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2019年01月08日
No.10000971

木曽 崇(国際カジノ研究所 所長)
IR導入の行方占う統一地方選
[コラム]カジノ研究者の視点 

IR導入の行方占う統一地方選
[プロフィール]日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部首席卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者での会計監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長に就任。

2019年は4年に一回、巡ってくる統一地方選挙の年。今年は4月7日と4月21日の両日に分けて全国の主だった自治体の首長および議会の改選が行われる。その中には当然ながら、現在、統合型リゾートの導入検討を進めている自治体が多数含まれており都道府県知事選としては北海道、神奈川県がその対象となっている。また県議会選としては北海道、大阪府、神奈川県、千葉県、愛知県、和歌山県、長崎県、そして市議会選では大阪市、名古屋市、千葉市などが対象となる。

昨年7月に成立した我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入を実現するIR整備法は、各自治体での統合型リゾート導入にあたって、当該自治体の議会決議を必須事項として定めている。同時に各自治体の行政府が導入計画を進めるにあたっては、当該自治体の首長のリーダーシップも不可欠であり、要は議会の過半と首長の両方が「推進派」で占められなければ、実際の統合型リゾート導入は実現しないこととなる。一方で反対派は統一地方選挙に向けて統合型リゾート導入への反対運動を全国各地で精力的に進めており、必然的に統合型リゾート導入の是非が統一地方選挙の一大争点となる。推進派にとっても反対派にとっても、今年は文字通り「正念場」の年なのだ。

その中でも特に注目が集まるのが大阪だ。大阪では今年の4月に府議会、市議会の改選を控えているが、大阪府の松井知事は今年年末に任期切れとなる大阪府知事・大阪市長の改選を自ら辞任することで前倒しし、今年4月の統一地方選挙において大阪府・市の両議会と両首長の改選を一斉に争わせる可能性を示唆している。

現在、松井知事が代表を務めている大阪の与党会派である大阪維新の会は、大阪湾岸に浮かぶ人工島・夢洲に大阪万博と統合型リゾート導入をセットで誘致することを、かねてより公約として掲げてきた。皆さんも既にご承知の通り、2025年の大阪万博に関しては昨年11月の国際博覧会事務局の総会決定によってその開催が決定したわけで、大阪維新の会としてはこのまま一気に統合型リゾート導入まで勝ち取って行きたい構えだ。

一方、大阪府政において野党第一会派となっている大阪自民党は、統合型リゾート導入そのものに対して反対はしていないものの、選挙での争点化を意識してか大阪維新の会が掲げる夢洲構想に対しては明確なスタンスを示せないままでいる。また、当然ながら大阪自民党以外の多くの野党系会派は「統合型リゾート反対」を軸に政策を主張してくる。今後、大阪自民がどのように政策を打ち出してくるかも含めて、今年の大阪の統一地方選の行方に注目が集まる。

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