No.10000779
日遊協
受動喫煙対策のヒアリングに出席
喫煙室の基準等に関して厚労省に意見陳述
日本遊技関連事業協会は8月10日、厚生労働省健康局長室で行われた受動喫煙防止対策のヒアリングに出席。社会貢献・環境対策委員会の岡林克彦副委員長らが、「喫煙室の基準等に関する意見・要望について」という文書を提出し、陳述を行った。
日遊協が意見・要望した内容は、①指定(加熱式)たばこ専用喫煙室の技術的基準と、②厚労省受動喫煙防止対策助成制度等の拡充の2点。
①では風営法のほか建築基準法、消防法等の既存法令に抵触するような基準の策定を極力避ける配慮に加えて、紙巻きたばこの専用喫煙よりも簡易なものにすること、フロアが複数ある施設ではフロア分煙の基準を求めること、広さの割合について事業者の裁量に委ねることを求めた。
②では2週間程度の営業休業を余儀なくされることから、助成上限額の拡充や対象事業者の見直しを求めた。
【喫煙室の基準等に関する意見・要望について(全文)】
1、一般社団法人日本遊技関連事業協会について
当協会は、パチンコ・パチスロ産業界の公益法人として平成元年に発足し、平成26年に一般社団法人へ移行した法人です。パチンコホール、遊技機メーカー、販売商社、その他関連企業が所属する業界唯一の横断的組織として、業界相互の連携を図り、行政当局と協議し、時代に相応しいパチンコ・パチスロ産業の基盤確立のために活動をしています。
2、パチンコ・パチスロ業界(遊技業)の実情について
遊技業のおかれている現状は大変厳しい状況です。カジノ導入に伴う依存症対策の一環で、風営法規則等の改正(平成30年2月1日施行)により遊技機の基準が見直しとなり、3年以内に大幅に遊技機の入替を行う必要があることや、出玉規制の強化により売上が大幅に減少することが予想され、3年後の市場動向が不透明な状況にあります。
また、パチンコホールは、来店客の43%(パチンコ・パチスロプレイヤー調査2016:エンタテインメントビジネス総合研究所)が喫煙者であり、喫煙しながら遊技したいというお客様が望む形でサービスを提供するために、加熱式たばこを喫煙可とするホールが多くなると思われます。喫煙室の基準によって、事業者に過度な負担を強いれば、厳しい業界環境と相まって、多くのホールが閉店に追い込まれると思われます。
3、喫煙室の基準等への意見・要望について
当協会では、パチンコホールにおける受動喫煙対策を今年度の重点推進事項に掲げており、東京オリンピック・パラリンピックなども契機として、受動喫煙対策の強化に一層取組むことは非常に重要であると考えています。
しかしながら、遊技客の半数近くを喫煙者が占め、遊技客が離反しかねない要因となる強化策を受け入れることは困難な状況であり、喫煙室の基準等については、一定の経過期間をいただき、遊技客の理解を得つつ、段階的に受動喫煙を防止するための環境整備を着実に進めていくべきであると考えています。
その上で、喫煙室の基準等について、意見・要望を2点述べさせて頂きます。
(1)指定(加熱式)たばこ専用喫煙室の技術的基準
パチンコホールは、構造設備について、風営法により厳格に規制されているため、喫煙所の基準・内容によっては、設置のため相当な期間休業が必要な場合も想定され、事業者へ大きな負担を強いることになります。
したがって、対策をスムースに推進するためにも、風営法業種特有の事情に配慮していただき、風営法のほか、建築基準法、消防法等の既存法令に抵触するような基準の策定は極力避けていただくような配慮をお願いします。
特に加熱式たばこについては、燃焼を伴わず副流煙も発生しないことから、受動喫煙の健康影響は少なく、現時点では科学的知見においても明らかではないものと認識しております。その基準は、喫煙専用室より間仕切りの方法や排気等について極めて簡易なものにすべきです。加熱式たばこ専用喫煙室は、ホール内を区分する必要があり、その技術的基準が、風営法第9条(構造及び設備の変更等)に基づく承認手続きが必要なものとなった場合、公安委員会へ工事着工前の申請・工事完了・現地検査・承認の一連の手続きが必要となり、その間少なくとも2週間程度は営業休止を余儀なくされ、設置のための相当な休業期間と費用が必要となります。
また、複数のフロアを有する施設については、構造及び設備の変更等を伴わずにフロア毎で加熱式たばこの使用が認められるべきと考えており、過剰な設備投資とならずに事業者が採用しやすいフロア分煙の基準を要望します。加えて、施設内の加熱式たばこ専用喫煙室の広さの割合については、施設の実情に合わせて事業者の裁量に委ねられるべきと考えており、あわせて要望いたします。
(2)厚生労働省受動喫煙防止対策助成制度等の拡充
喫煙専用室や加熱式たばこ専用喫煙室をパチンコホールに設置する場合、上述のとおり、少なくとも2週間程度は営業休止を余儀なくされ、設置のための相当な休業期間と設備投資が必要となります。本年度の助成制度は上限額が200万円から100万円に減額されておりますが、罰則を伴う法の厳格化と施行にあわせて、その上限額や対象事業者について、改めての拡充を要望します。
以上