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2026年10月26日
No.10005456

シリーズ/いま、サンセイを読み解く第4回|240人だからできるサンセイの戦い方

シリーズ/いま、サンセイを読み解く第4回|240人だからできるサンセイの戦い方

TOP INTERVIEW
サンセイアールアンドディ
山本和弘
代表取締役社長


サンセイの“いま”について山本社長に聞く連載の4回目のテーマはサンセイの戦い方。240人だからできる、近く、速く、全員で動く組織。ホールと共に稼働をつくる、その組織力に迫った。(文中敬称略)

──今回はサンセイアールアンドディの会社の規模についてお聞きします。業界には大手メーカーも多い中で、サンセイは240人規模。市場でどのように戦っているのでしょうか。

山本 まずお伝えしたいのは、私は240人という規模を、単純な弱みだとは考えていないということです。もちろん、大手メーカーと比較すれば人数や資本力、開発ラインの数、販売網の厚みなどに違いはあります。豊富な開発資源を持ち、複数の商品ラインを同時に動かし、全国規模で販売や販促を展開できることは、大手メーカーの大きな強みです。私たちは、その強みを否定するつもりはありません。

一方で、同じ戦い方を追いかける必要もないと思っています。会社の強さは、規模だけで決まるものではないからです。サンセイには、240人だからこその距離の近さがあります。営業、開発、商品企画、販売戦略、販促、調達、製造、品質、デジタル推進、管理部門が、比較的近い距離で話すことができます。ただし、距離が近いだけでは、本当の強みにはなりません。私は、その近さを、判断と実行の速さに変えることが重要だと考えています。ホール様の現場で起きている変化を、営業が早く捉える。必要な部門がすぐに集まり、何が起きているのかを考える。

そして、変えるべきことを決め、行動に移す。市場の変化に早く気づき、ホール様の課題を早く受け止め、ユーザーの反応を商品や施策に素早く反映する。その循環を速く回すことができれば、240人という規模は、市場に対する反応速度の速さになるのです。私は、サンセイが目指すべき姿は「小さい会社」ではなく、「小回りの利く強い会社」だと思っています。機械の稼働に変化があった時に原因を考え、必要な対応をすぐに始める。ホール様から新しい課題を伺った時、営業だけで抱えず、社内につなぐ。ユーザーの反応に変化が表れた時、次の商品開発や販促施策に生かす。一つひとつは小さな行動かもしれません。しかし、その積み重ねが、会社としての大きな差になります。

240人だからこそ、情報が届くまでの距離を短くできる。240人だからこそ、判断までの時間を短くできる。240人だからこそ、決めたことを全社の行動につなげられる。サンセイの競争力は、人数の多さではなく、近さを速さに変えられるかどうかで決まると考えています。

全員が同じ仕事をするのでは
なく同じ方向を見る


──いま「全員で動く」という言葉が出ました。具体的には、社員一人ひとりにどのような意識を持ってほしいと考えていますか。

山本 「自分の仕事は市場につながっている」と考えてほしいと思っています。営業であればホール様と直接向き合い、機械をご説明し、適正な導入台数をご提案し、導入後の状況も確認する。営業の仕事が市場につながっていることは、誰の目にも明らかです。

しかし、サンセイがこれからさらに強くなるためには、営業だけが市場を意識する会社では足りません。どの部門も、すべて最終的にはホール様とユーザーにつながっています。

例えば、部材の調達が遅れれば、ホール様への納品計画に影響します。製造や品質に問題があれば、ホール様の運用にご負担やご不安を与えることになります。販促物が分かりづらければ、機械が本来持っている魅力がユーザーに伝わりません。情報が整理されていなければ、営業はホール様の状況に合った提案をすることができません。直接ホール様と話していない部門であっても、その仕事はホール様の経営判断やユーザーの遊技体験に関わっています。

ただし、私が求めているのは、全員が営業と同じ仕事をすることではありません。大切なのは、自分の目の前にある作業を終えることだけを目的にせず、その判断が、市場やホール様、ユーザーにどのような影響を与えるのかを考えることです。例えばコストを考える時にも、単に価格を下げればよいわけではありません。品質や納期、ホール様での運用、ユーザー体験まで含めて考える必要があります。開発においても、自分たちが実現したいものをつくるだけではなく、それがユーザーにどう受け止められ、ホール様にどう活用していただけるのかまで考えなければなりません。自分の部門だけにとっての正解ではなく、会社全体としての正解を考える。自分の仕事を、次の部門へつなぐ。その先にいるホール様とユーザーを意識する。240人全員が同じ仕事をするのではなく、240人全員が同じ方向を見る。私は、そういう会社にしたいと思っています。

現場の声とデータを
会社の知見に変えていく


──そのためには、営業現場の声を会社全体に伝えることが重要になるのでしょうか。

山本 営業の声は、会社にとって非常に重要な資産です。営業は、ホール様が今、何を考えているのか、何に困っているのか、どのような提案を求めているのかを、最も近い場所で感じ取ることができます。その情報を会社に伝えることは、営業の重要な役割です。ただし、単なる感想ではなく、会社が次の判断に使える形で戻すことが大切です。「反応は良かったです」「少し厳しそうです」「他社と比較されました」。これだけでは、会社は次の判断ができません。なぜ反応が良かったのか。何が厳しい理由だったのか。他社と比較された時に、どの部分で違いを感じられたのか。導入台数を増やしていただけた理由は何だったのか。逆に、台数を抑えられた理由は何だったのか。

そこまで具体的に戻ってくることで、営業の声は、会社全体の判断材料になります。さらに、これからは現場の声と、導入後に表れた事実を重ねて見ることも重要です。導入台数、稼働の推移、店舗ごとの違い、ユーザーの反応、販促施策への反応など、私たちが確認できるデータは増えています。ただし、数字だけを見ても、すべての理由が分かるわけではありません。同じ機械であっても、設置場所、導入台数、商圏、ユーザー層、競合状況、情報発信の方法によって、結果は変わります。

営業担当者が現場で感じたことと、実際に表れた結果を組み合わせることで、初めて次に生かせる知見になります。感覚だけでもいけませんし、数字だけでもいけません。現場で聞いた言葉と、導入後に起きた事実を重ねて考える。そこから、なぜうまくいったのか、なぜ期待した結果に届かなかったのかを検証する。

私は、成功した理由だけでなく、期待どおりにならなかった理由からも逃げない会社にしたいと思っています。うまくいかなかった情報を出しづらい組織では、同じ問題を繰り返します。結果を誰かの責任にするのではなく、次の商品や提案を良くするための学びとして共有することが大切です。営業担当者が持っている情報を、担当者個人の経験で終わらせない。営業現場だけの情報で終わらせない。本部に戻し、開発、商品企画、販売戦略、販促、製造、調達、デジタル推進につなげていく。そして、商品や営業資料、提案方法、販促施策、導入後の支援に反映する。個人の経験を、会社の経験に変える。一店舗で得た学びを、次のホール様への提案に生かす。一つの機械で得た知見を、次の商品に生かす。この学習の循環を速く回すことができれば、サンセイは大手メーカーと同じ戦い方をしなくても、市場で存在感を示すことができると考えています。

機械を売るだけでなく
稼働のつくり方を考える


──大手メーカーとは違う戦い方という点では、どこが重要になりますか。

山本 一つが、ホール様ごとの課題に深く入ることです。今のホール様は、本当に難しい判断をされています。新台価格は上がっています。人手不足もあります。導入後の稼働を予測することも簡単ではありません。競合店との差別化も必要です。その一方で、利益も確保しなければなりません。

この状況で、メーカーが「この機械は良い機械です」「ぜひ導入してください」と申し上げるだけでは、十分ではありません。ホール様が本当に知りたいのは、この機械を自店でどのように活用すればよいのかということです。何台導入するのが適正なのか。既存機をどこまで残すべきなのか。どの島に設置するのか。どのようなユーザーに伝えるのか。導入時にどのような期待をつくるのか。導入後に、どのように機械を育てていくのか。そこまで一緒に考えることが、これからのメーカーの役割だと思っています。

また、これからは機械の導入提案だけでなく、導入前の期待づくりから、導入時の情報発信、導入後の稼働支援までを一つの流れとして考える必要があります。ユーザーに機械の存在を知っていただく。興味を持っていただく。機械の楽しみ方を理解していただく。そして、「この機械を打ってみたい」と感じていただく。認知から興味、理解、来店、遊技までの流れを、ホール様と一緒に考えることが重要です。

機械の価値をつくるだけではなく、その価値がユーザーに伝わるところまで支えることが、これからのサンセイの役割だと考えています。その提案を、営業個人だけに任せるのではなく、会社全体で支えていく。営業がホール様の課題を捉える。販売戦略が提案の考え方を整理する。販促がユーザーへの伝え方をつくる。開発が得られた知見を次の商品に反映する。そうした動きができれば、サンセイはホール様から「相談しやすいメーカー」「導入後まで一緒に考えてくれるメーカー」と感じていただけると思います。

私は、ホール様から、何か課題があった時に「まずサンセイに相談してみよう」と思っていただける会社にしたい。機械を売るだけの会社ではありません。ホール様の営業課題を一緒に考える。稼働を共につくる。そして、次の可能性を一緒に探す。それがサンセイの在り方だと考えています。

デジタルで人が考え
判断する時間を生み出す


──SAPの導入やDXも進んでいます。240人規模の会社にとって、デジタル化はどのような意味を持ちますか。

山本 私は、デジタル化を単なる効率化だとは考えていません。人が、本来やるべき仕事に時間を使えるようにすることです。240人規模の会社では、一人ひとりの時間の使い方が、会社全体の動きに大きく影響します。定型的な入力や確認、集計に多くの時間を取られてしまえば、考える時間がなくなります。ホール様の課題を考える時間。次の商品を考える時間。販促の打ち手を考える時間。営業提案を磨く時間。開発と営業が議論する時間。そうした「人にしかできない仕事」に使う時間を生み出すために、デジタルを活用するべきです。

SAPの導入では、まず購買や入出荷の領域において、サプライヤー様とのデジタル連携や、バーコードを活用した受入業務、データ精度の向上を進めてきました。サンセイは、自社だけで商品をつくっている会社ではありません。多くの協力会社様、サプライヤー様と一緒にものづくりをしています。そのため、取引先との情報連携を強化し、購買、受入、入出荷、在庫に関する情報の精度を高めることは、安定したものづくりの基盤になります。そして、それは最終的に、ホール様への供給責任にもつながります。

さらに今後は、購買や在庫だけでなく、生産、販売、会計を含めた基幹業務全体の情報をつなぎ、会社全体の見通しをより良くしていく必要があります。私が重視しているのは、必要な情報が、必要な人に、必要なタイミングで届く。部門ごとに違う情報を見るのではなく、同じ事実を見ながら議論する。そして、より早く、より正確に判断する。その状態をつくることです。

もう一つ大切なのは、システムを外部に任せきりにするのではなく、社内に知見を残すことです。自分たちの業務を、自分たち自身が理解する。どこを標準化し、どこにサンセイとしての工夫を残すのかを、自分たちで考える。デジタルを導入するだけではなく、デジタルを使いこなし、継続的に業務を改善できる組織にすることが重要です。

240人規模の会社が強くなるためには、限られた人数で、ただ多くのことをこなせばよいわけではありません。一人ひとりが、本当に価値のある仕事に集中できる状態をつくる。情報を探す時間を減らし、考える時間を増やす。確認にかかる時間を減らし、判断する時間を増やす。デジタルによって作業時間を減らすだけでなく、判断の質を高め、改善を続けられる会社にする。私は、サンセイを「人が考える会社」にしたいと思っています。デジタルで業務を整え、人がホール様と向き合う。人が商品を考える。人が市場の変化を感じ取る。そして、人が次の行動を決める。それが、サンセイらしいDXだと考えています。

240人全員で
ホール様の挑戦を支える


──第4回の最後に、240人規模の会社として、ホール様へ伝えたいメッセージをお願いします。

山本 サンセイは巨大な会社ではありません。だからこそ、ホール様一社一社、一店舗一店舗に対して、近い距離で向き合える会社でありたいと思っています。ホール様は、日々、経営に直結する大きな判断をされています。新台を導入する判断。既存機を残す判断。島の構成を変える判断。ユーザーに何を、どのように伝えるかという判断。競合店とどのように差別化するかという判断。そして、投資に対する利益をどのように確保するかという判断。その一つひとつに、大きな責任が伴います。
私たちは、その判断を少しでも支えられる会社でありたいと思っています。そのために、サンセイはホール様に三つのことをお約束したいと思います。

一つ目は、機械を納めて終わりにしないことです。機械をどのように活用するのかを一緒に考える。導入後の稼働やユーザーの反応を確認し、必要な支援を一緒に考える。導入前から導入後まで、ホール様と同じ方向を見て取り組みます。

二つ目は、現場でいただいた声を、会社の中で止めないことです。営業だけの情報にせず、開発、商品企画、販売戦略、販促、製造、調達、品質、デジタル推進につなぎ、次の商品や施策に生かしていきます。ホール様からいただいた声を、その場で聞いて終わりにするのではなく、サンセイを変える力にしていきます。

三つ目は、うまくいった結果だけでなく、期待に届かなかった結果からも逃げないことです。なぜ稼働したのか。なぜ期待どおりにならなかったのか。提案に不足していたものはなかったか。商品、営業、販促、導入後の支援に、改善すべき点はなかったか。結果を検証し、次の商品と提案をより良いものにしていきます。

私は、サンセイの強さは、『牙狼』というブランドだけではないと思っています。もちろん、『牙狼』は私たちにとって、かけがえのない大切なブランドです。このブランドを育て、守り、さらに強くしていくことは、私たちの大きな責任です。しかし、ブランドを本当に強くするのは、商品を生み出す力だけではありません。現場の声を受け止める力。課題が起きた時に、早く対応する力。部門の壁を越えて動く力。導入後までホール様と一緒に考える姿勢。そうした社員一人ひとりの行動も、これからのサンセイのブランドをつくるものだと考えています。

240人という規模を、言い訳にはしません。240人だからこそ、近い距離で動く。速く判断する。

部門を越えて深く課題に入る。全員が同じ仕事をするのではなく、全員が同じ方向を見る。そして、自分の仕事の先に、ホール様とユーザーがいることを忘れない。

サンセイは、機械を通じてホール様の挑戦を支える会社であり続けます。

機械を納めるだけではなく、その価値をユーザーに伝え、ホール様と共に稼働をつくる会社であり続けます。それが、240人規模のサンセイが市場で戦う理由であり、私たちが目指す会社の姿です。

やまもと・かずひろ
1974年、鳥取県生まれ。2002年4月、株式会社サンセイアールアンドディに入社し、営業本部東京支店に配属。ホール様への営業に従事し、現場のニーズを深く理解する経験を積む。その後、営業本部において販促企画および販売戦略の立案に携わり、事業の発展に貢献。さらに開発製造本部へ異動し、初代「牙狼」の開発を担当するなど、商品開発分野においても実績を重ねる。以降、専務取締役、代表取締役副社長を歴任し、2024年4月、代表取締役社長に就任し、現在に至る。


文=アミューズメントジャパン編集部


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