特集記事

特集記事内を

2020年12月18日
No.10002067

使用済み旧規則機 ─適正処理への道─ 第3回
メーカーの使用済み遊技機処理への対応

2021年11月までに、300万台にのぼるとみられる検定・認定切れの使用済み遊技機がホールから排出される。これだけ多くの遊技機が半年から1年の間に排出されるという状況は、業界の歴史上で初めてのことだ。しかも、単に廃棄すればよいというわけではない。あくまでも「適正に」処理することが求められている。

なぜ適性に処理しなければならないのか。環境汚染防止やリサイクル推進という社会の要請に応えることはもちろんだが、1990年代に廃棄台の野積みが社会問題化し、業界がバッシングを受けた苦い経験を繰り返してはいけないという業界の先達の思いが受け継がれているからだ。

日工組の回収システム

廃棄台処理やリサイクルに長年取り組んでいる日工組では、早くから遊技機の回収システムを構築し、加盟メーカー製の遊技機の適正処理に取り組んできた。日工組の回収システムでは、全国のホールや販売会社の依頼を受けて回収した遊技機が回収センターに集約され、その後、メーカーが自社の遊技機について責任を持ってリサイクル処理をする。その際、使用済み遊技機の運搬や処理の費用はメーカーが負担。日工組指定の処理会社4社がガイドラインに則って処理する。これにより不法投棄の撲滅や循環型社会の実現に向けた取り組みを推進している。

倉庫整理を促す買取回収

日工組では今回の旧規則機の撤去にあたっても、適正処理に向けて積極的に処理会社を支援する取り組みを行っている。そのひとつが、「LET’S!!倉庫整理!!」と銘打った、倉庫整理による使用済み遊技機の早期排出をホールに促す「買取回収」だ。日工組が使用済み遊技機の処理を委託している処理会社4社がホールから使用済み遊技機を買い取って適正に処理を行う制度で、処理費用は当該遊技機のメーカーが負担する。

メーカー個別の取り組み

日工組に加盟する個別のメーカーによる取り組みも進む。新台納品の際に倉庫に保管されている使用済み遊技機を併せて下取りしたり、新台1台に対して複数台を下取りしたりする取り組みだ。しかし、それでも撤去期限間近まで使用済み遊技機を所有して、撤去期限間近の入替時の下取りに充てたいというホールの考えもあり、なかなか排出量が増えなかった。

「下取り値引券」などの優遇策

そこで今年の夏以降、新たな施策として「下取り値引券」の発行に踏み切るメーカーも出てきた。ホールが倉庫に保管している遊技機をメーカーが安価で買い取る代わりに、下取り差額分の「値引券」を発行するというものだ。例えば、下取り価格5000円の遊技機であれば、いま1000円で買い取り、将来の新台購入時に差額の4000円分を値引するというスキームだ。

収納スペースの無駄が省ける

近畿地区で店舗展開するホール企業の営業部長はこうした下取り優遇策について、「これまでは欲しくない機種が下取り値引きの対象になってきたが、それだと意味がない。将来欲しい機種に対して使えるのはありがたい。欲しい遊技機が出てくるまでホールで不要台を保管しておく必要がなくなるので、収納しておくスペースの無駄も省けます」と賛意を示す。

望まれる全メーカーのシステム参加

日工組加盟メーカーの遊技機であれば、パチンコだけでなくパチスロも日工組回収システムに載せて使用済み遊技機を回収・処理してくれる。パチスロメーカーの多くが参加している一般社団法人遊技機リサイクル協会のシステムも同様に、処理費をメーカーが負担して指定処理会社が適正処理を行う。一方で、日工組や遊技機リサイクル協会のシステムに参加していないメーカーの遊技機は、使用済み遊技機の適正処理という業界が直面する課題の中で宙に浮いているのが現状だ。遊技機の野積みや闇スロへの流出などを防ぐためには、全メーカーがいずれかのシステムに参加していることが望ましいことは言うまでもない。

首都圏で店舗展開をするホール企業の遊技機担当者はこう話す。「旧規則機の撤去スケジュールを遵守するためにもメーカーの協力が必要。とくに多台数の撤去が必要な機種では、下取りや買取りにできるだけ対応してほしい」

2021年11月末までの旧規則機の撤去完遂、そして大量の使用済み遊技機の適正処理へ。ホール、メーカー、販売商社、運送会社など、業界が一丸となって取り組んでいく必要がある。


関連記事