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2019年05月22日
No.10001195

社内報 最新トレンド
ステークホルダーの共感どう得る!?
ターゲットの明確化がメッセージ性を高める

ステークホルダーの共感どう得る!?

社内報の役割は、社内コミュニケーションの活性化や情報の共有、ベクトルを統一することにある。ホールディングス化やM&Aなど、急速に進む企業体制の複雑化に対応する意味でも社内報は重要度を増している。では会社にとってベストな社内報とはどのようなものか。企業のインターナルコミュニケーション施策の実態を把握する「全国社内報実態調査」を実施し、分析レポート「社内報白書」を発行するウィズワークスの浪木克文代表に話を聞いた。

社内報とは、文字通り社内に広報するための印刷物やWebなどの媒体のこと。主に社内の情報や価値観を共有するためのコミュニケーションツールとして活用される。日本では社内イントラネットの普及でWebを使った社内報も増えているが、主流は紙媒体だ。社内報発行の編集・企画などを行うウィズワークスが、2年に一度まとめている「社内報白書2018」の調査では、社内報のメディアとして利用されているのは、「雑誌型社内誌」のみが50%、「Web」のみが11%、「雑誌型社内誌」と「Web」の両方が28%だった(複数回答)。

広報誌の使い分けについてウィズワークスの浪木代表は、「多くの企業でイントラネットなどの環境整備が進み、紙媒体とイントラネットを併用するのが主流になりつつあります。例えば、社内イベントやプロジェクトの成功など速報的なニュースを伝えるのはイントラネット、経営方針や新規事業についてなど態度変容を起こしたい内容は紙媒体を使うのが効果的です」と説明する。


ターゲットに合わせた企画・構成を

社内報ではどのような情報・メッセージを盛り込むべきか。「社内報白書」によると、重点を置いている企画の上位に「トップメッセージ・経営方針」が挙がる。だが、必ずしもトップが登場して、経営方針を伝えることが正解ではないと浪木代表は指摘する。

「社内報の役割は、会社で起きている問題を解決することにあります。例えば、若手社員の離職者が多い場合、トップメッセージをいくら伝えても彼らには響かない。それよりも身近にいる先輩社員にフォーカスし、役割を提示して将来の不安を払拭した方が良い。つまりは、会社で起きている問題に合わせて伝える人や方法を変えるべきなのです」

社長が出て経営方針や理念を伝えるより、事例を紹介した方が本質は伝わりやすい。店舗型ビジネスのように拠点が多い業態では、グループ店の成功事例や改善点などを共有した方が、社長が経営方針を言葉で伝えるよりも社員には理解されやすい。全国展開する某企業では、成功事例を社内報で共有したことで会社全体の売上が伸びたという。

社内報に掲載する内容は、基本的に全従業員に向けてのもの。だが、部署によって会社側が伝えるべき情報、受け手の興味は異なる。

「ターゲットは号ごと企画ごと年ごとで明確に設定すべき。深く刺さる内容にしようとすればするほど、ターゲットを絞らなければ効果が薄くなる。共感を得て問題を解決したいという意図がある企画は、全員に読ませることは考えない方が良いですね」

社内報の読者は従業員だけではない。パートナー企業や顧客などステークホルダー全般が対象になる。どの層にどんなメッセージを伝えたいか。ある程度ターゲティングをし、それに合わせた企画づくりが重要になる。例えば、従業員の家族に読んでもらうために、家に持ち帰るよう推奨したり、若い従業員の親に郵送している企業もある。マイナスイメージを持たれている業種であれば、仕事の社会的意義や企業が行っている社会貢献活動を社内報に記載することも重要だ。

「社内報を読んだ家族は、仕事に対する理解が深まります。会社を運営するうえで家族の理解は必要不可欠です。また、就職活動中の学生に向けて社内報を配布すれば、職種に対する偏見や誤った理解を取り除く一助になるでしょう」

150周年誌を制作した大手ゼネコンのA社は、社内に創業当時を知る者がいなかったことから学校の歴史の教科書と照らし合わせながら会社の歴史を紐解いた。誌面構成も教科書仕立てで、家に持ち帰っても楽しめるつくりにした。


社内報作成は誰が担当すべきか?

規模の大きな会社では、総務、広報、人事、経営企画と役割を明確に分けている企業が多い。以前は社内報を広報が担当するのが一般的だったが、近年は経営企画や人事が担当するケースも増えている。それは、ホールディングス化やM&Aなどによる企業体制の変化や、採用難といった問題を解決するためだ。

「ホールディングス化やM&Aを行った企業であれば、経営企画が中心となり経営方針の周知徹底や経営理念の浸透を図ることが最重要課題になる。近年の採用難を考えれば、人事が主導して離職防止や学生に興味を持たせる内容が良い。ターゲットを明確にしたいのなら、適材適所担当を変更することも良い社内報作りには必要かもしれません」




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