特集記事

特集記事内を

2022年03月02日
No.10002686

【特集】萌芽するポーカー人気④
ポーカー大会の最高峰WSOP 優勝賞金は9億円

ポーカープレイヤーなら誰でも憧れる決勝テーブル。賞金9億円を手にしたコライ・アルデミール氏の雄姿は世界中に配信された(写真提供=POKER NEWS)

約9億円という高額の優勝賞金と名声を得ることができるポーカーの世界大会。それがWSOPだ。2021年も米国・ラスベガスで開催され、サイドイベントの参加者を含めると1万人以上が集まった。ワクチン接種証明が義務付けられる状況において、日本からも100人以上が参加。急速に人気が高まる日本のポーカー市場にも影響力を持つイベント会場の様子をリポートする。
文・写真=篠 泰樹(カジノジャパン編集長)

米国・ラスベガスの「リオ・オールスイートホテル&カジノ」(運営:シーザーズグループ)で毎年開催されているポーカーの世界大会「WSOP(World Series of Poker)」での優勝は、世界中のポーカープレイヤーの目標と言っても過言ではない。

ポーカーには何種類ものゲーム(ルール)があるが、「テキサス・ホールデム」というゲームが世界の主流だ。WSOPのメインイベントはこのテキサス・ホールデムでのトーナメントで、参加費は1万ドル(約114万円)。2021年の大会では6650人がポーカーの技術を競い合った。このメインイベントだけで、単純計算して約76億円を売り上げるビッグイベントだ。

約2カ月という開催期間中、メインイベントの他に、「オマハ・ホールデム」をはじめ、さまざまなゲームによる88種類のサイドイベントも行われる。スポンサー収入やネット配信権収入なども含めると、売上は100億円を超える。

例年は5月から7月までの2カ月間にわたり開催されるが、2021年は5カ月延期して10月からの開催。参加するには、新型コロナワクチンの接種完了証明(2回)を提出することが義務付けられた。その代わりに会場内ではマスク着用は義務とはならなかったが、約3割のプレイヤーはマスクを着用してプレイしていた。

それにしても、多くの人が集まったと思う。

2020年は新型コロナの感染拡大によって会場での大会は中止となったが、初めてオンライン開催という形で実施され、参加者の総数は20万人を超えた。それでも、やはり会場でのイベントの復活は待ち望まれていた。

WSOPの会場は広く、グッズ売場やカフェなどもある。インスタ映えするスポットも設置されている

WSOPの雰囲気は
まるでオリンピック


WSOPは、サイドイベントがそれぞれに優勝者を決める仕組みになっている。サイドイベントの数(競技種目数)の多さや世界各国から参加者が集まることなどから、オリンピック的なイベントとして人気を誇る。本大会では、サイドイベントの2種目で日本人が優勝してくれた。優勝した池内一樹氏と岡村元義氏には敬意を払いたい。優勝すると、勝者の証としてWSOP特製のブレスレットが贈られる。このブレスレット所有者は、世界中のポーカープレイヤーからリスペクトされ、それは日本でも同様だろう。サイドイベントを通じて、ブレスレットを手にした日本人は今までに5人いる。メインイベントでブレスレットを日本人が手に入れる日も夢ではないだろう。

表彰式では、会場で優勝者の国歌が流されるので、今回は2度も「君が代」が流れることになった。大勢の参加者がいる中で国歌が流れるという演出をはじめ、WSOPは参加者を喜ばす演出に長けている。会場内には、歴代のメインイベントでブレスレットを手にしたレジェンドたちの写真が掲げられている。誰もが「いつの日か自分も…」と思わずにいられない。会場各所にインスタ映えするスポットを用意するなど、細かい所にも演出の気配りを感じる。

ポーカーのトーナメントを簡単に説明すると、生き残りゲームだ。チップを失った者から脱落していき、最後に残った者が全てのチップを手に入れることで優勝する。ゲームが進み、あと数人が脱落する間に自分が勝ち残れれば賞金を獲得できるというタイミングになると、日本人どうし互いに励まし合う姿が見られた。決勝テーブルになると、日本人が集まって勝ち残っている日本人プレイヤーを応援した。ポーカー人気の高まりで、TwitterなどSNSツールを通じて届く応援メッセージも多くなった。孤独を強いられるプレイヤーにとって大きな励ましになっているはずだ。

ラスベガス在住のじぇいそる氏(中央の黒いマスクをした日本人プレイヤー)は、本大会のメインイベントでも賞金を獲得。著書『職業プロポーカープレイヤー: カジノを「職場」にする生き方(辰巳出版)』が好評発売中


2022年5月31日~7月19日に開催予定のWSOPは会場を「Paris」と「Bally's」に移転する


YouTuberの世界のヨコサワ氏も参加していた。日本のポーカーブームを牽引している立役者だ


日本人参加者増が
日本市場を刺激する


多くのポーカートーナメントは、参加費の10%程度を主催者が手数料として差し引き、残りを参加者の上位10%に順番に分配していく形をとっている。もちろん、上位になるほど賞金は高額となっていく。WSOPの場合、メインイベントは参加費の合計から6%程度を主催者が手数料として差し引いて、残りを参加人数に関係なく1000位までの参加者に賞金として配分している。今回の優勝者となった、ドイツのコライ・アルデミール氏が手にした賞金は800万ドル(約9億円)となった。これにより彼の生涯獲得賞金額は約14億円を超えた。

今回は、参加費1万ドルのメインイベントに約60人の日本人が出場した。上位には残れなかったが8人が賞金を手にした。参加者の中には、YouTuberや有名タレントが含まれていた。サイドイベントだけに参加した人まで含めると、今回は200人前後の日本人がWSOPに参加していた。この巨大なポーカー大会で、世界中のプレイヤーと戦う日本人が増えるのを見ることで、日本のポーカーファンは背中を押される気分になるだろう。

日本全国で広まっているアミューズメントポーカー施設では、国内で開催されている複数のポーカー大会の参加権を得るため、日夜トーナメント・イベントが開催されている。国内の大きなポーカー大会で優勝すると、多くの場合は主催団体の契約プレイヤーという形で、WSOPへの参加権利(参加費100万円相当)がオファーされる。このようなピラミッド式のシステムがすでに日本でも構築されている。

これまで「リオ・オールスイート・ホテル&カジノ」で開催されてきたWSO Pは今回で最後になった。WSOP主催者は、2022年の会場をラスベガスで最も賑わっている繁華街、ラスベガス・ストリップにある「バリーズ」と「パリ・ラスベガス」に移転することを発表した。次回も日本人の参加者は増えるだろう。そしてWSOP人気の勢いに引かれる形で、日本のポーカー市場も拡大を続けるだろう。

TAIKI SHINO
日本の大手出版社での編集長業務を経て、ニュージーランドなどカジノがある海外都市に拠点を移す。現在は上場企業の役員という一面も持ち、欧米やヨーロッパ圏のカジノにも足を運ぶ。日本で唯一の専門誌「カジノジャパン」編集長。

※『月刊アミューズメントジャパン』2022年1月号に掲載した記事を転載しました


関連記事