2023年11月08日
No.10003932
No.10003932
デジタル化の波に乗れ ~「稼げるゲーム」は脅威か? チャンスか?
パチンコホール企業もNFTゲーム事業参入を検討できる
近年、市場規模を拡大しているレジャー種目には、「インターネットを介して遊べる」「スマホを介して遊べる」という共通点がある。その世界にも、ブロックチェーン技術という新たな<波>が押し寄せている。
競輪、モーターボート、オートレースといった、かつては「マイナー競技」と呼ばれた種目はコロナ禍に売上を拡大しているが、これらの売上の8割はオンライン投票によるものだ。社会問題化しているオンラインカジノも同様に、近年、日本国内での売上を拡大していると言われている。こうした流れは実店舗型レジャーであるパチンコ産業にとっては脅威ではあるが、新サービスや新規事業を考えるためには理解しておく必要がある。
10月28日に東京・御茶ノ水で開催された『中嶋塾』が先端テクノロジーに詳しい講師を招聘し、オンラインゲーム業界で起こっているトレンドを解説する講演を設けたのも、「パチンコ業界もデジタル化の波に乗るべくアンテナを張っておくべき」との考えからだろう。
「NFTを用いた日本初の稼げるゲーム事業とは」をテーマに『中嶋塾』で講演したのは、ブロックチェーンをはじめとするWeb3.0ソリューションを既存事業への活用や新規事業の創出に提供しているANIMATE ARK(東京都)の駒宮直樹CEO。
駒宮CEOは、日本市場をターゲットにしているあるオンラインカジノ事業者の資料をもとに1ユーザーあたりの使用金額を紹介しながら、「日本市場で非常に大きなお金が動いている」と説明。さらにWeb3.0の概念やブロックチェーンの仕組みを説明したうえで、その技術をベースに作られている「Play to Earn(遊んで稼げる)」と呼ばれるカテゴリーのNFTゲームを解説した。
「Play to Earn」とは、「ゲームを遊んだ結果としてゲーム内でNFTや仮想通貨を獲得できる。NFTはマーケットプレイスで取引できゲーム内仮想通貨を通じて売買でき、希少価値があれば高値で売れる。ゲーム内仮想通貨はゲームの外で他の仮想通貨や法定通貨と交換できる(=売却できる)ため収益を得ることもできる」という一連のサービスを総称したコンセプトのこと。
駒宮CEOは、2022年に海外で大きな話題となったゲーム『STEPN』を例に挙げ、「ゲームを遊んで稼ぐだけでなく、移動などの行動で稼げたり、誰しもが自身の体験や行動を資産に換えられる時代」と表現する。日本ではCROOZ Blockchain Labが開発しEPOCH FACTORYが運営する『PROJECT XENO(プロジェクトゼノ)』が今年5月にリリースされ、AppStoreの「カード部門」でいきなり1位を獲得し注目を集めた。
ただし、まだNFTゲームは国内で広く普及しているとは言いがたい。駒宮CEOは、「事業者側にとっても消費者にとっても、ややこしい。Web2.0とWeb3.0の間には『溝』がある」と指摘した。事業者側にとっての課題には、改正資金決済法、金融商品取引法、景品表示法、刑法(賭博罪)などの法律がある。消費者にとっての課題は、言語の壁(現状のNFTゲームのほとんどは英語圏で開発されたもの)、仮想通貨交換所やウォレットを扱う難易度、知らぬ間に刑法(賭博罪)に触れてしまう可能性などがある。
NFTゲーム事業を、グレーな状態でなく合法的に国内展開するには、これらのハードルを越えなければならないが、それを実現している国産のWeb3.0開発プラットフォームに『ANICANA(アニカナ)』がある。
『ANICANA』の特徴は、第1に、仮想通貨を利用せずに法定通貨(円)だけで「遊んで稼げる」を実現できるため、ユーザーはクレジットカードで課金もしくは銀行振込で入金することで遊ぶことができる。第2に、ブロックチェーンの合意形成アルゴリズムが、日本の法律の枠組みの中で設計されたものでああり、四大法律事務所や各専門家による検証等を行ったものであること。
「このプラットフォームなら諸課題を解消しNFTゲームを開発・運営することができる。とはいえあまりに賭博らしさの強いゲームは、なんらかの行政指導を受ける可能性がある。育成要素や富くじ要素などを上手く組み込んだ『ゲームの範疇』に収めておくべきでしょう」
駒宮CEOは、ANICANAを使うことで低いハードルでNFTゲーム事業に参入できることから、「パチンコホールも新規事業としてNFTゲームを検討してはどうか」と提案した。
「実際、すでにこのプラットフォームでNFT事業に参入したパチンコホール企業もあります。オンラインゲーム事業では、パチンコ業界に例えれば、メーカー(開発)にもホール(運営)にもなれます。プロジェクトへの参画の仕方はさまざまあるので、初期投資規模も選択可能です」
NFTゲームなどWev3.0領域で新規事業を検討するなら、ANIMATE ARKに相談してはどうだろうか。
文=田中剛(アミューズメントジャパン)