026年10月08日
No.10005443

サンリオが目指す「3000億時間」|顧客との接点を「時間」で測る理由

サンリオが目指す「3000億時間」|顧客との接点を「時間」で測る理由

サンリオが、売上や利益とは異なる物差しでファンとの接点を捉えている。10月7日に公表した『統合報告書2026』では、非財務目標「サンリオ時間」を軸とした価値創造の考え方を紹介した。商品やサービスが生活の中にある時間や、ファンがキャラクターを積極的に体験する時間を独自に算出し、経営の指標として活用している。

2025年に公表した長期ビジョンでは、「サンリオ時間」の目標として年間3000億時間を掲げた。同資料で示された当時の水準は年間1140億時間で、物販だけでなく、ゲーム、デジタル、テーマパーク、イベントなど、キャラクターとの接点を広げることで時間の拡大を目指している。


「寄り添い」と「夢中」を時間にする

「サンリオ時間」は、「寄り添い時間」と「夢中時間」の二つから構成される。寄り添い時間は、サンリオのキャラクターや商品、サービスが仕事、勉強、家事、育児、通勤、リラックスなど、日常生活の中に存在する時間を表す。夢中時間は、検索やイベントへの参加、動画視聴、ゲーム、デジタルサービスなどを通じ、キャラクターやサービスを積極的に体験する時間を指す。

両者は利用者の行動をすべて直接計測しているわけではない。サンリオの公表資料では、寄り添い時間を年間販売個数に商品カテゴリーごとの単位時間を掛けて算出し、夢中時間については検索時間や主要なリアル接点、デジタル接点での滞在時間を合計すると説明している。「サンリオ時間」は一般的な市場統計ではなく、同社が独自の方法で顧客との接点を定量化した指標だ。

サンリオは2024年3月期に、寄り添い時間609億時間、夢中時間4億時間と公表していた。翌年に発表した長期ビジョンでは、「サンリオ時間」の水準を年間1140億時間とし、年間3000億時間を目指す指標として掲げている。


なぜ売上とは別に「時間」を見るのか

この指標は、売上や利益を置き換えるものではない。サンリオは長期ビジョンで、「サンリオ時間」とともにGMV(流通取引総額)、北米市場シェア、営業利益成長率など財務・事業面の指標も掲げており、複数の物差しで成長を捉えている。

「時間」を重視する理由は、同社の事業領域の広がりとも関係している。2024年に公表した中期経営計画では、高いLTV(顧客生涯価値)が期待できるとして「夢中時間」を増やす方針を示し、テーマパーク、没入型施設、動画、ゲーム・デジタル、教育などを顧客との接点として挙げた。商品を一度購入してもらうだけではなく、さまざまな体験を通じてキャラクターとの関係を継続させる考え方だ。


ゲームからアミューズメント施設まで接点を拡大

2026年には、その接点を広げる動きが相次いでいる。4月には初の自社ゲームブランド『Sanrio Games』を立ち上げ、ゲームをキャラクターIPと世界のファンをつなぐ新たな接点と位置付けた。10月29日に第1弾『サンリオ パーティランド』を発売するほか、2029年3月までの3年間で10タイトル程度を投入する計画を示している。

『Sanrio Games』ではゲーム単体で事業を完結させず、共通会員サービス『Sanrio+』やサンリオショップ、テーマパークなど既存のサービスと連動させる方針も掲げている。サンリオはゲーム事業の狙いについて、新たな「サンリオ時間」を創出し、キャラクターへの認知や好意、顧客エンゲージメントを高めることを挙げている。

リアルなアミューズメント施設との接点も広がる。サンリオは8月、GENDAとの業務提携を発表した。GENDAが運営する『GiGO』などのアミューズメント施設やミニロケで、サンリオキャラクター商品の投入頻度や規模を拡大するほか、店舗装飾や演出企画、北米でのプロモーション・出店などを共同で実施・検討する。

サンリオはGENDAとの提携理由として、ファンとのエンゲージメントを深める「接点」への投資を強化する方針を示している。ゲーム、店舗、テーマパーク、デジタルコンテンツなど、キャラクターとの接触機会を複数の場所に広げる事業展開が進んでいる。


顧客との関係をどう測るか

アミューズメント事業では、売上高、客数、客単価、稼働などが経営を判断する基本的な指標になる。「サンリオ時間」が特徴的なのは、それらの結果指標とは別に、顧客が商品やサービス、IPと接している時間を一つの物差しにしようとしている点だ。

これは店舗での滞在時間を長くすればいいという考え方ではない。来店前にコンテンツを知り、店舗で体験し、商品を持ち帰り、その後もゲームや動画、SNSなどで接するように、顧客との関係は店舗の外にも続いている。売上が発生した瞬間だけでなく、その前後を含めた接点をどう把握するかという視点は、ファンビジネスを展開するアミューズメント企業にとっても参考になる事例だ。


文=アミューズメントジャパン編集部

【主な出典】
サンリオ『統合報告書2026』(2026年10月7日公表)


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