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2022年10月26日
No.10003099

パチンコ店特化型広告代理店のCEOが語る 「実戦! パチンコ店のWebマーケティング」⑩
P‐MAXキャンペーンの最適な活用法とは?
文=梶川弘徳 シー・エフ・ワイ代表取締役

P‐MAXキャンペーンの最適な活用法とは?
かじかわ・ひろのり 株式会社シー・エフ・ワイ代表取締役CEO パチンコホール企業で営業部長として、営業戦略や組織マネジメントの責任者で活躍し、2009年33歳でCFYを設立。提案力が強みのパチンコ店特化型広告代理店として評価を集め、会社を成長させてきた。パチンコセミナー多数登壇。業界誌でも執筆活動中。着物のギネス世界記録ホルダーであり「きものではたらく社長」としてブログも配信中。

今月号では、パチンコ店におけるP‐MAXキャンペーン(パフォーマンス・マックス・キャンペーン)の最適な活用方法について解説させて頂きます。これは、2 021年11月にGoogle広告が提供を始めたWeb広告の新しいサービスです。1つのキャンペーンでGoogle広告のあらゆるチャネル(YouTube、ディスプレイ、検索など)の広告枠に広告を配信できることが大きな特徴です。

キャンペーンが1つにまとまることで、Googleの機械学習によって多くの学習データが蓄積され、P‐MAXの自動化技術とスマート自動入札により、広告が自動的に最適化されるようになります。

YouTube広告やディスプレイ広告など、個別でキャンペーンを活用する場合と比べて、同じ出稿単価でコンバージョン数が13%増加しているとGoogleから発表されています(2021年7月~9月 Google社調査)。P‐MAXキャンペーンのメリットをまとめると次のようになります。

〈P‐MAXキャンペーンのメリット〉
① 機械学習によって広告が自動的に最適化される
② 幅広いユーザーに広告が表示できる
③ 広告単価が安く抑えられる


P‐MAXキャンペーンは、自動的に最適化されるというメリットの反面、人手による細かい調整がしにくいという特徴があります。そして、特定のリストユーザーに絞った広告配信をすることができません。例えば、「自社サイトを訪問したユーザー」「コンバージョンに至らなかったユーザー」といったリストへの配信は非対応となっています。デメリットをまとめると次のようになります。

〈P‐MAXキャンペーンのデメリット〉
① 細かい調整がしにくい
② 配信結果の要因が把握しにくい
③ 特定のユーザーに対して広告配信ができない


メリットとデメリットを認識したところで、改めて「どんな広告サービスなのか?」を整理したいと思います。P‐MAXキャンペーンとは、人手に頼らずに自動で広告配信の質を上げていくというコンセプトのWeb広告サービスであると認識して活用することが、最適な活用方法となります。そのため、前述した「細かい調整がしにくい」や「特定のユーザーに対して広告配信ができない」というデメリットは、基本性能であると捉えましょう。また、Googleの学習機能が人手以上の広告成果を挙げてくれるものでもあり、自動化された全く新しいWeb広告として活用することを推奨します。

続いて、パチンコ店におけるP‐MAXキャンペーンの最適な活用方法について解説したいと思います。パチンコ店における最適な活用方法は「実店舗への来店」をコンバージョン設定して広告運用するという方法になります。パチンコ店におけるWeb広告運用の目的は来店というところにあります。そのため、「Web広告を見たユーザーが実店舗へ来店したか?」という検証データが必要となります。

これまでのWeb広告でも「実店舗への来店」をコンバージョンとして設定することは可能でしたが、P‐MAXキャンペーンは機械学習によって広告が自動的に最適化され、幅広いユーザーに広告が表示できるという特性から、より精度の高い「実店舗への来店」の数値を取得することが可能となります。Web広告を活用した結果として「実店舗への来店」はどうだったか? という目線で検証し、データを取得することができれば次回以降の集客戦略に役立てることができます。ということで、最適な活用方法は、実店舗への来店をコンバージョン設定して広告運用するという方法になります。

P‐MAXキャンペーンを活用して「実店舗への来店」のデータを取得するには、3つのステップを踏む必要があります。①Googleビジネスプロフィール(旧、Googleマイビジネス)を設定する、②Web広告を配信する、③アナリティクスでデータを取得する。この3つのステップを詳しく見てみましょう。


まず初めに、①Googleビジネスプロフィールを設定することで、ユーザーが実店舗へ来店したときにスマートフォンのGPS機能を利用して「来店した」と認知することが可能となります。この「来店した」というデータは、1回の来店ごとに認知されますので延べ来店数として認識することができます。

②Web広告を配信するについては、配信するクリエイティブ(広告内容)は長期的な内容を推奨しています。「ジャグラー設置台数」や「エヴァンゲリオン地域№1」のような内容を3カ月以上広告配信する、という運用方法が適切です。機械学習によって広告が自動的に最適化するという特性上、ある程度の期間をみることで最適化の効果が期待できます。

最後に、③アナリティクスでデータを取得するについては、コンバージョンとして設定した「実店舗への来店」のデータを過去と比較する仕組みをつくることを推奨します。データを分析して次回以降の集客戦略に役立てましょう。

P‐MAXキャンペーンは、幅広いユーザーに自動で配信するという特性上、これまでアプローチできなかったユーザーへのリーチが期待できます。その反面、特定ユーザーへの配信は非対応のため、特定ユーザーへの配信を行いたい場合は従来の個別キャンペーンが向いています。

それぞれの特性を活かして集客効果を高めるために、P‐MAXキャンペーンと個別キャンペーンの並走で、より精度の高いWeb広告を運用してみてはいかがでしょうか?

※『月刊アミューズメントジャパン』2022年10月号に掲載した記事を転載しました


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