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2020年11月09日
No.10001976

「777EC」が省力化に貢献
サミーのオンライン遊技機販売がスタート

サミーが今年8月から、EC(電子商取引)サイト『777EC』で遊技機の販売を開始した。すでにオンラインで購入したホールでは事務取引の省力化などでメリットを感じている。首都圏の3法人を取材した。

『777EC』はサミーネットワークスが提供する電子商取引サイト。従来サミーが提供していた『Sammy Plus』の機能を使って、遊技機の販売からアフターサービス、部品の受発注までが統合されたプラットフォームとなった。これまで人手を介して行われてきた遊技機に関する管理業務がオンラインでのデジタル化されることで、メーカーとホールの両方で事務手続きの省力化が進むことが期待されている。

業務効率が格段に上がる
HAPS東寺山店(千葉市)

千葉県に6店舗、岐阜県に1店舗を展開するヒカリシステムの『HAPS東寺山店』では、『777EC』対応機種の第一弾として販売された『回胴黙示録カイジ~沼~』をオンラインで購入した。

同社では3年前から『Sammy Plus』で部品の受発注を行っていた。チームAリーダーで、東寺山店のストアマネージャーでもある塩田英紀さんは、オンラインでの受発注のメリットを実感していた。

「サミーさん以外はいまでも電話やFAXで部品を発注しています。夜だと引継ぎして翌朝発注になりますが、サミーさんのオンラインシステムならいつでもどこからでも注文できます。記載ミスやFAXの送信ミスがないので利便性はかなり高いですね。オンラインだと部品の値引もあるのでコストメリットにもなっています」

そうした経緯もあり、塩田さんはサミーのDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略に全面的に賛同。オンラインで遊技機を購入するメリットは「売買契約の業務効率が格段に上がること」だという。本社の遊技機担当に指示を出すだけで購入できる点に利便性を感じている。

「ぜひ他のメーカーさんもオンライン化していただき、できれば窓口を一本化していただきたいですね。そうなればメーカーさんもホールも、事務手続きの煩雑さが減り確実に業務効率が高まります。お互いにメリットがあると思うんです。さらに購入コストが下がればメーカーさんとホールがWIN‐WINになれると思います」

オンライン化が時代の要請とはいえ、一方で塩田さんは、メーカーの営業マンとの商談を貴重な情報収集の場と考えてきた。

「地元の業界情報などは人に会わないとわかりません。今後もデジタルとアナログの良い部分を最大限活かして、メーカーさんとの関係を更に深めていきたいですね」

ヒカリシステムの塩田英紀チームAリーダー

実機アプリを有効活用
JP‐7館林店(群馬県館林市)


群馬、茨城、埼玉でホール7店舗を経営する晃宝(群馬県邑楽郡)の『JP‐7館林店』は、『777EC』対応機種の第二弾として販売された『パチスロ七つの大罪』をオンラインで購入した。梅澤竜一店長は購入時の様子を次のように振り返る。

「私はAmazonをあまり使わないアナログな人間なんですが、担当の営業マンに勧められて初めて『777E C』を使いました。『Sammy Plus』時代も発注はすべて電話やFAX。本当に新台までネットで買える時代になったんですね」

同社では各店長に遊技機の購入決済権が与えられている。どの新台を何台買うか。配置も運用もすべて店長の権限と責任下にある。そのため機種を見定める”選定眼“は、店長に求められる必須のスキル。梅澤店長もショールームに足をよく運ぶ一人だ。

「新台を店舗まで持ってきてもらうこともありますが、オンラインには実機アプリもある。機種特性を確認するにはとても便利です。お客様視点での”打感“は重要ですが、中にはその優先度が低い機種もある。見に行く手間が省けることは助かります」

目当ての新台を希望する台数だけ買えることも高く評価する梅澤店長だが、一方で、ある種の懸念も感じている。

「心配事は、これまで築いてきた担当の営業マンとのつながり。事務手続きの面は確かに便利になりましたが、熱量が高くて好感をもてた彼との関係性がどうなるのか。こうした側面をサミーさんがどうフォローしてくれるのか、とても気になります」

営業マンとのコミュニケーションについてサミーでは、オンライン上でつながれる場を設けていくという。梅澤店長は「オンラインでやるのなら、とことんやってほしい」と期待する。

『JP‐7館林店』の梅澤竜一店長

ハイブリッド販売に期待
安田屋(東京都板橋区)


東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬などの関東一円で、ホール26店舗を展開する安田屋。同社は『回胴黙示録カイジ~沼~』を『777EC』で購入した。購入手続きを行ったのは、本社の営業企画部で遊技機管理を担当する前田利一課長だ。

数年前まで店長職を務めていた前田課長は「現在は人的ミスが起きることを避けて私が管掌していますが、『Sammy Plus』で感じていたように、発注作業の利便性はとても高い」と話す。同部の大曽根真一部長も「オンライン化は時代の流れ。流れに柔軟に対応できなければ、永続的な企業発展は望めません。サミーさんをきっかけに全メーカーが参画するプラットフォームが出来上がれば、ホール法人としてとても助かります」と言う。

新台の内覧について前田課長は、「新型コロナウイルスの感染拡大の恐れがある中、各店長がショールームに行かなくてよいことは評価できます。ただ現状ではサミーさんだけなので、他メーカーの新台を見るには結局、上野に行かなければなりません。これはサミーさん単体ではなく、業界全体の課題として残る点ですね。多機種少台数を揃える時代、少台数ならWeb上の機種紹介で十分でも、大量導入時には実機を見て試打したいと思う方も多いはず。オンライン対面方式を交えたハイブリットな販売方式に期待します」と話す。

実は『777EC』は、当初予定よりも早いタイミングでスタートを切った。理由の一つは、新型コロナウイルスの世界的大流行。内覧会場の感染リスクを下げるために、実機アプリの開発を急いだという側面もある。その実機アプリの評価も上々だ。しかし前田課長はさらに一歩踏み込み、学びの場にできないかと考えている。

「スタッフを集めて一堂に学ばせることは、非効率的なことです。ですがWeb上に新機種の教材が備われば、個別の業務時間内に学ばせられる。素材をダウンロードするように、教材もあれば活用の幅が広がりそうですね」

安田屋の大曽根真一部長(左)と前田利一課長

誕生したばかりの菅内閣ではデジタル庁を新設する予定で、国もデジタル化を推進してく方向だ。始まったばかりの『777EC』に対してはホール側からは期待と戸惑いが入り混じった声が聞こえるが、今後は社会のデジタル化に取り残されない変化も求められそうだ。


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