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2019年07月16日
No.10001283

高尾
「信用・信頼の回復」を目指す高尾
Top Interview 株式会社 高尾 内ヶ島隆寛 社長

高尾が推進する改革と今後のビジョン


部門間の垣根を越えて
チェック体制を整える

「2018年は高尾にとって、忘れてはならない一年となりました。今回お話をさせていただくにあたり、昨年はいろいろとお騒がせしてしまったことを心よりお詫び申し上げます」  

冒頭を謝罪の言葉から切り出した内ヶ島社長。就任後、真っ先に社内外に向けて打ち出した方針は、「信用・信頼の回復」だ。  

「カイジの販売方法については、社内のいろいろと未熟な部分、危機意識の不足が積み重なり、あのような結果となってしまいました。それがホール様を中心に、多くの皆様にご迷惑をかけてしまうことになった。もう二度と、このようなことを起こしてはならない。その思いを絶対に忘れないということを、社内で徹底しています」  

これまで営業部門に任されていたチェック体制を昨年見直し、コンプライアンス委員会を設置。販売に関する資料はすべて、委員会のチェックを経て承認されなければ配布できない体制に変えた。 委員会には販売に直接関係のない部門長たちが名を連ね、部署の垣根を越えて監視する体制を整えた。  

「『こんな資料まで確認するのか』というぐらい、徹底して委員会でチェックしています。委員会のメンバーは複数いるため、チェックに時間を要する場合も多々あります。スピード感も大事ですが、大前提として『信用・信頼の回復』を謳う以上、スピードを優先するためにチェックを疎かにしては絶対にいけない。まずは全体の精度を上げ、そのうえでスピードアップを図りつつ、徹底したチェック体制を維持するためにどうするべきかを考えながら、改善に取り組んでいます」  

内ヶ島社長はさらに、風通しの良い組織づくりにも取り組んでいる。  

「営業は営業任せ、開発は開発任せといった体制では、部門間の連携を欠き、相手のことに関心をもたなくなってしまいます。また、話し合わないことで誤解が生じ、お互いを批判し合う事態にもなりかねない。開発や営業だけでなく、製造や管理部門も、高尾という会社が目指すところは同じでなくてはいけません。いい機械を作り、営業がたくさん販売し、ホール様にも喜ばれ、ユーザーの皆様にも笑顔で遊んでいただく。メーカーとしてはホール様やユーザーの皆様に必要とされ、娯楽で社会に貢献し、必要とされなければならない。だからこそ、他部門のことに無関心ではいけないのです」  

実際に内ヶ島社長は、役員や部門長以外の社員にも積極的に声をかけ、いろいろな現場の意見に耳を傾けるようにしている。また、部門ごとに分けて実施していた役員会も、全部門長が同席する形に変更し、全社的な状況や部門間の情報共有を推し進めている。

機会があるごとにさまざまな社員と意見を交換し経営に反映していく

ニーズやリスクを
素早く予見する
 

また、「現場の意見こそが重要」と考える内ヶ島社長は、社内だけでなくホールの意見も積極的に聞くようにしている。  

「中止していた営業現場へのアンケートを再開しました。営業が新機種を販売するにあたり、開発部門への意見や要望を出させてみたのです。すると、膨大な量の意見が寄せられました。もちろんいろいろな事情で実現不可能なものもありましたが、できるできないに関係なくすべて聞いて回答しました。こうした地道な取組を続けることで、今までなかった連携感が生まれてきたことは、大きな成果だと思います」  

営業から上がってくる意見や要望は、ホールの声であり、ユーザーの声でもある。その声に応えていくことが、市場価値が高く喜ばれる機種の開発に繋がると内ヶ島社長は考えている。  

ユーザーの嗜好は、規則改正や内規の変更、ヒット機種の登場など様々な要因で絶えず変化する。管理遊技機や旧規則機の撤去問題など、その時々に解決しなければならない課題もユーザーの動向に大きな影響を及ぼす。  

「業界に逆風が吹き続ける中、ユーザー様の動向を知ることは良い機種を開発するために欠かせません。だからこそ、営業はユーザー様に毎日接しているホール様の声に耳を傾けることが必要なのです」

高尾らしさを守り
チャレンジし続ける
 

高尾といえば、奇抜な外観や独創的なスペックなど、個性豊かなパチンコをつくるメーカーというイメージが強い。独特な味わいが「高尾感」と呼ばれ、コアなファンも多い。  

「個性的なパチンコを作ってきたのは、チャレンジ精神の表れで、それが高尾らしさになっていると思います。前社長もそうでしたが、これまで高尾は経営陣も社員も皆、パチンコを愛し、その面白さや可能性を徹底的に追求してきました。それが、今も変わらない高尾の開発の方向性であり、企業姿勢です。しかし、ユーザーの皆様の多くが支持する、役物の動きや演出で魅せるような、いわゆる『王道』の遊技機についても、メーカーとしては追求していかなければなりません。現状に満足せず、全体のクオリティアップを図り、王道の遊技機でも評価されるメーカーを目指していきます」  

その上で、内ヶ島社長は型破りな遊技機もぜひ開発していきたいと話す。市場価値を高める上で、ニッチなタイプのパチンコはメーカーにとってリスクが高い。ホールにとっても導入は冒険になるかもしれない。それでも開発したいと考えているのは、遊技機の新たな可能性を追求することが、閉塞感のある業界の雰囲気を一変させるかもしれないからだ。  

「ユーザー様の好みは実に多種多様です。役物の動きや液晶の演出で魅せるパチンコは王道ですが、そうでないタイプを好む方もたくさんいらっしゃいます。新規則機は、出玉などで旧規則機と異なる点がいくつもありますが、裏を返せばまだまだ未知の可能性を秘めているということです。高尾が開発した型破りなパチンコがカテゴリーとして定着して、パチンコの新しい楽しみ方を生み出していく。そう考えると本当にワクワクします。私たちの持ち味はチャレンジし続けること。高尾らしさをカタチにして、今まで誰も打ったことのないような機種の研究を続けていきたいと思います」


リユースを実現した
業界のパイオニア
 

高尾は11年前、業界で初めてリユース制度を実現した。回収した対象機種を新台にリニューアルして低価格で提供する画期的なシステムの先駆けとなり、その後多くのメーカーが採用した。当時、営業責任者だった内ヶ島社長は、次のように振り返る。  

「ある地区の販売を委託していた会社の社長さんから、『こういうことはできないか?』とリユースの相談を持ちかけられました。いろいろと難しい部分もありましたが、ホール様が望まれているならやってみようと、地区限定で始めました。新台よりもかなり安い価格で提供できたいへん喜ばれたので、全国に広げることにしました。メーカーとしても在庫を抱えるリスクが軽減され、win‐winの関係を築くことができたと思います」  

リユースのパイオニアとして対象機種を積極的に増やしていった高尾だが、近年はさまざまな事情から、リユースを実施できていない。  

「近年は、なかなかシリーズ機の適合が取れず、規則改正による部品構成の変更や新枠対応もあって、リユースが実施できませんでした。今、急ピッチで対応を進め、旧規則機→新規則機であったり、旧枠→新枠といったリユースに対応すべく準備を整えています。リユースのパイオニアとして、これからも積極的に推進していかなければいけないと考えています」  

機械代の高騰が叫ばれて久しい。この先は旧規則機の撤去問題もあり、消費増税も目の前だ。こうした中、ホールにとって機械代の抑制に繋がるリユースは、新規則機への入替をスムーズに進めていく上でも前向きな材料となるだろう。

手作業で盤面をクリーニングし、リユースならではの検査工程を経て出荷される

新規ユーザー獲得に
積極的に取り組む
 

ユーザーが減少し停滞が続くパチンコ業界。各メーカーや業界団体は、ファンイベントを開催するなど、新規ユーザー獲得に積極的だ。今年も、「みんなのパチンコフェス」(2月・ベルサール秋葉原)、「超パチンコ&パチスロフェスティバル」(4月・幕張メッセ・ニコニコ超会議内)が開催された。  

「高尾は、5月に東京・上野のショールームで行われた合同イベント『上野パチンコラリー』にも主催4メーカーのひとつとして参加しました。多くのパチンコファンと一緒にノンユーザーが来場し、新規ユーザー獲得にも貢献できたと思います。既存のショールームで実施したのは、できるところから取り組もうという考えから。人々の嗜好や消費傾向が変化する中で、必要なのは業界の将来を見据え、こうした地道な活動も続けていくことです。業界の垣根を越えて、ファン人口増加という共通の課題に取り組んでいくためには、こうしたできることから始めることも大事ではないでしょうか。高尾として取り組める分野はもちろん、業界のイメージアップに繋がる催しには積極的に関わっていくつもりです」


信頼に応えるために
高尾ができること
 

高尾は来年、創業70年を迎える。創業者の内ヶ島正一氏は、長く日工組の理事長を務めるなど、業界の発展に貢献してきた。こうした歴史をもつ老舗メーカーが昨年の出来事で、いま大きな変革を求められている。内ヶ島社長は、トップとしてどんなビジョンを描き、どのように舵を取ろうととしているのだろうか。  

名古屋市にある本社社屋前で

「皆様の信頼を裏切るような出来事があったにもかかわらず、多くのホール様からお取引を再開していただいております。まず、このことに感謝を申し上げるとともに、業界の皆様が今後の高尾の一挙手一投足に注目されていることを感じています。まだまだ疑心暗鬼で信用できない、という皆様のお気持ちを払拭するために、私と高尾の社員は、全身全霊をかけて真摯に仕事に打ち込んでいかなければなりません。もう大丈夫だ、と言っていただけるように、自分たちは何をすればいいかを考え、全力で実行する。これが、皆様の信用・信頼を回復するための方法だと思います」      
夢見るチカラを
遊びに変える


メーカーとしてできる一番の償いは、やはりホールとユーザーに喜んでもらえる機種を開発することだと内ヶ島社長は、力を込める。  

「高尾は、『夢見るチカラを遊びに変える』という企業理念を掲げています。昨年信用を失ってしまった私たちですが、夢見るチカラは、私も社員も失っておりません。そう遠くない日に、本当に楽しく遊べるパチンコを皆様に必ずお届けしたいと思っています」


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