No.10001090
日工組社安研
遊技障害研究会論文 『精神医学会』査読通過
障害の程度と症状の関係を明らかに
日工組社会安全研究財団は2月、同財団内に設置されている「パチンコ・パチスロ遊技障害研究会」の新たな論文が精神医学領域の学術誌『精神医学』(医学書院)の査読を通過し、同誌2018年9月15日発行号に掲載されたことを報告し、その論文を業界メディアに公表した。
論文のタイトルは「ウェブモニターを用いたパチンコ・パチスロ遊技障害の症状の出現頻度の検討 項目反応理論による分析」。
論文では、PPDSの得点をアメリカ精神医学会の精神疾患の診断の手引き(DSM)における「ギャンブル障害」の診断基準に照らし合わせると、以下が分かったことの要点だとしている。
(1)「深追いと自己制御困難」「逃避」の症状は、DSMの「ギャンブル障害」に該当しない人にもよく見られた。よって、これら症状が見られたからといって、遊技障害に即座にあてはまるというわけではない。
(2)より重要な症状に関する兆候として、次の2点が明らかになった。
①自殺を除いた「実質的な問題」に関しては、「思考のとらわれ」や「嘘・隠しごと」が観察された時点で、発生の萌芽が認められる。ただし、PPDS総得点に当てはめると、これらが観察される段階は「軽度」である。
②自殺は、「経済的問題」が観察できた時点で、発生の萌芽が認められる。PPDS総得点に当てはめると、これが観察される段階は「重度」である。
このことから論文は、「治療や支援にあたっては、この点を考慮に入れて、相談者に注意を呼びかけたり、そうした可能性を踏まえた対応をしていくことが必要であると考える」と指摘している。
今回の調査では、市場調査会社のモニターに対するインターネット調査によって、18歳以上の首都圏に住む、過去1年以内にパチンコ・パチスロを経験した人を抽出し、同財団が作成したパチンコ・パチスロ遊技障害尺度(PPDS)のテスト項目27問に回答してもらった。有効サンプル数は522。「尺度項目を項目反応理論により分析」したのが手法の特徴だという。