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2020年08月05日
No.10001864

加熱式たばこ 専用フロアじわり
完全分煙化後の集客の一手か

4月1日に改正健康増進法が全面施行され、パチンコホール内は原則禁煙となった。そんな中、加熱式たばこを吸いながら遊技できるフロアを設置するホールが増えてきた。もともとホールでは喫煙者の割合が高かったため、加熱式たばこ専用フロアを好む客層も多いようだ。 

改正健康増進法では経過措置として、一定の条件をクリアした空間であれば、加熱式たばこ(アイコス、プルームテック、グロー等)に限り、飲食やパチンコを打ちながら喫煙ができるとしている。そのため協力休業が明けてから、フロア別、あるいはワンフロアの中で仕切りを設けて、加熱式専用スペースを設置するホールが散見されるようになった。

ホールでは来店客に占める喫煙者の割合がもともと高かったこともあり、こうした「遊技をしながら喫煙できる」スタイルを好むプレイヤーは多い。都内のあるエリアの客数の推移を見ると、加熱式エリアを作ったホールの支持率が高まっている(加熱式エリア設置前後で競合店とのシェア差が広がった)。顕著なのが、夕方以降に加熱式エリアの支持率が高まっていること。サラリーマン層などに支持されていることが伺える。 

「コロナによる休業を挟んでいるので、喫煙環境の変化がどれほど集客に影響を与えているのか測りにくいが、シェアが上がった事実をみると、加熱式フロア設置のプラスの影響とみてもいいかもしれない」と、都内のホール関係者は話す。       

そもそも、喫煙者は非喫煙者と比べて、パチンコ・パチスロに使う金額、遊技頻度ともに高い。特徴的なのが「加熱式たばこ喫煙者」のアクティブさだ。首都圏在住者を対象にした本紙調査によると、コロナ禍による協力休業後、多くのプレイヤーの遊技頻度が休業以前より減少したが、そのなかで加熱式たばこ喫煙プレイヤーは、遊技頻度を減らした人の割合が低く、他の娯楽やレジャーへの参加も積極的だった。こうした特性がある加熱式たばこ喫煙プレイヤーを取り込んでいくことは、今後の集客のポイントとみるホール関係者も少なくない。

集客効果は高い!?

直近では、ワンフロアで加熱式喫煙エリアを設置するホールも出てきた。ワンフロアを区切るためには、天井までを仕切って境界線風速を確保しなくてはならないため、コストや工期などで、大掛かりなリニューアルが必要になる。それでも実施するからには、相応の効果を見込んでいるのだろう。  

7月にグランドオープンした九州の大型ホールでは、パチスロ全台とパチンコの一部をガラスで覆い、加熱式喫煙エリアとした。加熱式エリアの総台数は800台超というスケールだ。

「分煙ボードもパチンコ・パチスロ全台に設置しましたし、加熱式たばこは紙巻たばこに比べてニオイも少ないので、加熱式コーナーで遊技される非喫煙者も少なくない。遊技対象者が増えるという意味で利点は大きい」と同店の店長は言う。

一方で、関西の繁華街エリアの客数シェアの推移をみると、加熱式フロアを設置していない大手チェーンのホールが支持率を高め、加熱式フロアを設置した他の2ホールとのシェア差を広げている。加熱式フロアを実施していない大手チェーンは、パチスロの段階的な強化など、継続的に集客を高める施策を打ってきた。店舗選びの際に「喫煙できる」ことより、「機種構成」や「期待感」にプライオリティを置いているプレイヤーが多いことを示すケースと言えそうだ。

仮に加熱式フロアを設けることに集客上のメリットがあったとしても、そのスタイルはすぐにコモディティ化し、その優位性はなくなっていく。成功事例を模倣する、あるいは競合店に条件を近づけることは重要だが、差別化にはつながらない。人々の行動が変化したコロナ後は特に、顧客のニーズの変化を予測し、先んじて手を打っていくことが求められそうだ。


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