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2026年08月21日
No.10005360

労基署の「残業45時間」一律指導を見直し|9月から、ホールにも関係する労務ルール

労基署の「残業45時間」一律指導を見直し|9月から、ホールにも関係する労務ルール

厚生労働省は8月19日、企業などの時間外・休日労働に対する労働基準監督署の指導を9月から見直すと発表した。これまで行ってきた、時間数に着目して月45時間以内への削減を一律に求める指導を改め、労使で定めた健康・福祉確保措置の実施状況などを重点的に確認する。時間外労働の上限規制自体を変更するものではないが、36協定を締結して時間外・休日労働を行う事業場に関係する見直しだ。

今回見直されるのは、労働基準法で定める時間外労働の上限ではなく、労働基準監督署による監督指導の運用だ。労働基準法では、労働時間を原則として1日8時間、週40時間までとしている。これを超えて時間外労働や休日労働をさせる場合には、使用者と労働者側で「36(サブロク)協定」を締結し、労働基準監督署に届け出る必要がある。

時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間。臨時的な特別の事情があり、労使が合意して特別条項付き36協定を結んだ場合には、この限度を超えることができる。ただし、特別条項を設けた場合にも上限がなくなるわけではない。原則的な制度では、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は単月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内とされ、月45時間を超えることができるのは年6カ月までと定められている。こうした法定の上限規制は今回の見直し後も変わらない。



「45時間以内」を一律に求める指導を見直し

厚労省が今回変更するのは、その範囲内で時間外労働を行っている事業場に対する指導のあり方だ。これまでは、特別条項付き36協定を締結するなどして月45時間を超える時間外労働を行うことが可能な事業場に対しても、労働基準監督署が時間数に着目し、月45時間以内に削減するよう求める指導が行われてきた。

9月以降は、こうした一律の指導を見直す。厚労省は、36協定で定めた「健康及び福祉を確保するための措置」が実施されているかを重点的に確認し、事業場の状況に応じて必要な指導を行うとしている。一方、恒常的な長時間労働や、過重労働によって労働者の健康障害が生じるおそれがある事業場などについては、引き続き必要な指導を行う。


つまり今回の変更は、「月45時間を超えて働かせても問題ない」というものではない。法律上の上限を守ることを前提に、時間数だけを基準とした一律の指導から、労使で定めた内容や健康確保の実施状況も確認する方向に運用を改めるものだ。


ホールにも無関係ではない

今回の厚労省発表では、パチンコホールが個別の対象業種として示されているわけではない。ただし、特定の業種だけを対象とした見直しでもない。36協定を締結し、時間外・休日労働を行う事業場に関係するため、パチンコホールを運営する企業にとっても確認しておきたい内容だ。

ホール営業では、店舗ごとにシフトを組みながら従業員を配置する。新台入替や繁忙期など、時期によって業務量が変動する場面もある。その際に重要になるのは、単に「45時間を超えたか」だけではない。自社・自店舗で締結している36協定の内容と実際の勤務状況が合っているか、特別条項を適用する場合に必要な手続きが取られているか、協定で定めた健康・福祉確保措置が実施されているかといった点になる。

なお、役職名が「店長」「管理職」であっても、労働基準法上の管理監督者に該当するかどうかは個別の勤務実態などによって判断されるため、今回の制度との関係を役職名だけで一律に判断することはできない。


健康確保の実効性を確認

厚労省の36協定に関する指針では、限度時間を超えて働く労働者の健康・福祉を確保するための措置として、医師による面接指導、深夜業の回数制限、終業から次の始業まで一定の休息時間を確保する勤務間インターバル、健康診断、相談窓口の設置などを例示している。

これらの措置のうち何を協定し、どのように運用するかについては各事業場の36協定を確認する必要がある。今回の見直しによって変わるのは、残業時間の「上限」ではなく、労基署が事業場を見る際の「指導のあり方」だ。

人手不足や勤務シフトへの対応が経営課題となるホールにとって、勤務時間を柔軟にできるようになったと単純に受け止めるべき内容ではない。一方で、労使で定めた36協定と健康確保措置に沿って適切に労働時間を管理しているかという点は、9月以降の監督指導を考える上で改めて確認しておく必要がありそうだ。

文=アミューズメントジャパン編集部

【確認事項】
・今回変更されるのは時間外労働の法定上限ではなく、労働基準監督署の監督指導の運用。
・月45時間、年360時間という原則的な上限は変更されていない。
・特別条項付き36協定を設けても、時間外労働の上限がなくなるわけではない。
・「単月100時間未満」「2~6カ月平均80時間以内」は、時間外労働と休日労働を合計した時間に関する上限。
・厚労省発表ではパチンコホールを個別業種として挙げていない。
・各ホール法人・事業場への具体的な適用は、36協定や勤務実態などによって異なるため個別確認が必要。


【使用した出典】
・厚生労働省 2026年8月19日発表「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導の見直し」に関する発表
・厚生労働省「時間外労働の上限規制」
・厚生労働省「36協定の適正な締結」
・厚生労働省告示第323号「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」


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