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2018年06月05日
No.10000655

HRテックの活用法
エントリーシートを自動分析
学生のコンピテンシーを迅速に把握

エントリーシートを自動分析
ヒトラボジェイピーの永田社長

就職活動を行う学生の多くは、就職ポータルサイトを利用している。サイトの中で関心をもった企業にエントリーシートを提出すると、説明会や選考の連絡が届くようになり、ステップが進んでいく流れだ。人気企業ともなれば相当な量のエントリーシートが届く。人事担当者は嬉しい反面、それらに目を通す膨大な業務に追われる。

そんなエントリーシートから学生のコンピテンシーを読み取るサービスがある。ヒトラボジェイピー(東京都目黒区)が提供する「エントリーシート コンピテンシー分析サービス」だ。テキストマイニングを応用したこのサービスを使えば、自社でハイパフォーマンスを発揮できそうな人材を迅速に抽出してくれる。

元マッキンゼーの経歴をもつ永田稔社長は、これまで5000人にも上るハイクラス人材のアセスメント評価を行ってきたエキスパートだ。永田社長は同サービスの利点について、次のように話す。

「マシン(AI)が分析するメリットは、フラットな情報として処理できること。分析者が対象者から感じる第一印象やバイアスは一切ありません。大量の情報分析でも人が分析するよりもはるかに迅速で、正確です」

例えばエントリーシートが500人分あった場合。一人ひとりのコンピテンシーを人事担当者が評価するのに10分かかるとすると、二人で行っても優に1週間はかかる。一方、マシンによる分析は1時間足らず。どれだけその量が増えても、判断結果にばらつきが出ることはない。


図1は5人分のエントリーシートを分析した結果だ。20種類あるコンピテンシーの中から、どれが発揮される可能性が高いかが、マークの大小で視覚的に分かる。左から学生A、学生B、…学生Eの順で並んでおり、縦方向にそれぞれのコンピテンシーを表している。例えば学生Aは、仮説志向や達成行動を有しているという結果だ。注意したいのは、この結果は判断材料の一つであること。最終的な決断を下すは人の役目。ハイパフォーマーになれる可能性が大きいのは学生Cだが、業務内容によっては達成行動に優れた学生Aや情報収集行動に秀でた学生Dの方が自社にとって有力候補となる場合もある。つまり自社が求める人材像やコンピテンシーを事前に整理しておく必要があるということだ。

継続的に同サービスを受けることもメリットだ。経年データがあれば、特定の経験を積んだ学生が一定のコンピテンシーをもつ可能性が高いといった傾向も分かる。これは母集団形成時の対象を絞ることにつながり、採用の精度を向上させる一面を持っている。


同社は組織心理学の知見を活用して、内定辞退者を減らす支援サービスも行っている。
「内定辞退が発生する原因は、『自分の欲求を1番に満たしてくれる会社はここではない』と学生に思われてしまうためです。当社は内定者へのアンケート回答から、内なる欲求を正確に把握できます」

学生の欲求は就職活動中に変化する。活動当初は企業に安定性を求めていても、次第にやりがいのある仕事が重要になったという話はよくある例だ。同社の内定後意識調査アンケートは、選考の不安から解放された内定者に本心の欲求を明確に自覚させると同時に、内定を受けている他社と比べた場合にどの程度自社に満足しているかも捕捉する。

この組織心理学を活用したアンケートは入社後にも効果を発揮する。入社前後で生じるイメージと現実のギャップ(=リアリティショック)の原因は何なのか。従業員の満足・不満足要因を把握し、ストレス状態を知ることで、フォロー体制を整えられる。これが離職リスクを減らす「職場定着支援サービス」だ。

「不満点についてはどういった援助を希望するかも織り交ぜています。自分の努力が必要なのか、同僚、先輩、上司の支援が必要なのか。それとも会社の制度改善なのか。従業員が感じていることを定期的に把握しデータ化していけば、会社のウィークポイントを見つけられます」(永田社長)


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