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2020年05月15日
No.10001732

【コラム】 夢と志 第9回
従業員の満足が経営者の満足に
ブロードキャピタル・パートナーズ CEO 起業家インキュベーター 折口雅博

おりぐち・まさひろ 1961年6月11日生まれ。防衛大学卒業後に日商岩井に入社。ジュリアナ東京や六本木のヴェルファーレなど伝説的なディスコをプロデュース。95年に設立したグッドウィルグループをわずか12年で年商7700億円に成長させる。2004年に経団連の理事に就任。紺綬褒章、厚労大臣賞、日本赤十字社社長賞など受賞。その後も「プロの経営者」として、数多くの事業を成功に導く。座右の銘は「夢と志」

当然ですが、企業というものは社会に価値を生み出し、貢献することで成り立っています。ところが、企業は最初のころはそう考えていたとしても、次第に利益を求めるために焦ったり、正しくないことをしてしまうことがあります。しかし、それが結果的に損をしてしまうことにつながります。

企業としては「正しくないことをすると不利益になる」ということを常に確認しあうことが重要になってきます。

そして私は同時に、社員が自分のやっている仕事を心から楽しい、面白いと感じて働けるような環境づくりをしていくことが必要だと思います。たとえば、企業の不祥事は、企業が絶頂になったときに起こりがちです。なぜそうなるかというと、社員が仕事である種のストレスのようなものを抱えており、何かを達成したときにその抑えていたものが一気に爆発するからではないでしょうか。

いつも仕事を楽しんで取り組んでいれば、有頂天になることも、勘違いすることもない。だから、社員が充実した気持ちで仕事に取り組める環境が必要なのです。

会社の存在意義は、会社に関わる全ての人に良い影響を与えることです。企業や従業員、取引先、地域社会などです。

会社は株主のものかもしれません。しかし、従業員が喜んだり、取引先やお客様に満足してもらえなければ、会社の価値は高まりません。ですから、株主も従業員も顧客も取引先の満足度はすべて一体だと思います。

業績がいい会社は従業員の満足度も高い会社です。逆に言えば、従業員の満足度の高い会社こそ、株主の満足度も高い会社であり、結果的に利益も上げられるということです。

従業員を安い賃金で働かせたり、昇給をしなかったり、残業代を払わなかったりして企業が一方的に利益を搾取するのは、昔のビジネスモデルです。長時間働かせた分、成果が出る、アウトプットが増えるような単純作業は機械が代替えしてくれる時代です。

クリエイティブな仕事が増えているわけですから、従業員の満足度が高くなければ、ビジネスとして成立しなくなっていくでしょう。そうした会社を作れるかどうかは経営者次第だと思います。

中小規模の会社であれば、オーナーやその一家が100%株主という企業も少なくないと思います。創業者だから権限を行使できる、残った利益を取りたいだけ取っていくこともできるかもしれません。しかし、それは結果的に自分のためにならないと思います。

なぜなら、権限でねじ伏せることができるからです。つまり、トップが間違った選択をしても、時代遅れの価値観でも、間違った方向に無条件で向かってしまうからです。

権限を分け、価値を分けていれば役員会議があったり、株主総会があったりして相手を説得する必要が出てくる。これは、自分にとってプラスのことです。それで間違った判断を防ぐことができ、結果として自分の財産も守られるからです。

人に株式を与えたりすると、損をしたような気持ちになるという声も聞きますが、そんなことはありません。株式を分け与えた人が自分と同じような気持ちを持って経営に参画してくれれば、これほど強い組織はありません。

自分にない能力を持った人にポジションを与えて、責任を持ってもらう。その人たちに「これは自分の会社だ」と自らの想いでモチベーションを持って仕事に取り組んでいける会社を作りあげることができれば、最終的には自分自身に大きく跳ね返ってきます。経営者は自分で実行するのではなく、自分の想いを共有してもらうことで、社員たちがその想いを実現してくれるのです。


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