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2018年05月22日
No.10000636

木曽 崇(国際カジノ研究所 所長)
IR整備法案 審議入り
[コラム]カジノ研究者の視点 

IR整備法案 審議入り
[プロフィール]日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部首席卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者での会計監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長に就任。

5月22日の衆院本会議において、いよいよ我が国のカジノ合法化と統合型リゾート(IR)整備を実現する「IR整備法案」(正式には特定複合観光施設区域整備法案)の審議が始まった。法案の審議に先立って、安倍首相からは「政府として魅力あるIRを実現するために、関係政省令の整備や世界最高水準の執行体制の整備等を確実に実施し、依存症などの課題に万全の対策を講じながら世界中から観光客を集める滞在型観光を推進して参ります」との決意が語られた。この法案に合わせ、自民党、公明党、日本維新の会の3党はすでに「ギャンブル等依存症対策基本法案」を共同提出しており、合わせて審議を行なう予定だ。

何とか法案審議にまで漕ぎ着けたIR整備法案だが、ここに至るまでには紆余曲折があった。立憲民主党、国民民主党、共産党、自由党、社民党の野党5党は、財務省事務次官のセクハラ問題に端を発して4月20日から「麻生財務大臣が辞任するまでは審議を拒否する」として国会を欠席した。その後、野党はゴールデンウィークを挟みながら18日間にもわたって国会での審議拒否を続け、すでに予定されていた法案審議日程は大幅にずれ込んでいる。

また、5月18日には立憲民主党など野党5党は、共同して茂木経済再生相に対する不信任決議案を国会に提出している。環太平洋経済連携協定(TPP)関連法案をめぐり「担当大臣として真摯な国会対応をしなかった」ことを理由とする不信任案だが、本音は法案審議に時間をかけさせるという「国会遅延」戦術だ。与党は、18日の衆院内閣委員会でTPP関連法案を可決する予定だったが、不信任案提出で審議が中断。野党の目論見通り、採決は翌週に先送りされることとなった。

今国会では、安倍政権が労働改革の要として掲げる「働き方改革関連法案」など、未だ積み残しとなっている法案の審議が予定されている。その中にあってIR整備法案はもとより、併せて審議が予定されているギャンブル等依存症対策基本法案に対して、どれ程の審議時間が確保できるのか。今期国会を散々足止めした加計問題も未だ燻っている中、6月20日に予定されている通常国会の会期末までの成立は難しいとの観測が強く、すでに今国会の延長は不可欠との論も出始めている。

2016年12月に成立した先のIR推進法では、衆参合わせてたったの2週間という異例の短決戦で法案が採決され、十分な審議時間が確保されなかった。今回のIR整備法案の審議に際しては、推進派はもちろんのこと、反対派も審議拒否などで時間の浪費を狙うのではなく、反対の立場から十分に議論を交わす覚悟で望んで頂きたい。

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