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2019年01月08日
No.10000972

日本版カジノ 「行かない」はわずか半数
海外旅行経験者の6割はカジノで遊んだ経験あり

日本版カジノ 「行かない」はわずか半数

日本国内にカジノができたら、どのくらいの人が遊びに行くのだろうか。
国際・国内航空券やパッケージツアー、海外ホテルの予約・販売などを行う総合旅行サイト「エアトリ」が、会員を対象にアンケートを行ったところ、国内にカジノができたら「遊びに行く」と回答した人は14.7%だった。

エアトリが11月20日~25日に実施したアンケートの回答者は10代~70代の男女1021人。このアンケート結果が12月に公表されると、あるメディアは、「日本にカジノができても『行かない』が半数以上」ということを強調した見出しを付けて報じた。

しかし、公営ギャンブルやパチンコ・パチスロの参加者率を知っている我々には、この「14.7%」は非常に大きい数字だと感じる。
日本のギャンブル系大衆娯楽の王様ともいえる「宝くじ」を例にすると、過去12カ月の間に、宝くじ売場やコンビニなどの店頭で買ったことがある人(参加者)は約22%だ。全国津々浦々にあるといわれるパチンコ・パチスロの参加者率は12%程度。

もちろん、実際に参加している人の割合である<参加者率>と、まだ日本に存在しないカジノについて「開業したら行ってみたい」という<意向者率>は、測定しているものが異なるので、単純に比較することはできない。だが、明確に「行かない」という意向を示したのは、わずか55.9%なのだ。

アンケート調査の結果を見るにあたって最初に目を向けなければならないのは、「誰」に対して行った調査かという点。この回答者は総合旅行サイトの会員。すなわち、旅行というかなりお金がかかるレジャーを愛好する、アクティブかつ消費意欲が高めな人々だ。

このアンケートでは、海外旅行先のカジノで遊んだ経験も尋ねていて、実に62.7%が、「遊んだことがある」と回答していた。あくまでも「生涯で」の経験を問うたものであり、アンケート対象は10代~70代なので、「大昔に新婚旅行で済州島にいって、ホテルの中のカジノでちょっと遊んだ」という人も含んでいる。それにしても62.7%とは多い。海外旅行経験者にとってカジノがこれほどまでにポピュラーな存在なのかと驚いた。



Amusement Japanは2017年1月に、全国の男女4732人を対象にアンケート調査を実施し、さまざまなレジャーの参加意識を調べた(※)。この中で、「あなたの生活圏から2時間内に」という条件を付けて、日本版統合型リゾート内の合法的なカジノが開業した場合に遊んでみたいかを尋ねたところ、参加意向を示した(「非常に遊んでみたい」+「遊んでみたい」の合計。「やや遊んでみたい」を除外)のは、回答者全体のわずか8.3%だった。先述の旅行サイト会員における参加意向者率はこの倍近い。※18歳~79歳の男女を全国8ブロックに分け、各ブロックの中で性別・年代ごとに一定数サンプル割り付けて実施し、実際の人口動態に比例するようウェイトバック集計を行った。

つまり、旅行サイトの会員になるほどの旅行好きの人は、海外でのカジノ経験者が多く、トライアルであれ何であれ、国内にカジノができたとき遊びに行く可能性が高いということだ。「旅行好きの人にはギャンブル好きが多い」と解釈するよりも、旅行という日常から遠く離れるレジャーを好む志向が、非日常空間であるカジノで遊ぶ人の志向と近いと解釈するのが自然だろうと思う。

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田中 剛 ・ Editor/Amusement Japan


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