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2022年01月14日
No.10002611

【特集】急増する企業eスポーツ部①
ゲームが会社の共通言語に[前編]
社員間、企業間を繋ぐ働きも

ゲームが会社の共通言語に[前編]
エイプリルナイツ 代表取締役CEO 三瀬尚徳氏

eスポーツ企画運営やシステムエンジニアリングサービス、Web開発・デザインなどを手掛けるエイプリルナイツ(東京都)。同社は、社内コミュニケーションの活性化や企業eスポーツ部の交流を目的としたコミュニケーションプラットフォーム『cogme』を運営している。なぜ企業向けのサービスを始めたのか、eスポーツを始める企業は何を求めているのか、代表取締役CEOの三瀬尚徳氏に話を聞いた。

いま、eスポーツ部を設立する企業や福利厚生として社内eスポーツ大会を実施する企業が増えてきている。

こうした状況を受けてエイプリルナイツでは、eスポーツを通じて社内のコミュニケーションの活性化や企業間交流を目的としたサービス『cogme(コグミー)』を運営。ギルド(企業)のチャット機能や企業間のマッチング機能など、人と人、企業と企業を繋ぐサポートをしている。


サービス開始のきっかけ
ゲームを生涯スポーツに


同社が『cogme』を運営するきっかけとなったのは、ゲーム好きな社員たちとの出会いだったと三瀬氏は語る。

「起業した当初から『一緒に仕事するなら、共通のゲームの話をしながら働きたい』と思い、ゲーム好きの社員を雇用していました。その方がお互いに楽しく働けると思ったからです。そして、彼らが成長するにつれて大事なことに気が付きました。それはゲーマーが持っている要素と社会人に必要な要素が同じだということです」

その要素は3つ。
● 自分で目標を設定する力
● 目標を達成するためにプロセスを設計する力
● 振り返る習慣があるかどうか

「ゲーム上級者は目標とする順位やランクを決めて、そこに到達するためにはどのような練習が必要か、負けてしまったシーンを振り返ってどこが悪かったのか、次からはどう立ち回れば勝てるのかを考えます。これは社会人に置き換えても同じ。出世したい、これくらいの年収が欲しいという目標を決めて、そのためにどんな勉強が必要かなどを設計し、同じミスをしないように振り返る。上級者のようにゲームをプレイすることは自己成長に繋がりますし、ゲーマーの中にはこのような習慣が身についている人が意外と多い。そんな社会人ゲーマーのポテンシャルの高さをもっと知ってほしいと思うようになりました」

三瀬氏のこうした想いから生まれた『cogme』は、コミュニケーションの活性化やチームビルディングを強化する仕組みだ。奇しくも世の中はコロナ禍によって勤務形態が変化。テレワークによるコミュニケーション不足を解消できるツールとしても注目されている。

三瀬氏は「eスポーツの大会やイベントでは、学生には学生の、プロにはプロの場が用意されていますが、それ以外の社会人ゲーマーがeスポーツで輝ける場はあまりありません。弊社が掲げているミッションは『ゲーマーが主役になれる社会を創る』。ゲーム好きな大人が、生涯スポーツとしてゲームを楽しめるようなサービスを提供しています」と話す。

ゲームが福利厚生に
新たなビジネスチャンスも


『cogme』を利用する企業で最も関心が高いのが福利厚生だ。従来の社内運動会や周年イベントにeスポーツを取り入れたい。『cogme』であればそれも実現可能だ。

「全国に支社があるような大企業では、年齢や役職、部署に縛られ、職場でのコミュニケーションがうまくいっていない場合があります。そうした環境でもゲームがあれば、日常の業務だけでは越えられない壁を越えられる。具体的にはチームの中に役職者を入れるといった決め事をすること。ゲームのインストールから基本操作をレクチャーして、本番までチームで練習をしてもらうことが効果的です。このようなツールとして、ゲームは非常に優秀だと感じます」

『cogme』は2019年の東京ゲームショウに出展し、企業から注目を集めた

思いがけない企業と出逢えることもゲームの魅力のひとつだ。『cogme』なら、企業の業種、規模など関係なく、同じタイトルのゲームをプレイする企業同士で交流戦を行ったり、さまざまな企業が出場する大会に参加して、関わりのなかった企業との交流を深めることができる。

「今まで関わることのなかった企業同士が繋がることで新たなビジネスが生まれることもあります。実際にゲームを通じて、連絡を取り合っている企業もあるみたいですね。仕事の中にゲームが活きる仕組みを作ることで社内的にも社外的にも大きな効果が得られます。ゲームが社内の共通言語になれば、帰属意識の高まりにも期待できる。子どものときはとてもゲームが好きだった人が、社会人になって多忙を理由に関心が薄れてしまうことは本当に残念でなりません」

次回、後編を公開予定。
※この記事は『月刊アミューズメントジャパン』(2021年10月号)に掲載したものを転載したものです。

※インタビューは10月時点のもの。『cogme』は2021年11月にリブランディングを発表。社会人 × eスポーツの入り口であるオンライン交流や企業eスポーツ部の創設を支援する「cogme club」、企業eスポーツ部の成果発表の場としての大会「cogme cup」、信頼できる社会人ゲーマーどうしをつなぐアプリケーション「cogme」を展開する。詳しくは下記URLまで。

『cogme』公式ホームページ

ゲームが会社の共通言語に[後編]はこちらから


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