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2023年05月15日
No.10003491

電気料金高騰にどう立ち向かう?
外気を取り入れ空調効率を最適化
API連携も視野に入れ節電のためにできることを増やす

外気を取り入れ空調効率を最適化
未来のコト 中農竜二社長

未来のコト
空調・換気扇統合制御システム
『スマートマネジメント』


『ZENT岡崎インター店』に導入され、電気代やCO2の削減に大きく貢献している『スマートマネジメント』。センサーで測定した温度を元に、空調と換気を統合制御するシステムの特徴や節電効果を、未来のコトの中農竜二社長に聞いた。

換気制御で空調効率を高める
スマートマネジメント


『ZENT岡崎インター店』は昨年夏、未来のコトのエアコン室外機制御システム『スマートエアーデマンド』と換気扇制御システム『スマートエアーファン』を設置。その後、室内外の温度測定システムと、これらを統合制御する『スマートマネジメント』を全国で初めて導入した。電気の見える化や空調機器の節電、室温のムラ解消など、さまざまな機能を一元管理することで、より効果的な節電が可能になった。

「エアコンの制御だけでは本当の節電とは言えません。効率良く電気を節約するために重要なのは、換気制御なのです」(中農竜二社長)

中農社長は、『スマートマネジメント』の基本的な節電システムについて、次のような例を挙げて説明する。

「車のエアコンをイメージしてください。夏の暑い日には、車に乗ったらまず窓を全開にして、暑い空気を外に追い出します。走りながら、外の比較的涼しい空気を取り入れたら窓を閉めて、カーエアコンを外気循環ではなく内気循環で使えば良く冷えます。『スマートマネジメント』の基本的な仕組みは、これと同じで、換気を制御して空調効率を良くすることで、最適温度を維持しながら節電できます」

運転時間を短縮してくれる
ナイトパージモード機能


『スマートマネジメント』の「ナイトパージモード」(図1)は、外気温や設定した室温に応じて、空調や換気扇をオンにする時間や運転率を自動的にセットしてくれる機能だ。


左ページの図2は室温を25℃に設定してタイマー運転したナイトパージモードのシミュレーション。室温が29℃で外気温が24℃の朝5時から3時間換気装置を100%運転して、8時に30%運転に切り替えた。同じタイミングでエアコンのスイッチを入れて70%運転にすると、約1時間で25℃に下がり、その後も快適な室温を維持した。


閉店時も同じように外気温に応じた自動運転が可能だ。例えば、夜が更けて外の温度が下がってきたら、換気制御で外気を取り入れれば、エアコンの運転率を落としても閉店する11時まで快適温度を維持することができる。その後、スタッフの作業時は室温を少し高めに設定してもいいなら、エアコンは、かなり早く切ることができ、従来のようにスタッフが退勤するまでフル稼働させていた時に比べれば、大きな節電効果が期待できる。そのほか、春先や秋口など、日中でも室温よりも外気温の方が低い場合に使える「シーズンモード」も搭載している。

天気予報とAPI連携して
節電効果をさらに高める


『スマートマネジメント』は、これらのモードに、ウェザーニュースとAPI連携し、天気予報に合わせて最適な設定で自動運転できる機能を、近い将来実装する予定だ。

「ウェザーニュースは、全国に1万5千カ所の観測ポイントがあり、北海道から沖縄まで1㎞メッシュで、1時間おきに温度や天気の情報を提供してくれます。日陰や室外機が出す廃熱の影響を受けやすい場所で測った温度に比べ、より正確な外気温がわかります。このデータと、店内に置いた温度ロガーの計測データを『スマートマネジメント』に送り、エアコンと換気装置を制御、さらなる節電を図ります」

ウェザーニュースの予報精度は非常に高く、2022年の的中率は約93%。気象庁の的中率は約80%だから、信頼度の高さがわかる。全国1万5千人のアプリ利用者から届く天気報告に、季節特性や気象現象をAIに学習させたモデルを融合させる先端テクノロジーが、的中率の高さを実現している。

図3は、ウェザーニュースとAPI連携して、天気予報に合わせた最適設定で自動運転したシミュレーションを表したもの。雨で外気温が低いため、換気は7時から1時間だけ100%運転、8時以降は30%に落としている。エアコンは、開店1時間前の9時から50%運転にしても室内は快適な25℃を保つことができる。


発想を柔軟にして
節電できることを増やす


「節電法は、探せばまだまだあります。例えば、高圧電力を変換するキュービクル(配電・分電盤)を最新型に交換するだけで25%も使用電力を削減できることがあります。節電効果が大きいのに、ご存じないホール様も多いんです。空調の電力料金に関しては、電力会社の値上げだけでなく、今後上がっていく要素があります。例えば、空調に使われている冷媒ですが、主流はHFCというフロンガスです。いずれフロンを含まないHFOに切り替えていかなければなりませんが、この冷媒はエネルギー効率が悪く電気代がかかります。他にも、電気料金が上がる要素は今後も増えていく可能性がありますから、“節電のためにできることはやり切った”と考えずに、常に新しい発想をもち、“できることを増やしていくこと”がますます重要になってくるのではないかと思います」

株式会社 未来のコト
https://mirakoto.com


※『月刊アミューズメントジャパン』2023年5月号に掲載した記事を転載しました


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