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2022年06月09日
No.10002846

仮想空間に飛び込め!①
メタバースが新たな経済圏に

コンピュータによって作り出された、現実世界とは異なる人工的な空間を仮想空間と呼ぶ。現実世界にいる”私“は、VRゴーグルを装着することで仮想空間に転移。そこでは現実世界で味わう感覚を同じように体験できる。

Facebookが昨年10月下旬にメタ・プラットフォームズに社名変更して以来、仮想空間やメタバースというワードが、各紙媒体で頻繁に躍るようになった。注目される最大の理由は、仮想空間における社会性が拡大しているため。社会性を備えた仮想空間は「メタバース」と呼ばれ、アバターを介した他者とのコミュニケーションが活発に行われている。

世界的に代表的なプラットフォームは、VRChat社が運営するソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」。ここでは一般クリエイターが自作した仮想空間「ワールド」を提供している。例えばかわいいメイドと会話しながらチェスができたり、ホラーアトラクションを体験できたり。ホストクラブやビジネス用のミーティングルームも存在し、利用者はアバター姿で思い思いの時間を過ごしている。

他方で、オンライン取引の履歴に関するブロックチェーン技術やデジタルアイテムの独立・固有性を保証するNFT技術の発達も、仮想空間を普及・拡大させている立役者だ。NFT商取引で用いられる通貨は主に、現実世界の通貨に替えられる暗号資産。過去には仮想空間内の土地の売却で、150万ドル分の暗号資産を手にした人もいる。拡大した社会性が経済圏を新たに生み出し、仮想空間での経済活動が現実世界の生計を立てる選択肢の一つになりつつあるのだ。

BtoCビジネスもすでに始まっている。よく知られている例はバーチャル空間の書店。VRゴーグル越しに現れるのは、無数の本が全方位を取り囲む空間。10万冊におよぶ書籍の中から、本選び、決済、発送までが完結する。必要なスペースはたった1坪だ。

コロナ禍では人との接触を回避するように、テレワークやテレビ会議システムが普及した。相手方と対面する必要性が薄れる一方で、再確認されたコミュニケーションの必要性。この時期に大ヒットとなった任天堂のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」は、その象徴とも言えるだろう。VRのような没入感こそないが、ゲームの主目的は仮想空間での他者との交流。メタバース要素を多分に内包している点が、ヒットの要因と見る専門家は多い。

※『月刊アミューズメントジャパン』2022年6月号に掲載した記事を転載しました。


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