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2020年05月14日
No.10001728

【コラム】 夢と志 第8回
どんな場所でも「当事者意識」を持つ
ブロードキャピタル・パートナーズ CEO 起業家インキュベーター 折口雅博

どんな場所でも「当事者意識」を持つ
おりぐち・まさひろ 1961年6月11日生まれ。防衛大学卒業後に日商岩井に入社。ジュリアナ東京や六本木のヴェルファーレなど伝説的なディスコをプロデュース。95年に設立したグッドウィルグループをわずか12年で年商7700億円に成長させる。2004年に経団連の理事に就任。紺綬褒章、厚労大臣賞、日本赤十字社社長賞など受賞。その後も「プロの経営者」として、数多くの事業を成功に導く。座右の銘は「夢と志」

私はこれまで、多くのビジネスを手がけてきました。そして、成功に導いてきました。その要因のひとつとして、取るべきときにリスクを取ったということが挙げられると思います。

様々な情報が入ってきます。色々な出会いがあり、チャンスが目の前を通りすぎていきます。これは私だけではありません。ですが、そのチャンスを活かすかどうかは、リスクを考えて眺めるかどうか。そして行動できるかどうか。これによって大きく変わります。
 
「物事の本質を見抜き、雑音に動じない」ということが重要です。例えば、私が介護業界に参入したとき、「福祉はもうからない」、あるいは「福祉に営利企業が入ってはいけない」といった意見もありました。ですが、私に言わせれば、これらは物事の本質をとらえた言葉ではありません。観念論、思い込み、なんとなくというだけのことでした。物事は、もっと本質から分析する必要があるのです。

当時から少子高齢化となることは分かっていました。そして、介護は社会的に解決しなくてはならない問題でした。そこに、利用者が喜ぶサービスを提供できれば、社会に役に立ち、ビジネスとしても成立すると考えたのです。

以前にも説明しましたが、事業が成功することをボウリングに例えると、ストライクを取ることであり、ストライクを取るために絶対必要なのが、一番前のセンターピンを倒すことです。そのセンターピンを探し、確実に倒すことが重要です。
 
介護事業のセンターピンは「居心地の良さ」です。その人が来れば明るくなれる、元気をもらえる。このセンターピンを実現するための組織づくりに注力したからこそ、成功できたのだと思います。

では、センターピンを見極めるためにはどうすればいいのか。それは常に「当事者意識」を持つことです。自分の仕事はもちろん、それ以外でも、とにかく「自分だったらどうするか」を考えるのです。

レストランに食事に行っても、お客の立場ではなく、運営側の視点で考えます。料理が来るのは遅いな、あまり美味しくないな。客の視点では、これでおしまいです。

そうではなく、自分がオーナーだったら、どんな改善ができるのか。照明は変えた方がいいのではないか。もっと料理を早く提供するためには、どんな仕組みが考えられるのか。こうした立場で見るのです。

サービス係を呼んでも、なかなか来てくれません。顔も見ないで「少々お待ちください」と向こうへ行ってしまいます。呼んだ理由が「水をください」なら我慢できます。でも、フォークを落としてしまった、という理由ならどうでしょう。食事が続けられなくなります。

顔も見ずに行ってしまうから不安になるのです。こちらを見て「はい、少々お待ちください」と言ってもらえれば、待たされても平気です。「私の状況を理解してくれたな」「呼んだ自分を見てくれているな」と思える。安心できるので。つまり、客としてレストランにいっても、こういうことを考えながら食事をするのです。

ほんの些細なことですが、こういう見方をするかしないかで、本質を見抜く力には大きな差がでてきます。

皆さんも、サービスが良いという評判のレストランやホテルに行くことがあるかと思います。そこで、お客の立場でサービスを享受しているだけではもったいない。どんなことでも店長になったつもりで、あるいはオーナーになった感覚で眺めてみてください。

とにかく、すべての場所でそれを継続していけば、ビジネスのポイント、サービスのポイントが見えてくるようになってくるはずです。


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