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全国50社のネットワークで再エネ事業を推進|コクホーシステム
電気は「創」って使う時代へ
自家消費型 太陽光発電システム
青天井で上昇を続ける電気料金は、ホール経営を圧迫する大きな外的要因になっている。同時に、再生可能エネルギーの推進という社会からの要請もある。こうした課題に正面から取り組んでいる企業がコクホーシステムだ。太陽光発電システムで数多くの施工実績を持つ同社はいま、ホールの店舗における自家消費型の太陽光発電に大きな可能性を見出している。
神奈川県の湘南エリア、藤沢市に本社を構えるコクホーシステムの創業は2005年。当初は産業用機器の販売からスタートした。その後09年から太陽光発電設備の販売を開始。10年には全国の建設関連企業が参画する「ソーラー情報館」のパートナーズ運営を始めて、現在は全国で50社のパートナー企業と強固なネットワークを築いている。
太陽光発電などの再生可能エネルギー(再エネ)は、12年から固定価格買取制度(FIT)が始まり、多くの太陽光発電所が生まれた。FITは一定期間決まった価格で売電でき、利回り10%以上の安定した収益が得られる点がメリットだったが、50 kW未満の全量売電の終了や売電単価の下落もあり、太陽光発電をめぐる環境は大きな転換期を迎えているのが現状だ。
そんななかで注目されているのが自家消費型の太陽光発電。自家消費型とは太陽光パネルを建物の屋根または敷地内の土地などに設置し、創られた電気を自社で使用する形態を指す。大きなメリットは太陽光で発電した電気を使用することによって、電気代を減らせることだ。ほかにも停電時の電力供給や脱炭素社会への貢献、災害時のBCP(事業継続計画)対策、店舗イメージの向上などそのメリットは大きい。電気を売るための太陽光発電ではなく、創って使う太陽光発電。それが今後のトレンドになっていくことは間違いない。
自家消費型導入の2パターン
コクホーシステムはいち早く自家消費型の太陽光発電に取り組んだ。最近の施行事例はほとんどが自家消費型。なかでも敷地や屋根が広い工場が多いという。営業部の片山大夢さんはこう話す。
「工場には大きな屋根があり、電力消費量も多いのでメリットが大きいのですが、昨年まではご提案しても興味を持っていただけませんでした。しかし今年に入ってお客様から声をかけていただくことが増えています。電気代の高騰だけでなく、大手企業の系列工場などで脱炭素社会への貢献が求められているからというケースもあります」
コクホーシステムが自家消費型の太陽光発電を提案する場合、2つのケースがある。ひとつは電力需要家が自社で太陽光パネルを購入して設置するケース。もうひとつが「PPAモデル」と呼ばれる初期投資ゼロで太陽光パネルを設置できる導入方法だ。
PPAモデルとは、PPA事業者(太陽光発電の設置業者)が電力需要家の建物の屋根や敷地などのスペースに太陽光パネルを無償で設置して、運用・保守を行うモデル。PPA事業者は発電した電力の自家消費量を検針・請求し、需要家側は使用した分の電気料金のみを支払う。
では、どちらの方法を選べば良いのか。コクホーシステム管理部の丸山忠明副部長の説明はこうだ。
「電気代削減が目的であれば自己所有が良いと思います。導入にあたっては投資回収年数がポイントになりますが、以前は8~10年だった回収年数が、現在は5~6年。昨今の電気代高騰で、削減量は同じでも、削減できる額が増えてきているからです。発電設備の耐用年数を少なく見て20年とすれば、設備投資回収後の残り14年間は、自家消費した分を電気代0円で使えることになります」
一方、PPAモデルで太陽光発電設備を導入した場合、初期費用や保守・メンテナンスなどの維持費は必要ないが、使用した電気量分の代金をPPA事業者に対して支払い続けることになる。
「初期費用がかからないので、脱炭素化やCSRを目的として急いでいる企業様には有効だと思います。当社もPPAの提案を行っていますので、ご相談いただければ対応させていただきます」
発電潜在力が高いパチンコ店
コクホーシステムでは昨年、同社で初めてパチンコホールに自家消費型の太陽光発電システムを納入した。導入したのは神奈川県内にある設置台数580台クラスの郊外店。店舗は1層で屋上部分に太陽光パネル370枚を敷き詰めた。
「この店舗様では1年間で電気代が約574万円減少しました(囲み参照)。このままの電気代であれば投資回収期間は4.25年。その後の自家消費した分は電気代0円になる計算です。今後さらに電気代が上昇すれば、さらに大きな恩恵を受けることになります。太陽光パネルの設置を店内でアピールするなど、店舗イメージの向上にもご利用いただけています」(営業部の片山さん)
電気代の高騰が続くなか、これだけ電気代を削減できれば長期的に投資の価値が高いだろう。では導入にあたってはどうすればいいのか。片山さんはこう提案する。
「自店舗にパネルを設置した場合、どの程度の発電ポテンシャルがあるか。まずはシミュレーションをしていただくことをお勧めします。現在の電気消費量や電気の使い方もお伝えいただければ、それに対してどの程度投資して何年で回収できるのか。数字を基にご検討いただけると思います」
片山さんはさらに、こう提案する。
「郊外型のホール様の多くは広い屋上のスペースがあるので、発電ポテンシャルは高いと考えられます。電気代が上がり続けるだけでなく、発電設備費も値上がりしていますので導入は早ければ早いほどメリットが大きくなります。当社ではシミュレーションだけでも無料で対応いたしますのでぜひご相談いただければと思います」
導入の際には全国50社のパートナーがしっかりとサポートしてくれる。電気代高騰への対策として、シミュレーションだけでも依頼してみる価値はありそうだ。
文=アミューズメントジャパン編集部
※『月刊アミューズメントジャパン』2023年11月号に掲載した記事を転載しました。