2026年04月03日
No.10005185
No.10005185
スマスロと先バレが遊技の「中」で変えたものとは
【毎週金曜日更新】全日本学生遊技連盟・週刊連載コラム㉕
最近のホールを見ていると「当たり」の意味が少し変わってきていると感じる。少し前までは、ラッシュやATに当てること自体が1つのゴールだった。重い確率を乗り越えて当たる、その瞬間が気持ちよくて、そこに向かって回す時間も含めて遊技だったと思う。そして、そこからラッシュやATをどこまで伸ばせるのかという勝負だった気がする。
ただ、現行機は少し違うと僕は思う。パチスロに関しては、多くの機種でATがゴールではなく、スタートラインになっている。僕個人の意見だが、出玉がもらえるCZのような感覚の台すらある。プレイヤーが本当に目指しているのは、その先にある「上位AT」だ。そこに入って初めて、やってやったと実感できることが多い。実際、当たったのに満足できないと感じたことがある人も多いのではないだろうか。これは出玉の問題というより、ゲーム性の構造そのものが変わってきている証拠だと思う。
この流れは、パチンコの「先バレ」とも似ているものを感じる。最近は先バレがあることを前提に台を選ぶ人も増えてきたし、先バレありきの演出構成の台も増えてきた。これは発生時点で大当たりに期待ができる演出を事前に示唆してくれる先読み演出で、きた瞬間に熱い変動をいち早く察知できるのが特徴だ。今の遊技台のスペックを見てみると、ラッシュ=ラッキートリガーの台が半数以上を占めている。だからこそ、先バレこそがスマスロでいうチャンスゾーンや下位ATの役割を成し、ラッシュを取れているかどうかのジャッジが上位ATをかけたチャンスゾーンのような役割を成しているように思う。こうして見てみると、今の遊技は毎回の変動を楽しんでいくというよりも、ピークとなる瞬間を各所に設け、そこを楽しむゲームに変わってきているように感じる。
特に若い世代はこの感覚とかなり相性がいい。タイパを重視する中で、長い通常時やハズレの時間にストレスを感じやすい。その中で、先バレのように期待できる瞬間だけを切り取る仕組みや、上位ATのように明白に目指す目標を作る設計は、かなり若年層に刺さっている。「1回だけ先バレチャレンジしようかな」、「1回だけ上位AT目指してやってみようかな」といった目標ができるということだ。
ただ、ここでひとつ重要なのは、それだけでは長く打たれる台にはならないということだ。最近のヒット機種を見ていると、共通しているのはそこに至るまでの過程がちゃんと面白いという点にある。先バレの気持ちよさや上位ATの強さは、確かに”打ってみたい理由”にはなる。でも、それだけでは”また打ちたい理由”にはならない。途中の展開がただの消化になってしまうと、どれだけ強い要素があっても飽きられてしまう。先バレと上位ATが流行のキモなのであれば、世の中の先バレと上位ATがある機種はすべて流行っているはずだ。長く支持されている機種は、通常時や下位AT中にも確かな楽しさがしっかりある。ちょっとしたチャンスや展開にも意味があって、今の1回転がちゃんと先に繋がっていると感じられる。この積み重ねがあるからこそ、また打ちたくなる。つまり今の遊技で求められているのは、「段階的に積み上がっていく達成感」と「過程の面白さ」の両立だと思う。
これは、遊技機だけの話ではない。自分たちが企画した体験型イベントでも、同じことを感じた。ヒントの獲得率を段階的に設定して期待度を見える形にすることで、参加者はただの運ではなく、自分で引いたから今ここまで達成しているという感覚を持てるようになる。結果だけでなく、その過程の納得感が満足度に繋がっていた。
スマスロの上位AT、パチンコの先バレ、そしてイベントの設計。どれにも共通しているのは、どこで気持ちよくさせるかという視点だ。大当たりというゴールのその先にある、段階的に積み上がっていく達成感と、そこへ至るまでの納得できる過程が揃ったとき、その体験は、もう一度触れたくなるものになるものだと僕は思う。
文=岸野楽人(全日本学生遊技連盟)
















