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遊技機データ収集・分析システムが選ぶ
2018年発売の注目機種
今後を占うこの1台
改正規則が施行されて、旧規則機と新規則機が混在した今年のパチンコ・パチスロ市場。では、2018年に発売された遊技機の中で遊技機データを収集、分析する各社のシステムが注目した機種は何か。様々な切り口からパチンコ、パチスロそれぞれ1台ずつ挙げてもらった。
アミューズメントジャパンでは昨年12月、遊技機データを収集または分析するサービスを提供している7社に対してアンケートを実施。それぞれのシステムの特性から今年市場に登場した遊技機でもっとも注目したパチンコ・パチスロ各1機種を選んでもらい、その理由を聞いた。以下、各社のコメントと併せて掲載する。
▼マースエンジニアリング『MSDマース戦略データ』
KYORAKU
『CRぱちんこ冬のソナタRemember』
導入初週から女性の遊技比率が高く、その比率は海シリーズを大きく上回り、一時的ではあるが、当社集計以来初となる60%にまで到達。現在もその比率は50%を超えている。女性遊技客の55%が50代~60代。当時のヨン様ファンは今も健在であることが伺える。こうした熱烈なファンから熱い支持を得られているこの機種は、12月10日時点で25週間稼働貢献中。もうしばらく稼働貢献に期待できそうだ。
大都技研
『HEY!鏡』
導入初週のファンの遊技意欲を表す「PLアウト」「PL投資」「メイン比率」(※注1)、そして「アウト」は、それぞれ6460枚、1万1806円、70.1%、2万3278枚と、全項目において2018年登場機種の中で1位。他機種と比べた10週目実績は「PLアウト」「メイン比率」が1位となっている。主に20~40代の男性から支持を得られており、高射幸性遊技機から多くの回遊が見受けられた。
※注1 PL指標である【PLアウト】【PL投資】は、遊技客1人当たりの平均値。「メイン比率」は遊技客が複数の機種を遊技し、その中で一番長く遊技した機種をメイン機種として算出した人数比率
▼サン電子 情報戦略部『TRYSEM』
KYORAKU
『CRぱちんこ冬のソナタRemember』
過去に大ヒットした機種の続編だが、新台発売時には大きくクローズアップされなかった。だが、同じ月に設置されたライバル機種と比較し、新台導入時から執筆時までに、連続稼働貢献週が24週(継続中)、累計台粗利64万2850円、台平均利益率約16%と高い業績を残している。TRYSEMにおいて1つの目安となる、累計台粗利30万円達成週数においても、9週といった比較的短期間で回収しているにもかかわらず、稼働が大きく落ちない数少ない機種という点でも評価した。
銀座
『ディスクアップ』
累計台粗利や利益率は書けないくらいマイナスになっており、「利益が取れない機種なのに、中古相場で取引が成立する例外的な機種」となっている。それでも増台する店があったり、メーカーが再販する理由は、稼働貢献が非常に高いからに他ならない。集客できる機種として評価して選定した。
▼ダイコク電機『DK-SIS』
JFJ
『CR緋弾のアリアAA JPH』
店舗がファンの人気を見誤っているのではないかという機種。DK-SIS登場初日のアウトは2018年11月までに登場したハイミドルタイプ46機種中31位だったが、遊技時間は10週以上貢献する目安である9時間に達した。導入後31日経った時点で遊技時間は8位。通常のハイミドルタイプは1時間当たりのアウトが4700個~5300個となるが、同機はファンが演出に熱中し遊技する手を離すためか、4320個にしかならないためにアウトは上がらない。それを踏まえて、活用を見直してもいいのではないだろうか。
銀座
『ディスクアップ』
DK-SIS初の設定1の実績出玉率が100%を超えた機種。アウトが高い反面、粗利が取りにくいことは周知の事実だが、注目すべきは「売上」だ。11月の20円パチスロの平均売上が2万3000円の中、『ディスクアップ』は3万4800円にも達している。前年比で売上の下落を気にするホールは注目すべきポイントだろう。損益11割営業であれば少しずつだが粗利も確保でき、撤去までには遊技機購入費の償却も可能となる。多台数導入することで売上貢献が増えるだけでなく、目押しが上手でないファンも遊技するようになり粗利貢献も上がるだろう。
▼グローリーナスカ『遊動分析(全国版)』
SANKYO
『Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ』
注目ポイントは「朝イチに初遊技されやすい」という点。来店して最初に遊技する機種を示す「初遊技機種」のランキングをみると、同機種は昼から夜の営業時間帯ではベスト10圏外だが、午前中は6位にランクイン。朝から高設定を狙う遊技客の動きが数字として表れた。直近では遊動アウト(遊技客1人あたりのアウト)も回復傾向にあり、固定客の存在がうかがえる状況だ。先陣を切り設定付きの未来を照らしてくれたヴァルヴレイヴに1票。
大都技研
『HEY!鏡』
遊動データの「遊動アウト」「勝ち率」に着目した。1人あたりの稼働を示す「遊動アウト」は、導入1週間の平均値が4000個を越えた。これは驚異的な数字だ。一度着席したら長時間遊技している機種ということが数字として表れた。直近の遊動アウトも約2700個と『バジリスク絆』と同等でありランキング上位を維持している。さらに勝ち率にも注目したい。大半の機種が20%前後の勝ち率である中、同機の初週の勝ち率は約36%と非常に高かった。勝ち率は高くても勝ち額は平均以下という6号機にあって成功した『HEY!鏡』に1票。
▼メディアシステム『エンタープライズ』
アムテックス
『CRトキオスペシャル』
エンタープライズの「機種分析」データから、導入10週目の稼働を全機種集計。その中で、ハイミドル・ミドルスペック以外で稼働率が最も高い台を選出した(導入10週目稼働率は37.8%)。今年は天龍シリーズやRAIZINMANシリーズなど、話題になった役モノ機種が例年以上に多く登場したが、その中でも頭一つ抜けた稼働実績を残している。メイン機種の苦戦も目立つ中で、少台数導入だがしっかり稼働する機種の発見は今後も不可欠だと考えられる。
山佐
『パチスロ学園黙示録ハイスクール・オブ・ザ・デッド』
エンタープライズの「機種分析」データから、導入10週目の稼働を全機種集計。『ディスクアップ』、『マイジャグラーⅣ』に次いで稼働率が高かったのが『ハイスクール・オブ・ザ・デッド』だった(導入10週目稼働率は34.7%)。稼働が厳しい機種が多かった5.9号機の中で、大健闘している機種と言える。来年以降、認定切れで撤去となるART機・AT機が増えることも加味すれば、「稼働が見込める5号機のART機」として長く活躍できる可能性が高い貴重な機種ではないだろうか。
▼エムシック『AI-CIS』
サミー
『CR偽物語ETE』
ミドルタイプの「LTD」と同時リリースだったが、1人あたりアウト(一人当たりの遊技時間)は「ETE」が上回った。コンテンツ的に両スペックともにパチスロユーザーの移動比率が高く、導入当初は「ETE」のみ勝率30%で活用されたことも、アウトが高まった理由ではないか。「勝率重視時代」におけるライトミドルの重要性と活用方法を改めて確認した機種だった。
藤商事
『FAIRY TAIL』
5.9号機の中では1人あたりアウトが高く、5.5号機並の勝金額平均となっている。利益率10%程度で運営できれば継続的に勝率30%が提供でき、長期活用が可能な機種だったと考えられる。『CR偽物語ETE』と同様に今後の方向性を示す機種であり、適正利益率と勝率との関係が明確になった機種だった。
▼ピーブレイン『P-BRAIN』
KYORAKU
『CRぱちんこ冬のソナタRemember』
弊社が注視している導入経過10週目の視点で①打込貢献②累計粗利③中古価格④投資効率(累計粗利+中古価格)の4点に注目して順位をつけた。1位の『CRぱちんこ冬のソナタRemember』は打込貢献(194.4%)、10週目中古価格(87万1678円)、投資効率(128万7758円)が1位で3冠。参考までに、2位の『CR仮面ライダーフルスロットル』は累計粗利が1位で、打込貢献、中古価格、投資効率がすべて2位だった。2018年の傾向として、新台の寿命が短く導入10週目で打込2万個を超える機種は『冬のソナタ』だけだった(羽根モノ、一発台を除く)。新台が振るわない中、海シリーズは打込、投資効率をみても安定していた。
北電子
『マイジャグラーⅣ』
パチンコと同様の基準で、1位は『マイジャグラーⅣ』。安定した打込、10週目中古価格(271万2257円)も他を大きく引き離す1位だった。参考までに2位は『HEY!鏡』。10週平均の打込、打込貢献が高かった。2018年の傾向として、パチスロは発売機種自体が少なく旧基準機に頼った営業となった中、『マイジャグラーⅣ』は別として初の6号機だった『HEY!鏡』がある程度稼働したことで、6号機にあまり悲観する必要はないのではないかという印象を受けた。