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2026年10月13日
No.10005449

「106万円の壁」が撤廃|パート従業員の社会保険加入要件が変更

「106万円の壁」が撤廃|パート従業員の社会保険加入要件が変更

パート・アルバイト従業員の社会保険加入に関する「106万円の壁」が、2026年10月1日に撤廃された。これまで加入要件の一つだった月額8万8000円以上という賃金基準がなくなり、週20時間以上の勤務などが加入判定の基準となる。2027年以降は対象企業の規模要件も段階的に引き下げられるため、パート従業員を雇用するホール企業にとっても、勤務時間や社会保険の適用状況を確認する必要がある。


月額8万8000円の賃金要件が撤廃

日本年金機構は10月1日、2025年に成立した年金制度改正法に基づき、短時間労働者の社会保険加入に関する賃金要件を撤廃したと発表した。対象となるのは健康保険と厚生年金保険で、従来は一定規模以上の企業で働くパート・アルバイトについて、週20時間以上の勤務に加え、所定内賃金が月額8万8000円以上であることなどが加入条件とされていた。

月額8万8000円を年収に換算すると約106万円になることから、この基準は「106万円の壁」と呼ばれてきた。今回の改正によって賃金要件はなくなったものの、週20時間以上という労働時間要件や企業規模要件は引き続き適用される。

撤廃の背景には最低賃金の引き上げがある。全国の地域別最低賃金が時給1016円以上となったことで、週20時間働けば月額賃金は原則8万8000円以上となり、賃金要件は実質的な意味を失っていた。このため、今回の撤廃だけで社会保険の加入対象者が大幅に増えるというものではない。


加入要件は週20時間以上。企業規模の判定は法人単位

2026年10月時点で、短時間労働者が社会保険に加入する主な条件は、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業に勤務し、週の所定労働時間が20時間以上で、原則として学生ではないこと。2カ月を超えて雇用される見込みも必要となる。通常の従業員の所定労働時間と所定労働日数の両方が4分の3以上の場合は、別の基準によって加入対象となる。

企業規模の判定に使われる51人以上という基準は、パート・アルバイトを含む全従業員数ではない。原則として、既に厚生年金保険に加入する通常の従業員などの人数で判定し、今回の適用拡大による短時間労働者は含まない。法人企業では同一法人に属するすべての適用事業所の人数を合計するため、複数店舗を運営するホール企業では、店舗単位ではなく法人全体で確認する必要がある。

労働時間の判定は、雇用契約書や就業規則などに定められた所定労働時間が基本となる。週20時間未満の契約であっても、実際の労働時間が2カ月連続で週20時間以上となり、その状態が続くと見込まれる場合には、3カ月目の初日から社会保険の加入対象となる。シフト勤務の多い店舗では、契約上の勤務時間だけでなく、実際の労働時間も確認する必要がある。


2027年から企業規模要件を段階的に緩和

社会保険の適用対象は今後さらに拡大する。2027年10月からは、短時間労働者の加入対象となる企業規模が現在の51人以上から36人以上に引き下げられる。2029年10月には21人以上、2032年10月には11人以上へと段階的に拡大し、2035年10月には企業規模要件が撤廃される。

現在は企業規模要件に該当しないホール企業でも、今後は週20時間以上働くパート・アルバイトが社会保険の加入対象となる可能性がある。対象者が増えれば企業側の社会保険料負担も生じるため、各企業は適用時期に応じて雇用管理や人件費への影響を確認する必要がある。


保険料負担を軽減する新制度も開始

2026年10月からは、新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者の負担を軽減する「保険料調整制度」も始まった。一定の要件を満たす事業所では、事業主が従業員の社会保険料を一時的に追加負担することで、対象となる従業員の保険料負担を通算3年間軽減できる。事業主の追加負担分は制度上調整され、最終的な保険料納付額は増えない仕組みとなっている。

対象となるのは、2026年10月以降に新たに任意適用の対象となった一定の事業所や、2027年10月以降の企業規模要件の緩和によって新たに適用対象となる事業所など。既に対象となっている企業は原則として利用できず、制度の利用には事業主による申出が必要となる。

今回撤廃された「106万円の壁」と、配偶者などの社会保険上の扶養に関する「130万円の壁」は別の制度だ。130万円の基準は引き続き残るが、年収130万円未満であっても、勤務先で社会保険の加入要件を満たした場合は原則として健康保険と厚生年金保険に加入することになる。

社会保険への加入は従業員の保険料負担を伴う一方、将来受け取る厚生年金の増額や、病気・けがで働けなくなった場合の傷病手当金など、保障面の充実にもつながる。ホール企業にとっては、今回の賃金要件撤廃に加え、今後の適用拡大を見据えた勤務時間の把握、従業員への制度説明、社会保険料負担の確認が雇用管理上の課題となる。


文=アミューズメントジャパン編集部


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