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2022年03月01日
No.10002684

【特集】萌芽するポーカー人気③
日本最大規模のポーカーイベント「JOPT」
大会参加者は10年で9倍に増加!

10月24日に開催されたJOPTシーズ21TOKYOのメインイベントのトーナメント

人気の高まりを反映して盛り上がりを見せているのが、ポーカー大会だ。地区予選を勝ち抜いたプレイヤーだけが参加できるメインイベントには、トッププレイヤーの戦いをライブで見ようと観戦者が詰めかける。サイドイベントへの参加者も含めると延べ参加者(競技者)が数千人規模になる大会もある。大会のひとつ「JOPT」は昨年、10周年を迎えた。
取材・文=田中 剛(本誌)

Japan Open Poker Tour(JOPT)は、「ポーカーエンターテイメントの提供」をコンセプトにした日本最大規模のポーカー大会。年2シーズン行われていて、基本的には前半、後半それぞれで「TOKYO」、「OSAKA」、「GRAND FINAL」の3つの大会が開催される(2020年、2021年は新型コロナ禍のため変則的になった)。

それぞれの大会では3日間かけて勝者を決めるメインイベントのほかに、12~20のサイドイベントが行われる。それぞれのサイドイベントは、テーブルに持ち込めるチップ量やゲームごとに払わなければならない参加費などが異なり、技量や好みによって選択できる。当日参加できるサイドイベントもあり、メインイベントで途中敗退したプレイヤーがそれらサイドイベントに参加することもある。

2021年は4月30日から5月5日の6日間に東京ポートシティ竹芝(東京都港区)で、新型コロナ禍のため延期になっていたJAPAN OPEN シーズン19の「GRAND FINAL」とシーズン20の「TOKYO」大会を連続して開催した。「GRAND FINAL」のメインイベントには396人、「TOKYO」のメインイベントには507人が出場した。サイドイベントも併せて6日間に延べ6258人が参加した大きなイベントになった。

シーズン20の「GRAND FINAL」は7月に開催され、メインイベントには818人が参加。サイドイベントも併せて5日間に延べ3878人が参加した。

この後、シーズン21となり、8月に「OSAKA」大会、10月に「TOKYO」大会が開催され、2022年1月に「GRAND FINAL」が開催される。

大会のメインイベントに出場するには、サテライトと呼ばれる全国のポーカースポットで行われる予選を勝ち上がらなくてはならない。このポーカースポットは基本的に、アミューズメントカジノ、アミューズメントポーカールーム、アミューズメントポーカーバーと呼ばれる風俗5号営業店舗。JOPTの大会の規模が大きくなっている背景には、プレイヤーの増加と、日頃彼らがポーカーを楽しむ場である5号営業店舗の増加がある。
 
YouTuberの発信でポーカーファン増加

JOPTのトーナメントディレクターを務めるジャパンオープンポーカーツアー株式会社の宮田達宗イベントディレクターは近年のポーカー人気をどう見ているのか。

「プレイヤー人口の統計といったものはないのですが、間違いなくプレイヤーもポーカースポットも増えています。ヨコサワさん(世界のヨコサワ/横澤真人)、じぇいそるさんといったプロポーカープレイヤー兼YouTuberの影響は大きいと思います。お店に関しては把握しきれないので肌感覚となりますが、ここ1年で都内だけで20店舗くらい増えているでしょう。JOPTのGRAND FINALのエントリー数で見ると、2017年7月開催(シーズン12)ではメインイベントとサイドイベントを合わせて1554人でした。これが2021年7月開催(シーズン20)では約2・4倍の3693人になりました。人気の高まりのひとつの目安になるかと思います」

ヨコサワ氏は2013年にポーカーの世界大会(WPTソウル)のメインイベントで優勝し1000万円を獲得し一気に知名度が高まった。現在のチャンネル登録者数は63.4万人。2020年1月に投稿された動画「プロギャンブラーにいきなり10万円渡したら1時間でいくらにできんの?」は446万回再生された。

じぇいそる氏は20代の頃から15年にわたりポーカーで生計を立てている、日本人プロポーカープレイヤーの先駆者的存在。6年前から拠点をラスベガスに移している。2020年2月にYouTubeチャネルを開設し現在の登録者数は5・1万人。

じぇいそる氏は37歳、ヨコサワ氏はまだ29歳という若さだ。JOPTの2018年までの推計によると、ポーカーイベント参加者の男女比は95対5で圧倒的に男性が多い。年代構成は29歳以下:35%、30歳代:35%、40歳代:20%、50歳代以上:10%。ここからも、人気の広がりは若年層が牽引していると言ってよさそうだ。


JOPTの大会規模は10年間で9倍に!

JOPTの最初の大会は2011年で、秋葉原でアミューズメントカジノ店『アキバギルド』を運営するハンターサイトの主催だった(当時の名称は『ジャパンポーカーツアー(JPT)』。ハンターサイトが東京や大阪のアミューズメントカジノ店に声をかけて、約10店舗がメインイベントのサテライトとなって予選が行われた。現在のGRAND FINALに相当する、その年を締めくくる大きな大会「Japan」のメインイベント参加者は89人だった。2021年7月のGRAND FINALのメインイベントの参加者数は818人だったので、この数で見れば、大会の規模は10年間で約9倍になったのだ。

「だんだんと規模が大きくなり、アミューズメントカジノ店の運営と、大会の企画・運営を切り分けるために2016年にジャパンオープンポーカーツアー株式会社が設立されました。2022年1月に開催されるシーズン21のGRAND FINALのメインイベントへの出場権をかけた予選がいま全国の80カ所のサテライト(店舗・団体)で行われているところです。ファンの増加と大会の知名度向上によって、サテライトになってくださるポーカースポットも増えました。会場のキャパも広げメインイベントのテーブル数は前回が74、次回は80以上です。しかしプレイヤーが増えて、以前よりも予選を通過するのが難しくなりました。平均すると、予選通過倍率は10倍程度だと思います」

大会開催の目的はポーカー店を活性化

メインイベントのファイナルテーブルには全参加者のチップが乗っている

ポーカーは麻雀のように近くに住む仲間内だけでも楽しめるゲームだが、普段とは違う顔ぶれの中で腕を競ったり有名なプレイヤーの対戦を観戦したりできる大会も楽しみ方のひとつだ。

先述の通り、JOPTのような大きなイベントのメインイベントは、予選を勝ち上がったプレイヤーだけが参加できる本選になっている。そこで優秀な成績をおさめたプレイヤーはJOPTの契約選手として海外トーナメントへの出場がオファーされる。これを受けたプレイヤーはJOPTの契約選手として登録され、海外の大会に出場して世界のプレイヤーと腕を競う。

このような大会への出場を目指して、サテライトでの予選に参加するプレイヤーが増えることは、各地のポーカースポットの来店客が増えることを意味する。

「大会は、サテライトになったポーカースポットの活性化のために開催しているのです。それがJOPTの要の部分なのです」(宮田ディレクター)

ポーカースポットはさまざまな大会の中から、店舗の認知度向上や集客向上が期待できそうな大会を選びサテライトになり、本選への出場枠数に応じた広告宣伝費(協賛金)を支払うという仕組みだ。各サテライト内で開催される予選会の開催日程やトーナメント参加費の設定などは各店の裁量に任されている。本戦への出場を目指すプレイヤーは、いくつものサテライトに出向いて予戦に参加するのが一般的だ。

宮田宗達氏(JOPTトーナメントディレクター)

世界標準ルールを大会を通じて広める

もうひとつの大会の意義は、標準ルールの普及につながることだ。世界的にはPoker TDA(TOURNAMENT DIRECTORS ASSN)による統一ルールがある。JOPTはその日本語版に準拠している。
 
「地元のポーカースポットのハウスルールや日本国内だけの独自ルールでポーカーを覚えてしまうと、海外の大会などに出たときに混乱してしまいます。逆もしかりで海外のプレイヤーが日本に遊びに来たときに、ルールやマナーが異なると困ります。ですから、すでにある世界標準をしっかり国内に広めることもJOPTの使命だと考えています。これは大会運営者、事業者(ポーカースポット)、ディーラー、プレイヤーなどすべての関係者に理解していただきたいことなので、大会前の講習会がよい機会になっていると思います」

講習会の場以外でも、宮田ディレクターのもとには日頃から事業者やディーラーなどから、「こういうケースはどう判断したらよいのだろう」といったルールについての問い合わせがあり、これに応じているという。

宮田ディレクターは今後の課題として、プレイヤー情報を整備したいと考えている。現在は多くの大会がニックネーム、ハンドルネームでエントリーできるが、情報の整備のためには、IDによる本人確認を導入する必要がある。

「実名の公表にこだわっているわけではありませんが、JOPTではすでに大会入賞者の発表は実名に移行しています。エントリーを実名にするのは戦績のデータベース化のためです。大きな大会で優勝すれば一気に知名度は上がりますが、ポーカーの強さとは、ある期間にわたって戦績の積み重ねで評価されるべきだと思います。ですから他の大会とも横断的に協議して、このデータベースを少しずつ整備していこうとしているところです。それに賞金が出る海外のイベントではプレイヤーは実名が普通です。今後日本のIR内にポーカールームが開業し、既存のアミューズメントポーカースポットで行われる大会と連携していくとしたら、実名による参加者情報の管理や顔写真の公開に舵を切っていく必要が生じると思います」

※『月刊アミューズメントジャパン』2022年1月号に掲載した記事を転載しました


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