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2022年01月06日
No.10002595

【特集】マンガのチカラに迫る①
光るビジネスシーンでの活用

光るビジネスシーンでの活用

コロナ禍で生じた巣ごもり需要。その恩恵を大きく受けたものにマンガがある。マンガは誰もが手軽に楽しめる娯楽の一つ。アニメやドラマ、映画になることも珍しくなく、遊技機との親和性も高い。そんなマンガに今、大きな変化の波が押し寄せている。

マンガの勢いが止まらない。2020年のコミック市場規模は、紙と電子を合わせて6126億円。前年比23.0%増と大躍進を遂げた。ピークだった1995年(5864億円)を優に超える快挙だ。95年は『週刊少年ジャンプ』が653万部発行された年。コロナ禍による巣ごもり需要がプラスに作用した。

20年は作品にも恵まれた。日販調べによるコミックの年間ベストセラーは、『鬼滅の刃(18巻)』『ONE PIECE(95巻)』『SPY×FAMILY(3巻)』の順。21年上半期も『鬼滅の刃(23巻)』が1位を譲らず、『呪術廻戦(14巻)』『ONE PIECE(98巻)』があとを追う。

コミック市場で存在感を増しているのが電子コミックだ。19年以降は過半を占め、市場を席巻。電子コミックは紙媒体よりも単位価格が安いため、膨大な量が読まれていることになる。

電子コミックの台頭は、マンガアプリの競争激化を意味している。「LINEマンガ」「ピッコマ」「めちゃコミック」などの独立系に、コミック紙系の「少年ジャンプ+」「マガポケ」「サンデーうぇぶり」が対抗。30以上あるマンガアプリは、無料で読める作品点数やページ数、オリジナル作品の充実で差別化を図っている。

市場規模には反映されないが、WebサイトやSNSも賑わいを見せる。イラスト投稿サイト「pixiv」(ピクシブ)ではイラストのほか、複数ページの作品も投稿できる。公開作品は誰でも無料で見られるが、限定公開作品は当該クリエイターの支援者でなければ見られない。支援プランは月額数百円から1万円程度。派生グッズを案内するクリエイターもいる。

バズりやすさではTwitterに軍配が上がる。代表格は「100日後に死ぬワニ」(きくちゆうき氏)だろう。この4コママンガは100日間、毎日投稿され続け、最終日にはTwitterのトレンドで世界1位を獲得。「いいね」の数が1投稿で30万を超えたときもあったという。

YouTubeも見過ごせない。「モーションコミック」と呼ばれる動くマンガは、マンガとアニメの中間的な位置づけ。コマ割りやキャラクター、セリフが時間の経過とともに表示され、効果音や動きを付加できる。音声を重ねることもでき、アニメよりも手間をかけずに制作できる。


拡幅された漫画家への道

プロの漫画家になるための第一歩は従来、出版社が実施する新人賞を経て、マンガ編集者の目に留まることだった。精力を傾けても日の目を見ないこともしばしば。受賞してコミック誌への連載や単行本にたどり着けても、次回作まで安泰という人は限られている。出版ラインに乗せてプロを名乗ることは、それだけ狭き門だったのだ。

ところが今はどうだ。SNSで相応のフォロワーを味方にできれば、出版社からビジネスチャンスを持ち掛けてくる。作品としての出来栄えが、すでに市場評価されているためだ。出版社としては作家を育てる手間が省ける上に、販売数の見当をつけやすい。互いにWin‐Winの関係が築かれている。

もちろんSNSのファンづくりは、一朝一夕にはできない。発信者の人となりも重要なファクターになるため、それが分かるように私的な出来事をまめに発信する人もいる。SNSで漫画家への道が広がったことは確かだが、成功を続けられる人はやはり一握りといった世界なのだろう。

そんなマンガに熱視線を送るのは、漫画家志望者やマンガ編集者だけではない。マンガがもつチカラをビジネスシーンに活用できると信じる第三者だ。次回からは娯楽という枠組みを越えたマンガの活用方法を紹介していきたい。

※この記事は『月刊アミューズメントジャパン』(2021年9月号)に掲載したものを転載したものです。


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