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2023年10月16日
No.10003866

株式会社ROUNDERS
[INTERVIEW]カジノができても需要は減らない BACKDOOR 創業者 寺内透氏 & 清水喜久氏
10年目を迎えたアミューズメントカジノ店『BACKDOOR』

[INTERVIEW]カジノができても需要は減らない BACKDOOR 創業者 寺内透氏 & 清水喜久氏
BACKDOOR 六本木

2014年に開業した『Extreme Bar BACKDOOR 六本木店』は、現在都内で営業しているアミューズメントカジノ店の中では間違いなく老舗だ。同店を経営する株式会社ROUNDERSは、2020年に店舗運営ノウハウをパッケージ化しフランチャイズ事業をスタート。現在は直営2店舗、FC6店舗を展開している。
文・写真=田中剛(編集部)/text & photo by Tanaka Tsuyoshi

──開業の経緯をお伺いしたいのですが、寺内社長と清水社長は共同代表ですね。どのようなご縁だったのでしょうか?

寺内 私は大学を卒業して米系のアイスクリームチェーンを国内展開する会社に入社し、1年目に店長として大阪・道頓堀の店舗に配属されました。そのときのアルバイトリーダーが、まだ高校生だった清水です。彼は5歳下ですが、アイスクリーム店から離れた後も付き合いが続きました。私は26歳頃に初めてカジノで遊び始め、彼が社会人になってからはカジノが共通の趣味になったのです。

清水 私がカジノと出会ったのは大学の卒業旅行で、韓国、マカオ、タイを巡ったときでした。工業用ミシンメーカーにエンジニアとして就職しエジプトのカイロに赴任すると、カイロのカジノはもちろんのこと、出張先のさまざまな国でカジノに行きました。日本勤務になってからも海外出張が多かったので、一般の観光客はあまり行かないような、南アフリカ、旧ソビエト連邦、バルト三国、東欧、南米などのカジノに行きました。

寺内 私も清水と一緒にいろんな国のカジノに行きましたが、私自身は、ラスベガス、オーストラリア、マカオ、韓国へ行くことが多かったですね。

清水 私は逆に、ラスベガスやマカオは少ないんです。

清水喜久 株式会社ROUNDERS 代表取締役社長(写真左)、寺内透 株式会社ROUNDERS 代表取締役社長(写真右)


──カジノの魅力はどんなところなのでしょう?

寺内 お金を賭ける緊張感や勝った時の高揚感はもちろん大きな楽しさのひとつです。でも、ディーラーのちょっとした会話や他のお客さんとの間に生まれる一体感のようなもの、私はこれが好きなんだと、あるとき気付きました。私がスロットマシンをまったく遊ばずに、テーブルゲームだけを遊ぶのは、そういう理由もあるかもしれません。

清水 バカラでカードを絞るときにドキドキしますが、自分でなく他のお客さんが絞っていてもその場の皆が注目して一緒にドキドキするような場面があるんです。そのお客さんが勝てば、自分の勝ち負けは別として「おめでとう!」と喜んだりします。私もそういう、カジノの中で生まれる人と人の一体感のようなものが大きな魅力だと思っています。

──『Extreme Bar BACKDOOR 六本木店』は今年10年目です。アミューズメントカジノ店を作ろうというきっかけは?

寺内 以前から、カジノで生まれるコミュニケーションの楽しさを日本の人にも伝えたいとか、自分の居場所を作りたいという想いがあり、アミューズメントカジノ店を開くことをなんとなく考えてはいました。2012年当時、私は自分でコンサルティングなどの事業をしていましたが、それも人に任せられるようになっていたので、セミリタイア状態でした。「自分の時間があるから、そろそろやろうか」と。

清水 ちょうどそのとき、私は早期退職制度を使って会社を辞めようと考えていました。退社してどうするのかと寺内から聞かれて、「とりあえず1年くらいはのんびりしようと思う」と答えると、「じゃあ、一緒にやらないか?」と誘われたんです。会社を辞めたのが2013年3月でした。

追い風になったポーカーブーム

──開業時にはどんな苦労がありましたか?

寺内 まずは物件です。赤坂、六本木に絞って探していたのですが、風俗営業店では貸してもらえないこともあります。風俗営業許可の申請のために使用承諾をもらう必要があるのですが、この場所も、不動産さんから「大家さんが渋っている」と言われました。そこで、大家さんに会う機会を作ってもらってプレゼンテーションをして、ご理解を頂きました。その頃、六本木には裏カジノなど怪しげなお店がたくさんありましたから。

TORU TERAUCHI/寺内透 代表

清水 この物件は寺内が見つけて賃貸借契約にこぎつけてくれました。しかし、ゲーミングテーブルや椅子、チップはどこから買えばいいのかわからない。ディーラーをどうやって集めればいいかわからない、どうやってディーリングを教えればいいかわからない。まったくの手探りでした。

寺内 今店内にある設備は開業当時のものではありません。納得のいくテーブルの大きさ高さ、椅子の高さ、離席の際の出入りのしやすさなどを追求した結果、オーダーメイドに行きつき、当社で仕様を指定して国内で製造してもらっています。

──開業時と比べると、ポーカー(テキサスホールデム)の人気が高まったと感じます。

寺内 ここ3年は、プロポーカープレイヤーYouTuberの世界のヨコサワ(横澤真人)さんの影響でお客さんが増えたのは間違いありません。客層に大きな変化が起こっています。2014年の開業当時、事業計画を作った私は、想定客層を「35歳くらいの独身男性、年収1000万円、乗ってる車はBMW。仕事終わりにキャバクラ、カラオケという遊び方はもう古いと感じ始めている人」と設定し、アミューズメントカジノという遊びを提案しようと考えました。そのため赤坂、六本木に絞って物件を探したわけですが、開業したら、まったくこの想定通りでした。

──当初5テーブルでオープンし現在は6テーブルですね。何を増やしたのでしょう?

寺内 ポーカーのお客様が増えたので、開業の翌年にテーブルを2台にしました。木原直哉さんが2012年に世界ポーカー選手権大会 (WSOP)で日本人としては初めて優勝した影響だと思います。当時は今ほどSNSが普及していなかったこともあり、木原さんがメディアに取り上げられるようになったのは2014年頃からだったのです。

──そして2020年1月から「世界のヨコサワ」の動画再生数が急増しました。

清水 ポーカーを遊びに来る20代半ばのお客様が目立つようになりました。そういう方の多くはBJやバカラなどのテーブルゲームを知らず、ポーカーを入口にして他のゲームを遊び始める、という順番です。横澤さんには足を向けて眠れません(笑)。

SHIMIZU YOSHIHISA/清水喜久 代表


寺内 それ以前は逆で、BJ、バカラ、ルーレットが入口で、その後でポーカーを覚えるという方がほとんど。実は私も清水も、海外でカジノ遊びをしている頃、ポーカーという種目があることは知っていたものの遊んだことはなかったのです。2人ともポーカーを始めたのは2007年頃。しかも初めてプレイしたのは日本のアミューズメントカジノ店でした。私の30年のカジノ歴の中で、ポーカー歴は16年ということになります。

新型コロナ禍に多店舗展開開始

──2020年に多店舗展開に取り組み始め、現在は直営2店舗、FC6店舗です。店舗を増やそうと思ったのはポーカーブームを感じたからですか?

寺内 いろいろな理由がありますが、もちろんポーカーブームを感じたこともきっかけのひとつです。過去さまざまなレジャーのブームが起こりそして縮小しました。それらは仲間と一緒に出かけて仲間だけで完結していました。しかしポーカーは一人で遊びに行って知らない人と混ざって遊べるという違いがあり、人気は長く続くだろうと思いました。それに我々はそこそこ知名度も上がってきたし、8年間の運営ノウハウを積み上げていましたから。

──フランチャイズチェーンでの経験もありました。

寺内 はい。ですから、「BACKDOOR」をフランチャイズ展開するために運営ノウハウをパッケージ化することは、私にとってはさほど難しくはありませんでした。もうひとつの理由が、ウチで長く働いてくれている社員に、新しい夢を持ってもらいたいということです。我々はセミリタイヤ状態で、自分の居場所作りでこのお店を作りましたが、社員たちはまだ若い。ディーラーとして働くのもよいけれど、店舗運営ができる社員には、新しい店舗を作る支援、スーパーバイザーという道も作ってあげたいと思ったのです。 

清水 FC1号店『Extreme Bar BACKDOOR 銀座店』は銀座コリドー街に2021年6月にオープンしましたが、東京都では7月12日から4回目の緊急事態宣言が出され、これが9月30日まで続いたので開業当初は苦戦しましたが、2年ほどでイニシャルは回収しています。正直言って、新型コロナ禍があんなに長引くとは予想してなったんです。

寺内 我々もオーナーさんもタイミングを読み間違えた(笑)。

──ポーカー専門店は作っていませんね。なぜでしょう?

寺内 ビジネス的には複数のゲーム種目を置くのがよいと考えていますので、「BACKDOOR」ではBJ、バカラ、ルーレット、ポーカーの4種目を基本にしています。それぞれ遊び方が異なり、客単価も異なるのです。

──飲食店であれば、本部による継続的な商品開発、スケールメリットによる仕入れのコスト低減といったメリットがありますが、アミューズメントカジノ店を開業するにおいてもFCに加盟するメリットは大きいですか?

寺内 まず、成功確率が高い立地選定ができる、大家さんの理解を得られやすい、ということ。また、普通の方はどういう設備を選べばいいのか、どういう業者から買えばいいのかわからないでしょう。結果的にFC加盟したほうが、しっかりしたものを安く購入できます。そして立ち上げ時の人材募集、教育トレーニング、継続的な運営サポートが得られます。管理システムを店舗間で共有しますから、お客様は全国のどの「BACKDOOR」でも預けているチップを利用して遊べます。

清水 アミューズメントカジノ店は、長時間滞在していただきたいビジネスなので、テーブルや椅子は思っているより重要です。これがしっくりこないとストレスになります。

──出店の目標数はありますか?

寺内 沖縄県にはすでに出店していますが、今後5年間に「BACKDOOR」ブランドの店舗を北から南まで全国50店舗くらいに増やしたいです。全国の「BACKDOOR」巡りをして、いつもの顔ぶれとは違う人たちとポーカーで交流するお客さんが増えるでしょうね。  

テキサスのローカルなバーをイメージしたという木のぬくもり感のある『BACKDOOR 六本木店』

繁盛しているお店に共通していること

──テーブルゲームの種目じたいはどのお店でも同じです。マシンゲームと違って新機種がリリースするわけではありません。繁盛するお店とそうでないお店は、どこで差が出るのでしょう?

寺内 それは、「コミュニケーション」につきます。最近、「ポーカーが流行っているから、ポーカーテーブル置いてれば儲かるんでしょ?」という安易な考えで開店したお店がどんどん閉店しています。我々はいろんなお店を見に行きますが、繁盛しているお店は、やはり店長さんやディーラーの方々のコミュニケーションの取り方が上手い。自分の取った態度や言葉が、お客さんにどう伝わっているかを察知する能力、EQ(Emotional Intelligence Quotient=感情知性)が高いんです。

清水 入店してちょっとすればそのお店のコミュニケーション能力はわかります。来店したお客さんにアイコンタクトがあるか、迎え入れる言葉が出ているか、態度に出ているか。空間デザインや設備も重要ですが、やはりもっとも重要なのは人です。お店とお客さんのコミュニケーションの重要性を理解しているお店は、お客さんを惹きつけていますね。「BACKDOOR」もそういう部分を非常に重視して指導しています。

寺内 私も清水もカジノが好きで、このお店を作ったわけですが、実際のカジノとアミューズメントカジノ店は異なります。アミューズメントカジノ店で勝ってもお金は稼げないのに、なぜお店に遊びに来るのか。ゲームそのものの楽しみもありますが、スタッフや他のお客さんとのコミュニケーションが楽しいのだと思います。ですから「BACKDOOR」では、会話が生まれやすいように、ディーラーの接客というかお客さんとの距離感は、実際のカジノよりもずっとフランクなものにしています。カジノを再現しているわけではないんです。

──大阪府は、日本MGMとオリックスが中核となるIR事業者と実施協定を締結しました。2030年には日本国内にカジノが開業するかもしれません。どのようにお考えでしょう?

清水 日本人はシャイで真面目なところがありますから、カジノに行く前に予習や練習の場所としてアミューズメントカジノ店に来る方が増えるだろうと思います。カジノに行って負けて、次に行くまでの間にアミューズメントカジノ店で自分の戦略を試すという方もいるでしょうね。

寺内 本物のカジノが国内にできてもアミューズメントカジノ店にはマイナスの影響はないでしょう。東京に住んでる人がちょくちょく大阪のカジノに行くかというと、そんなことはない。先ほども言ったように、そもそもアミューズメントカジノ店はカジノとは違う遊びの場です。仕事を終えて、まっすぐ家に帰るのではなく、ちょっとお酒を飲んで、顔見知りや友だちと会って、テーブルゲームをして楽しむ。こういう遊びは、国内にカジノが開業した後も存続しますよ。


【プロフィール】
てらうち とおる
1961年兵庫県尼崎市生まれ
1984年甲南大学経営学部経営学科卒
1984年BRサーティーワンアイスクリーム入社
同社で店長、スーパーバイザー、店舗開発部、経営管理部を担当し
1994年退社
1995年自身で神戸にてパソコンスクール開業
1998年ヘッドハンティングを受けパソコン教室フランチャイズ本部本部長
2002年コンサルティング会社へ転職
2011年セミリタイア
2014年BACKDOOR開業

しみず よしひさ
1967年8月30日大阪市天王寺区生まれ
1990年3月近畿大学卒業
1990年4月JUKI株式会社入社
サービスエンジニア
1995年10月キプロス支店赴任
中近東アフリカ市場担当
1996年10月カイロ支店赴任
1999年7月本社帰任
2002年4月モロッコ カサブランカ支店長として赴任
2004年4月ルーマニア支店へ赴任
2004年9月ヨーロッパ支店ワルシャワに赴任 ヨーロッパ、アフリカ市場担当
2007年2月本社帰任
2013年3月退職
2014年BACKDOOR 開業

Extreme Bar BACKDOOR 六本木店
https://roppongi.backdoor.casino/


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