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2023年07月13日
No.10003663

パチンコ店特化型広告代理店のCEOが語る 「実戦! パチンコ店のWebマーケティング」⑰
「台データ公開」は 集客に有効なのか?
文=梶川弘徳 シー・エフ・ワイ代表取締役

「台データ公開」は 集客に有効なのか?
かじかわ・ひろのり 株式会社シー・エフ・ワイ 代表取締役CEO パチンコホール企業で営業部長として、営業戦略や組織マネジメントの責任者で活躍し、2009年33歳でCFYを設立。提案力が強みのパチンコ店特化型広告代理店として評価を集め、会社を成長させてきた。パチンコセミナー多数登壇。業界誌でも執筆活動中。着物のギネス世界記録ホルダーであり「きものではたらく社長」としてブログも配信中。

パチンコ業界4団体によって、警察庁の通達に基づいた「広告宣伝ガイドライン(第1版)」が令和5年2月10日に発布されました。ガイドラインの類型としては、①国民的行事、地域の行事及び創業記念に関する広告宣伝②遊技機に関する広告宣伝③遊技機性能に関する広告宣伝④遊技結果に関する広告宣伝⑤営業時間に関する広告宣伝⑥駐車場における行事に関する広告宣伝、という6つが挙げられています。

ガイドラインでは、それぞれの類型ごとに、文言や表現などホール営業者の注意すべきポイントが示されました。今後、パチンコホールは、このガイドラインを逸脱しない広告宣伝の運用が求められることになります。とは言え、「地域格差の解消」や「他業種で行われている一般的な広告宣伝が可能に」という観点から制定されたガイドラインは、これまでよりも自由度が増していることは明らかです。ガイドラインを逸脱することは許されませんが、自由度が増したルールの中で工夫を凝らし、ユーザーにとってメリットのある、これまでとは違った広告宣伝の価値を創出していきたいところであります。

今回のガイドライン(第1版)は6類型で形成されていますが、Webマーケティングの観点から見ると「④遊技結果に関する広告宣伝」が、これまでとは特に違った広告宣伝の価値を創出できるのではないかと思います。「④遊技結果に関する広告宣伝」についてのガイドラインが制定されたことで、過去の遊技結果の告知が可能になり、台番やランキング形式、また特定機種の結果のみを抽出して表示することができるようになりました(但し、特定日や特定の期間のみの表示はNG。また、日によって掲載機種を変えるのもNG)。

これを機に「台データ公開」や「出玉ランキング」のサービスを開始するケース、あるいは既存の公開サービスをより良いものへ改善するケースなどが考えられますので、改めて台データ公開や出玉ランキングのメリットとデメリットの確認、及びWebマーケティングにおける具体的な活用事例の解説をしたいと思います。

まずは、台データ公開や出玉ランキングを実施するメリットを見てみましょう。メリットは大きく3つあります。①「出玉に自信があるという」アピールができる、②「実際に出した出玉」のアピールができる、③「宵越し狙い」で集客が期待できる、というもの。この3つのメリットはホール側のメリットとなりますが、ユーザー側としても公開データを見ることにより、情報を収集し狙い台を決めたりできるので大きなメリットとなります。

次に、台データ公開や出玉ランキングを実施するデメリットを見てみましょう。デメリットも大きく3つあります。①「高設定の投入状況」が見抜かれる②「稼働状況」が見抜かれる③「宵越しチャンス台」だけ狙われる可能性がある、というもの。ユーザー側としてのデメリットは、誰でもデータを見ることができる、狙いが被り競争率が上がってしまうといったことが挙げられます。

台データ公開や出玉ランキングの実施にはこのようなメリットとデメリットがあります。店舗の稼働状況と高設定の運用実績を客観的に見つめて、今後の営業戦略に必要かどうかをよく考えて実施の判断を下すことが重要となります。

一方、広告宣伝ガイドラインが制定されたことで、デメリット要素を低減する運用が可能にもなりました。それに伴い、台データ公開や出玉ランキングは以前よりも集客に有効活用できるようになったとも言えますので、その具体的な活用事例をご紹介します。

まず、「④遊技結果に関する広告宣伝」のガイドラインによって、「特定の機種をおすすめ」することができるようになりました。そのおかげで、必ずしも「全機種データ」を一律公開する必要がなくなりました。例えば、「当店ではスマスロ北斗の拳がおすすめです」というメッセージと共に、スマスロ北斗の拳のみの台データ公開や出玉ランキングを実施することが可能となります。そこで、集客施策として推奨したいのが「LINEリッチメニュー」との連動です。

「おすすめしたい機種」の台データ公開や出玉ランキングのリッチメニューを表示し、専用のデータ公開ページへ誘導する仕組みを構築します(参考画像を参照)。そうすることで、前述したホールの3つのメリットで集客が期待できる、という要素を「おすすめしたい機種」に絞って運用できます。この時に気を付けるべきポイントとしては、特定日や特定の期間のみの表示はNG。また、日によって掲載機種を変えるのもNGという点になります。おおむね7日間程度は同一機種のデータ公開は必要となりますが、おすすめ機種のみであればその難易度はぐっと下がるのではないかと思います。


「スマスロ北斗の拳」や「Sアナザーゴッドハーデス」の導入、あるいは「スマートパチンコ」の運用開始をきっかけに台データ公開や出玉ランキングを実施する場合、まずはメリットとデメリットを基準に自店舗を客観的に見つめて、戦略的な優位性があるかどうかの判断をすることを推奨します。その上で戦略的な優位性があると判断できた場合には、「LINEリッチメニュー」との連動を仕組み化し、専用ページへのアクセスと集客状況を分析しながら「台データ公開サービス」を集客に有効活用してみてはいかがでしょうか。

※『月刊アミューズメントジャパン』2023年5月号に掲載した記事を転載しました


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