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2026年10月09日
No.10005445

大阪IR、国が建設進捗を評価|外国人集客と「非カジノ投資」は継続課題

大阪IR、国が建設進捗を評価|外国人集客と「非カジノ投資」は継続課題

国土交通省は10月9日、大阪・夢洲地区で整備が進む統合型リゾート(IR)について、2025年度の実施状況評価を公表した。施設の詳細設計完了や建設工事への着手、中核株主による出資などを確認し、事業の進捗を一定程度評価した。一方、年間約2000万人の来訪を想定する事業計画に対し、需要予測の精緻化や外国人集客策の具体化、カジノ収益を非カジノ事業へ安定的に投資することなどを引き続き求めた。施設整備が進む中、開業後の事業運営に向けた取り組みの具体化も課題となっている。

大阪IRは、国際会議場や展示施設、ホテル、エンターテインメント施設、カジノなどを一体的に整備する大規模事業だ。大阪府・大阪市が公表する事業計画では、敷地面積は約49.2万平方メートル、総延床面積は約78万平方メートル、初期投資額は約1兆5130億円(税抜)。2030年秋頃の開業を目指している。


詳細設計を完了、建設工事に着手

国の評価では、認定された区域整備計画に沿って各IR施設の詳細設計を完了し、建設工事に着手したことを確認した。行政協議や工事計画の調整、中核株主による出資、液状化対策工事などにも進捗が見られ、計画の要求基準を引き続き満たしていると評価。こうした取り組みについて「一定の評価はできる」とした。

2024年度の評価では施設の詳細設計がおおむね完了した段階だったが、2025年度は建設工事への着手まで進んだ。国は今後も認定時の審査委員会や過去の実施状況評価で指摘された事項を反映し、必要な許認可手続きなどを着実に進めるよう求めている。


年間2000万人の集客へ、需要予測の精緻化を要求

大阪府・大阪市が公表する事業計画では、年間来訪者数を約2000万人と想定している。内訳は国内客が約1400万人、国外客が約600万人。国が今回の評価で課題として挙げたのは、こうした需要予測の精度と、想定する来訪者を呼び込む施策の具体化だ。

評価書では、来訪者数などの推計値について、前提条件に変更がないことの確認にとどまっていると指摘した。今後はビジネス客など具体的なターゲット層の需要動向を踏まえて予測を精緻化し、市場環境の変化を適切に反映する必要があるとしている。外国人来訪客の増加に向けたプロモーションや集客施策についても、具体化が重要だと明記した。

集客対象については、特定の国籍や客層に偏らず、幅広い来訪者が訪れる施設となるよう取り組むことを求めている。日本らしさを打ち出したコンテンツの創出や充実についても、変化する訪日外国人のニーズを捉えながら、必要な見直しを行うことが重要だとした。


カジノ収益を非カジノ事業へ安定的に投資

今回の評価で、IRの事業構造に関わる重要な指摘が、カジノ事業の収益を非カジノ事業へ投資する仕組みだ。大阪府・大阪市が公表する事業計画では、年間売上約5200億円のうち、ゲーミング事業が約4200億円、ノンゲーミング事業が約1000億円を占めると見込んでいる。

国は、カジノが未開業のため現段階では事業の実績報告がないとした上で、IR全体の長期的かつ安定的な運営を確保するため、財務状況を踏まえながらカジノ事業の収益を非カジノ事業へ安定的に投資し、その使途について具体的な検討に着手するよう求めた。

非カジノ事業への投資は、今回初めて示された課題ではない。2024年度の実施状況評価でも同様の指摘があり、国は継続して対応を求めている。カジノ事業の収益を非カジノ施設やサービスにどのように活用するのか、具体的な投資先や使途の検討が引き続き必要とされている。


依存症対策は効果検証の実行を重視

ギャンブル等依存症対策については、2025年度に適用されていた「第2期大阪府ギャンブル等依存症対策推進計画」に基づき、ギャンブル等依存が疑われる人などの割合を把握する調査や、依存症対策拠点「(仮称)大阪依存症センター」の設置準備、違法オンラインギャンブル等に関する啓発活動などが進められていることを国が確認した。

国は取組の実施に加え、ギャンブル等依存が疑われる人などの割合についてPDCAサイクルを実行し、大阪府・大阪市とIR事業者の双方が割合の低減に向けた取組の実効性を高めることが重要だと指摘した。IRのカジノをきっかけとするギャンブル等依存症への対策や、違法なギャンブル等の排除についても、国と連携して進めるよう求めている。

大阪府は2026年3月に「第3期大阪府ギャンブル等依存症対策推進計画」を策定し、同年4月から適用している。計画期間は2028年度までの3年間で、ギャンブル等依存が疑われる人などの割合の低減や、予防・啓発、相談・治療・回復支援の充実などに取り組む。今回の国の評価は2025年度の実施状況を対象としており、第3期計画の実施成果を評価したものではない。


知的財産権の保護と再発防止も要求

国は、施設やコンテンツに関わる知的財産権の保護についても言及した。大阪府・大阪市とIR事業者による権利保護の確認プロセスの強化や教育の徹底などを確認した上で、アーティスト等の権利保護や知的財産権の適切な取り扱いを重視し、再発防止を徹底するよう求めている。

大阪IRでは、日本らしさを打ち出したコンテンツなどの創出・充実も計画されている。国はコンテンツ面で訪日外国人のニーズに対応することに加え、知的財産権の保護に関する取組を継続する必要性も示した。


建設の進捗から、事業運営の具体化へ

国は今回の評価で、区域整備計画に掲げる目標の実効性を高めるため、複数の成果目標の設定や、客観的な指標を用いた進捗状況の報告、要因分析などを引き続き検討するよう求めている。建設工事や出資などの進捗が確認された一方、需要予測や集客施策、非カジノ事業への投資については、具体化を求める指摘が残った。

大阪IRは2030年秋頃の開業を目指し、施設整備と並行して運営に向けた準備を進める。国の2025年度評価は、将来の集客や収益性を保証するものではなく、認定された事業計画に沿って整備が進んでいるか、課題への対応が図られているかを確認したものだ。

カジノとパチンコは制度も事業構造も異なり、単純に比較できるものではない。大規模なエンターテインメント施設の事業動向として見ると、今回の評価では、施設整備に加えて集客戦略、収益の活用、依存症対策、知的財産権の保護までが確認対象となっている。今後は建設の進捗とともに、開業後の事業運営に向けた施策がどこまで具体化されるかが焦点となる。


文=アミューズメントジャパン編集部


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