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2023年08月07日
No.10003693

パチンコ店特化型広告代理店のCEOが語る 「実戦! パチンコ店のWebマーケティング」⑲
異業種参入を成功させるための「メディア戦略」とは?
文=梶川弘徳 シー・エフ・ワイ代表取締役

異業種参入を成功させるための「メディア戦略」とは?
かじかわ・ひろのり 株式会社シー・エフ・ワイ 代表取締役CEO パチンコホール企業で営業部長として、営業戦略や組織マネジメントの責任者で活躍し、2009年33歳でCFYを設立。提案力が強みのパチンコ店特化型広告代理店として評価を集め、会社を成長させてきた。パチンコセミナー多数登壇。業界誌でも執筆活動中。着物のギネス世界記録ホルダーであり「きものではたらく社長」としてブログも配信中。

近年、パチンコホール企業による「異業種参入」の動きが多く見受けられるようになりました。射幸性に対する規制の強化や余暇市場の多様化がパチンコ産業へ大きく影響を及ぼすなか、2020年2月から突如始まったコロナ禍によってVUCA(先行きが不透明で、未来を予測するのが困難な状態)に突入したのがその大きな要因であると考えられます。

目下、経営の安定化が課題となるホール企業にとって、異業種参入は「収益基盤の再構築」という経営戦略でもあり、予測不可能な時代を生きるための「安全対策」でもあると言えるかもしれません。

ホール企業による異業種参入は、自社開発やFC加盟、国内や海外など、様々な形態で今後も増加するものと予想されます。しかし、異業種参入の実情としては苦戦を強いられているケースもあります。その成功と失敗の分かれ道はどこにあるのでしょうか。今回は、「異業種参入を成功させるためのメディア戦略」という観点で事例を交えながら解説いたします。

異業種参入の成功率を高めるために私が推奨している施策は「メディア露出」になります。メディア露出とは、新聞・テレビ・ラジオ・Webメディアなどの媒体で商品やサービス、人などが「ネタ」として取り上げられることです。そのメディア露出は、広い観点で「広告」と「広報」の2つに分けられます。そのうち、異業種参入を成功させるためのメディア露出としては「広報」の方がより適していると考えられます。

その理由としては、メディア露出を実施する主体にあります。「メディアが、企業の発信した情報に興味を持ち取材や報道することを企業として促す」のが「広報」であり、「企業が、メディアへの掲載枠を購入し自社の宣伝を行う」のが「広告」。つまり、「広報」はメディアから取材を受けて掲載・放映された情報であり、自社ではなく第三者が発信しているので、「広告」に比べて信頼度が高いという利点があります。今回は、異業種参入を成功させることを目的とした「広報」が主体のメディア露出を解説します。

まず、メディア露出を実施する場合において、欠かすことができない主要素が3つあります。


メディア露出を実施する場合は、上記の3要素のいずれかを取り入れたプランで露出することが大切です。事業を通じ「どんな社会を実現するか」のビジョン、ミッションステートメントを示し、社会的課題と自社の解決策を提示することがメディア戦略において最も重要なポイントです。逆に、この要素がないプランでメディア露出してもあまり良い成果を得られていないケースが多いので注意が必要です。

次に、メディア露出プランの具体的な事例です。あるパチンコホール企業がインドアゴルフ事業に参入する際、「フレイル予防」という社会的課題の解決を事業理念として掲げました。フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことです。2025年には75 歳以上の後期高齢者が2000万人を超えると言われているなか、フレイル予防が社会課題のひとつになっています。同社は「フレイル予防」というミッションステートメントを示し、それを社会へ提案するという方針を持ってインドアゴルフ事業へ参入しました。

メディア戦略としては、「取材を受ける」ということを目的に2つの施策が実施されました。1つ目は「PR TIMES」にプレスリリースを出稿するというもの。「PR TIMES」とは、企業や団体の新しい試みや出来事を多くのステークホルダーへ伝えられるプレスリリースです。提携するメディアの記事や番組の情報源となるため、多くの生活者へ事業の理念やプランを伝えることができるという利点があります。

2つ目は「メディア内覧会」を実施するというもの。「メディア内覧会」とは、メディア企業に企画書を送付し、記者やディレクターを招致することで認知拡大を目指すイベントです。記者を現地に招くことで、事実を記事として報道してもらえる可能性が高まるという利点があります。これらの施策によってメディア露出すれば、「社会的課題への意識を持った企業」あるいは「メディアフレンドリーな企業」であることがアピールできます。

同社のインドアゴルフ事業は、前述のメディア戦略によって多くのメディア露出を実現しました。そのメディア露出を通じて、「フレイル予防」という事業理念に対して多くの賛同を集めることができ、その結果として事業スタート時の会員数が目標対比200%を達成しています。「フレイル予防」という社会的課題の解決を事業理念として掲げ、「メディア露出」という方法によって認知を広めたことが成功の要因であると考えられます。

これから異業種参入を検討する場合、今回取り上げました事例のように「社会的課題と自社の解決策を提示すること」を重視したメディア戦略の立案も検討してみてはいかがでしょうか。

※『月刊アミューズメントジャパン』2023年7月号に掲載した記事を転載しました

文=アミューズメントジャパン編集部


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