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2020年05月18日
No.10001738

【コラム】 夢と志 第10回
誰にも負けない努力をする
ブロードキャピタル・パートナーズ CEO 起業家インキュベーター 折口雅博

おりぐち・まさひろ 1961年6月11日生まれ。防衛大学卒業後に日商岩井に入社。ジュリアナ東京や六本木のヴェルファーレなど伝説的なディスコをプロデュース。95年に設立したグッドウィルグループをわずか12年で年商7700億円に成長させる。2004年に経団連の理事に就任。紺綬褒章、厚労大臣賞、日本赤十字社社長賞など受賞。その後も「プロの経営者」として、数多くの事業を成功に導く。座右の銘は「夢と志」

今回は少し精神論的な話になります。これまでの連載でもお伝えしてきたように、私のビジネスマンとして、起業家としての歩みは、順風満帆というわけではありませんでした。 

様々な挫折を経験してきました。ですが、これはどんな起業家にも当てはまることです。起業家だけでなく、会社に勤めるサラリーマンも同じだと思います。

私の場合、挫折しても、あるいは成功したとしても、常に「こうしたい」という欲望が湧いてきました。まだまだ成長したい、進歩したいという想いです。ですから、優れた人を見ると「自分は負けている」と素直に想い、その人に近づくためにはどうすればいいかを考えてきました。

稲盛和夫さんは、私が敬愛する起業家の一人です。稲盛さんの経営哲学の中で感銘を受けた言葉が「誰にも負けない努力をしなさい」というものでした。シンプルですが非常に含蓄が深い言葉だと思います。

たいていの人は努力をしています。でも「誰にも負けない努力」をしている人は少ないのではないでしょうか。挫折というのは努力が足りないからにすぎません。努力はしているかもしれませんが、それは「誰にも負けない努力」ではないのです。

私自身、誰にも負けない努力をしているか自問しています。ただし、自分の役職や立場、あるいは時代の変化によって努力の「質」は変わってきます。

額に汗して、という分かりやすい努力ばかりではありません。地位が上がり、立場が変わってもスポーツ根性漫画的な「見える努力」を努力と思いがちですが、それが合理的ではないこともあります。

自分の職責を自覚し、その成果を最も効率的に引き出すための努力が大切です。出発前に目的地を決めることの重要性を意識してください。

自分なりの「こうしたい」という想い、あるいは欲望があれば、自らの努力の方向性が分かりやすく、そして努力を継続するモチベーションが湧きます。

「起業家になりたい」という想いを実現させるために、どんな努力が必要か。例えば「資金が必要だ」となるでしょう。ではどうやって資金を作るか。必死になってお金を得ることを考えるはずです。

たまに、「資金さえあれば」「事業計画は完璧だが、お金が足りない」という言葉を聞くこともあります。ですが、その言い訳をしている時点で、私から言わせれば「誰にも負けない努力」をしていないのです。「自分にはできるはずがない」と努力する前から気持ちで負けてしまっては、先に進むことはできません。

自分のプライドや主義などを持ち出して、お金の工面に及び腰になるとすれば、それは企業したいという欲望はさほど強いものではない、ということです。そのように考えている人では起業はまず無理でしょうし、そもそも強い想いがなければ企業経営を持続していくことは、おそらく厳しいでしょう。

「自分は事業をやりたい。成功したいのだ」

毎日、自分にそう言い聞かせる。尊敬する起業家の写真を壁に貼って、自分も彼のようになりたいと念じて、潜在意識に訴えるのもいいでしょう。

企業が勝ち残るためには、それを支えるスキル、技術や仕組みを持つことも重要です。効率化することも必要でしょう。

ただし、その前に自分がどうなりたいか、自社はどういうことで社会に役立っていきたいかという想いが必要です。それなくして「仕組化」を進めても、大きな成功は望めません。そして、その想いこそが、「誰にも負けない努力」を支えてくれるのです。


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