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2025年10月10日
No.10005006

学生視点から見る遊技機の今とこれから
【毎週金曜日更新】全日本学生遊技連盟・週刊連載コラム①

学生視点から見る遊技機の今とこれから
全日本学生遊技連盟職員・岸野楽人 一番好きな機種は『L革命機ヴァルヴレイヴ』、最近ハマっている機種は『eぱちんこ押忍!番長 漢の頂』と『L東京喰種』

関西学院大学4回生の岸野楽人と申します。私は全日本学生遊技連盟の一員として、若者と業界をつなぐ企画を多数手がけている。自身も週に何度もホールへ足を運ぶ、生粋のパチンコ・パチスロ好きだ。そんな私が現場で感じたリアルな温度感をもとに、若者代表として「遊技の今とこれから」を発信していこうと思う。

遊技機市場を見ていると、新台の入替ペースがあまりにも早いことに驚かされる。30年ほど前は年に数回の入替で、「ひとつひとつの台がじっくり打たれ、評価が固まる時間があった」という話を業界関係者から聞いたことがある。しかし今は月に何度かの入替が当たり前で、似たようなスペックが多く登場する。ネット社会の加速によって導入前からある程度の解析や評価は一瞬で広がり、実際に触れる前に「打たなくてもいいか」と学生に思わせてしまう要因にもなっている。

一方で、情報の拡散スピードのおかげにより「沖ドキ」のように若者層が普段打たないであろう機種に触れる機会も生まれた。だがスルメ台と呼ばれるような、時間をかけて魅力が理解される台は、評価が広まる頃にはホールから姿を消している。この入替ペースは、我々学生目線から見ても「早すぎる」と感じざるを得ない。

ビッグタイトルの登場は素直にうれしい。「東京喰種」や「東京リベンジャーズ」、「ブルーロック」といった、学生世代に馴染みのあるアニメや漫画が次々と台になると、普段パチンコ・パチスロを打たない友人からも「気になる」「一度打ってみたい」という声が聞けるようになった。

(左)『スマスロ東京リベンジャーズ』のリベンジチャンス成功、(右)『L東京喰種』の特化ゾーン「BITES」で2000枚獲得

生粋のヘビーユーザーである自分ですら、版権そのものが動機になり、解析を調べる前に「打ちに行きたい」と思わせてくれる。IPは新規層がホールへ足を運ぶ重要な入口だ。ただ、スペックが厳しすぎる現状では「初打ちで成功体験を得られるか」が最大の課題であり、ここを整えないとせっかくの入口が出口になりかねない。学生の立場からは、低貸コーナーの拡充などが一つの解決策になるのではと思う。

最近学生からも注目されているのが、BT機やLT3.0+といった新システムだ。BTは従来のノーマルタイプを現代風にアレンジした仕組みで、ボーナスでまとまった出玉を得られる革新的な形だと感じる。

ただ現状はボーナス確率が重く、引けなければその楽しさにたどり着けない。波の荒さばかりが目立ち「これ本当にボーナスタイプ?」と思うこともある。とはいえ、BBで約350枚を獲得できる『クレアの秘宝伝 〜はじまりの扉と太陽の石〜 ボーナストリガーver.』のようなスペックには大きな可能性を感じる。BTループに縛られず、引き負けを感じにくい形こそ、今の学生にBT機はおもしろい・楽しいと思わせる道だろう。

『クレアの秘宝伝 〜はじまりの扉と太陽の石〜 ボーナストリガーver.』の瞬発力を体感

パチンコのLT3.0+も、ゲーム性を広げる試みとして歓迎している。CZのような仕組みが組み込まれたことで、パチスロ的な遊技感覚をパチンコに持ち込めるようになった点は期待が持てる。ただ「ラッシュ=LT」という設計には疑問が残る。あくまで突入することが‟ラッキー”であるからこそ価値があるはずで、全台がLT前提では魅力は薄れる。とはいえ、5万個クラスの出玉が見える夢は、学生である自分にも「パチンコをやっている感」を強烈に与えてくれる。

『eぱちんこ押忍!番長 漢の頂』ではLTの強烈な出玉感も体験した

新台の入替ペース、IPタイトルの魅力、そして新システムの挑戦。どれも一長一短がある。だからこそ、今を楽しみつつ未来へ続く形を模索してほしい。若者が遊技の魅力に触れる入口を絶やさないことが、業界の活力につながると信じている。

文=岸野楽人(全日本学生遊技連盟)


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