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2020年08月17日
No.10001874

日工組が倉庫整理を呼びかけ
使用済み遊技機400万台の適正処理へ

2018年2月に施行された規則改正に伴い、今後検定切れ、認定切れとなる使用済み遊技機を適正に処理することが求められている遊技業界。経過措置が延長されたとはいえ、設置中及び倉庫に保管されている旧規則機は現在でも400万台近くに上るとみられる。危機感を募らせる日本遊技機工業組合(日工組)では、加盟メーカーが独自の優遇策を設けるなどして早期排出を呼びかけている。

全日遊連が今年4月に実施し、6月3日に公表した「遊技機の保管状況調査」によれば、ホールの自社倉庫や販売商社、運送業者、処理業者、倉庫業者などの倉庫に保管されている3月31日時点の旧規則機は、パチンコが73万6747台、パチスロが38万2542台で合計111万9289台だった(調査回答ホール数7377店舗)。

一方、現在設置されている遊技機について、警察庁が3月に発表した2019年12月末現在の全国の遊技機設置台数(パチンコ255万7845台、パチスロ163万7906台)をもとに2019年12月末現在でピーワールド・インサイトが集計した旧規則機の設置割合(パチンコ66.7%、パチスロ77.3%)から算出すると、昨年末時点で店舗に設置されている旧規則機はパチンコ・パチスロ合わせて約297万台。倉庫に保管されていた旧規則機と合わせるとおよそ409万台になる。

2月以降の新型コロナウイルスの感染拡大によって廃業店舗が増加しているとはいえ、使用済み遊技機の数自体は変わらないとみられる。検定・認定切れ遊技機設置の経過措置期間が延長されたとはいえ、今後処理しなければならない使用済み遊技機が約400万台存在するという推計は決して的外れではない。

買取り回収で倉庫整理を

1990年代に廃棄台の野積みが社会問題になった苦い経験がある日工組では、この状況に危機感を募らせる。日工組では、パチンコ・パチスロ合わせて約400万台ある旧規則機をすべて適正処理するためには、処理能力から見積もって今後2年程度かかるとみている。その間に新台の設置が進んでいけば、撤去された遊技機の保管場所がなくなり、野積みのような状態で放置される懸念がある。

そこで日工組では今年に入り、倉庫整理による早期排出を促すために「日工組回収システム」を利用した「買取り回収」の利用を呼びかけている。これは、日工組が使用済み遊技機の処理を委託している処理業者4社が、ホールから使用済み遊技機を買取り、適正に処理を行う制度で、処理費用は当該遊技機のメーカーが負担する仕組みだ。

さらに日工組加盟のメーカーによる個別の取り組みとして、新台販売の際に倉庫にある使用済み遊技機を併せて下取りするメーカーもある。通常の下取り価格に上乗せして下取りをしたり、新台1台に対して複数台を下取りしたりするなどだ。この取り組みは当初、今年の「夏頃まで」とされていた。しかしホールの中には撤去期限間近まで使用済み遊技機を所有して、間近になって入替の下取りに充てたいという思惑もあり、なかなか回収が進まないのが現状だ。

下取値引券など優遇策も

日工組では「日工組回収システムも制度改正や人件費上昇で運営が厳しい中、この先一気に大量の使用済み遊技機が排出されたら手に負えなくなる」と危機感を示している。

そこで、新たな施策として「下取り値引券」の発行に踏み切るメーカーも出てきた。これは下取りの順序を変えようという動きで、ホールが倉庫に保管している遊技機をメーカーが安価で買取る代わりに、下取り差額分の「値引券」を発行するというもの。仮に倉庫に眠る下取り価格5000円の遊技機であれば、いま1000円で買取り、将来の新台購入時に差額の4000円分を値引きするというスキームだ。これにより、使用済み遊技機の早期排出を促し、処理能力に余力があるうちに処理を進めたい考えだ。また、空いた倉庫スペースで来年以降発生する撤去遊技機を処理待ちの間、保管してもらいたいという狙いもある。日工組では「新たな優遇策はメーカーによって内容が異なるので、詳細は各メーカーに問い合わせてほしい」としている。

日工組回収システムを担う処理業者4社の内情について、ある業者では「現状でも倉庫の収納能力は限界に近付いている。年末以降は回収のご依頼があっても引き取りをお待ちいただく場合が出てくる」と苦しい胸の内を明かす。ギリギリまで使用した遊技機については「ホール様の倉庫で、ご自身で保管してほしい。そのための隙間を今のうちに確保していただきたい」と倉庫整理への協力を求める。

使用済み遊技機の適正処理は業界全体で共有しなければいけない課題でもある。最終処理業者に行き着くまでの過程でどこかに過度な負担が生じないためにも、早期の排出が欠かせない状況だ。


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