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2022年02月09日
No.10002658

【特集】ターゲットは20代②
20代の消費行動特性 “接続”がレジャーの大前提【後編】

20代の消費行動特性 “接続”がレジャーの大前提【後編】

【“接続”がレジャーの大前提【前編】はこちらから】

Z世代の4割は
休日にテレビを観ない

 
アメリカでは日本以上にY世代やZ世代の人口構成比が多いため、この世代に受け入れられる商品・サービスを開発することが非常に重要視されている。そのため、この世代の価値観の調査がさかんに行われている。世代の特徴が日本にそのまま当てはまるのかという点については、デジタル機器やSNSの普及がアメリカと日本でほぼ同時だったことから、かなり当てはまるだろうと筆者は考えている。あえて挙げるなら、日本で起こった非常に大きな社会的な出来事である東日本大震災を何歳で体験したかも、価値観の形成・変化に大きな影響を与えているはずだ。そこで、日本で実施された調査をもとに20代のZ世代~Y世代の特徴を紹介する。

政府の統計を含めて多くの調査では、10歳刻みによってその結果を年代間比較しているため、25歳前後を境にしたZ世代とY世代の比較は難しい。そこでまず、情報通信機器の接触について20代が30代や40代とどう違うかを示す。総務省が2019年に実施した調査(※)によると、20代は休日にリアルタイムでテレビを観る人の割合(行動者率)が上の年代より低く、約4割はテレビを観ない。そして視聴時間も短い。
※:「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」


休日のテレビ(リアルタイム)の平均視聴時間は40代では232.7分、30代では198.1分、20代では132.3分。20代は40代の57%の時間しかテレビをリアルタイムで観ていない。録画によるテレビ視聴時間も同様で、20代は30代や40代より短い。

察しが付くかと思うが、20代はネットを利用している。休日の平均ネット利用時間は40代では154.5分、30代では191.3分。20代では293.8分で40代の1.9倍の長さだ。

休日のモバイル(タブレットは含まない)による平均ネット利用時間は、40代では109.8分、30代では137.1分。20代では40代の2.1倍の230.7分だ。「40代はモバイルではなくPCでネット利用しているのでは?」と思うかもしれないが、PCによる平均ネット利用時間も、30代や40代よりも20代のほうが長い。Y世代より若いZ世代が日本においても“接続優先世代”であることは間違いなさそうだ。

周囲から自分が
浮いていないか確かめる



Z世代の持つ価値観の特徴については、市場調査会社マクロミルのレポートが詳しく紹介している。同社は2021年7月~8月に全国3万人の消費者(同社モニター)を対象に実施したアンケートを分析し、15歳~69歳全体と15歳~25歳のZ世代の価値観や嗜好を比較している。

他の世代と比較した結果、浮かび上がったZ世代の価値観は表の通りで、例えばライフスタイルにおいては「周りから自分が浮いていないかを意識し、相手の顔色を窺いがち」「友人関係は狭く深い方で、気の合う友人との付き合いを大事にする」「自己研鑽、地位向上の意欲が強く、社会貢献意識も高い」。

趣味や興味関心については、Z世代の男性にとって「動画視聴」は他の年代以上に圧倒的な位置を占めていて、なおかつSNSやゲームよりも大きな存在であることがわかる。


冒頭で紹介したとおり、Z世代の筆者の娘が新しいおもちゃを知ったのも、進路先を検討するときに重視した情報も動画だ。そしてホールもすでに採用活動において動画が重要な伝達ツールだということを知っているはずだ。

Z世代に動画(YouTube動画広告も含めて)を観てもらい、ブランドを認知してもらいエンゲージメントを構築する上で最も有効な方法は、彼らが共感している“友だち”(リアルな友人からインフルエンサーも含む)による紹介だ。つまり企業が自社製品の魅力をZ世代に知ってほしければ、Z世代の“友だち”にそれについて話して(投稿して)もらう必要があるということだ。

ホール業界がZ世代の新規プレイヤーを取り込みたいのであれば、既存プレイヤーである30代~50代向けとは全く異なったプロモーションを展開しなければならないことが理解いただけたことと思う。
取材・文=田中 剛(本誌)

※『月刊アミューズメントジャパン』(2022年1月号)から転載


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