No.10002769
ワールドカップ(鳥取県)
美観・衛生の感度を高めるホールの取り組み
「ガサツチェックコンテスト」で人材が育つ
「お客様にストレスが少ない店舗か」「感染症対策が見える形で実施されているか」という視点から店舗環境価値を審査する『ガサツチェックコンテスト』(グローバルアミューズメント実施)。このコンテストで高得点店舗を輩出した企業は、取組の成果をどのように感じているのか。
グローバルアミューズメント(東京都)が昨年8月から11月に実施した、店舗の環境価値をガサツ(=ストレスになる要因)の少なさと感染症対策の実施状況で審査する『ガサツチェックコンテスト全国大会2021』には110店舗がエントリーし、高得点を獲得した11店舗が最優秀ダイヤモンド店に選ばれた。
同コンテストの審査は、ストレスが少ない店舗であるかを評価する「ガサツチェック審査」(減点式)と、感染症対策が見える形で実施されているかを評価する「感染症対策審査」(加点方式)で構成されている。
前者は、「駐車場・入口」「ホール」「台周り」「スタッフ」「告知掲示物」「景品・休憩所」「喫煙所」「トイレ」「マナー」を中心に、汚れ、ゴミ、玉こぼれ、掲示物の劣化等がないか、お客様に見せる必要のない店舗備品や道具類がお客様に見えるところに置かれていないか等を審査。後者は、新型コロナウイルス感染症拡大の中で、遊技客の意識の中でも店舗の清潔さの重要性が増していることを受け、2020年から追加されたもので、「感染症対策 基本12項目(※図参照)」「安心・安全 スペシャル項目」を審査する。
ワールドカップ(鳥取県)はグループ8店舗がエントリーし、『グランワールドカップ 米子店』(鳥取県)と『ワールドカップ 鳥取店』(鳥取県)が最優秀ダイヤモンド店に、『グランワールドカップ 各務原店』(岐阜県)が金賞に入賞した。
経営企画部の全炷巌副部長は、「参加5年目にして初めてのダイヤモンド賞を2店舗が獲得できたのは、現場の社員たちが感度を高く保って取り組んだ結果」だと言う。
「営業力には多くの要因があり、どれか一つだけを『これが重要』と言うのは難しい。しかし、店舗がお客様にストレスを感じさせる空間であったら、継続的に来店していただけるわけがありません」(全副部長)
従業員の感度を高める必要がある
『ガサツチェックコンテスト』の審査でチェックされる項目は公開されており、ひとつひとつは難しいことではない。しかし項目は100にものぼり、「ガサツさがない」状態を保ち続けるのは容易ではない。
全副部長は、「スタッフの感度が高くないとガサツチェックで高得点は取れない。逆を言えば、ガサツ排除という取り組みを通じて人材が育っている。感性が磨かれている」と言う。
「結局は、お客様にとって快適で安全な場にしておこうという意識の強さ、ガサツさに気づく感度が問われているんです。さまざまな店舗業務の中で、汚れに気づけるかどうか。気づいたときに『このくらいは、まあいいか』と見逃すか、ガサツ排除を実行できるかどうか。感度が高ければ、ちょっとしたお客様の不自由にも気が付き、結果として接客力が高まります。ガサツ排除をきちんと実行できる組織は、他のルーチン業務や報告・連絡などもきっちりできている印象です」
さらに副次的な効果として、「女性社員の活躍のきっかけになった」「社内で情報の共有化が進んだ」ことを全副部長は挙げる。店舗内外をストレスがない状態に保ち続けるには、自分たちの基準が下がらない工夫、作業を効率化する工夫が必要だ。このような提案は女性スタッフから多く挙がり、積極的に関わってくれた。また、各店舗の取り組みや効果的な道具の紹介など、社内で情報共有が活発に行われるようになった。こういったことも含めて、「人材育成につながっている」と全副部長は感じている。
『グランワールドカップ各務原店』は最優秀ダイヤモンド店に次ぐ金賞店だが、「感染症対策審査」の得点はグループ店内で最も高かった。
「おそらく地域の温度感の違いが出たのでしょうが、取り組みがお客様に見えることを強く意識しています。入口の自動ドア、自動販売機のボタンなどお客様が触る箇所に抗菌コートフィルムを張っていますが、その取り組みをお知らせするため見やすい掲示物を店舗で作っています。ほとんどのお店が、店舗入口にアルコール消毒液を置いてあるはずですが、その置き場じたいの清潔さ、説明の掲示物の見やすさ、分かりやすさを評価していただきました。使い捨て手袋の貸し出しのご案内など、さまざまな取組を案内する大きなポスターも、お客様の安心感につながっているかと思います」
※『月刊アミューズメントジャパン』2022年4月号に掲載した記事を転載しました。